組織の変性とは
〜前回のあらすじ〜
怪我をすることで体の中ではさまざまな反応が起こり、各々の組織が変性し、全身に影響を及ぼす
では、その組織の変性ってなんだろう?
というところが今回のテーマです
組織の変性とは病理の用語で、細胞、組織のなかに、生理的には存在しない異常の物質、あるいは生理的に存在する物質でも、異常の部位に、ないしは異常な量に認められる状態を言います。
組織の変性は、様々な組織に起こります。組織とは皮膚から骨まで、全て含まれます。
もちろん、脳や内臓、血管や神経などでも変性というのは起こります。
変性というのもたくさんあるため、そのうちのいくつかをご紹介します。
癒着
皮膚、膜などが炎症などのためにくっついてしまうことです。これは浅層と深層の場合もあれば、隣接する組織間で起こる場合もあります。
短縮
伸張刺激に対して筋が伸びることができず、抵抗性が高まっている状態です。これは、筋自体の伸張性低下と筋を包んでいる筋膜の線維化などによって生じます。
線維化
繊維組織が増殖し、組織が組織成分に置き換わり硬くなってしまうことです。組織全体に生じることもあれば、一部分だけ線維成分が増えることもあります。
弱化
一時的に筋の出力が低下されている状態です。衰えた筋肉はやがて"萎縮(やせ細ってしまう)"し、この状態となると筋肉を太くするために時間を要するようになります。
このように、組織への栄養が滞ってしまう状態が続くと、組織が硬くなったり、弱くなったり、くっついてしまったりしてしまうということです。
だからこそ、ケガというのは軽視できないのです
組織の変性が残っている状態が続くとどうなるか
皮膚や筋肉、様々な組織の動きが悪くなり、やがて関節の動きが悪くなり・・・
姿勢が悪くなってきます
この画像を見て、皆様なにを思うでしょうか
「膝が曲がっている」
「背中が丸い」
「首が前に出ている」
様々かと思います。
正解は・・・・
すべて正解なんです
ここから伝えたかったことは膝が曲がっても腰は曲がり、背中は丸くなり、首が前に出ます
逆に、首が前に出ても背中が丸くなり、腰は曲がり、膝が曲がってきます
最初に書いたように、組織の変性が起こり、関節が硬くなってくるとその関節は次第に動かなくなって、最終的には全身的に影響してくるということです
ここまでが前の記事からの怪我による体への影響です。
そのため、怪我やどこかを痛めた時には、どの組織がどんな状態にあるのかを判別する必要があるし、それが専門家の役割かと思っております。
今の症状に対してだけではなく、今までの何年間もの人生が体を作り、症状として出ているということを念頭に置きながら、今一度これまでの経験を振り返ってみてはいかがでしょうか