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Microsoft Cloud で切り拓く開発者のための次世代 AI: Microsoft Build Japan Day 1 Keynote(2024/07/11、ニュースリリース)

※日本マイクロソフトからブログ更新のお知らせがニュースリリースで来ました!

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Microsoft Cloud で切り拓く開発者のための次世代 AI: Microsoft Build Japan Day 1 Keynote
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先般開催した Build Japan 2024 基調講演について、その要旨をまとめたブログを公開しました。
セブン銀行様、NTT データ様、経済産業省様など、実際に生成 AI を活用いただいている企業、組織の取り組みについてもご紹介しています。

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※本ブログは、2024 年6 月 27 日に開催した Microsoft Build Japan における基調講演の内容を抜粋し、再構成したものです。

日本マイクロソフトは、2024 年 6 月 27 日 (木)〜28 日 (金) の 2 日間、国内開発者向けイベント「Microsoft Build Japan」を開催し、8,000 人を超える開発者が参加しました。1 日目の基調講演の内容を、お客様事例もあわせてご紹介します。

日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長 津坂 美樹

AI が社会にもたらすインパクトは周知の通りですが、経済産業省によると、AI の導入が進めば 2025 年には 34 兆円、GDPの 6% に当たる経済効果が見込まれるとしています。1 億人のユーザーになるまで携帯電話は 16 年、インターネットは 7 年そして Chat-GPT はわずか 2ヶ月と、テクノロジが社会にもたらす恩恵のスピードが加速しており、私たちもすべての製品に Copilot を届けようとしています。最初に提供を開始した GitHub Copilot は全世界で 5 万を超える組織に導入され、180 万人が登録しています。倍以上の速度でタスクが完了し、半数近いコードを AI が生成、そのためより満足のいく仕事に集中できる等、多くの評価をいただいています。また、皆様独自の Copilot 構築に向けた包括的なエンドツーエンドのスタックや、OpenAI の GPT-4o をはじめ数多くの LLM と SLM も提供しています。

今回の Microsoft Build では、新たなカテゴリーも発表しています。Copilot+ PC の登場です。AI のためにデザインされ、毎秒40兆回以上の演算処理を実現する NPU を搭載した、これまでで最も速く、最もインテリジェントなWindows PCです。Copilot にも新たな機能が追加され、これからはチームの一員としても活躍します。Copilot はすでに、社会に大きなインパクトを残しています。活用するナレッジワーカーの約 7 割は生産性の向上を実感し、同じく約 7 割 がより重要な仕事に集中できると話します。もちろんマイクロソフトの社内でも活用を進め、私自身も会議のキャッチアップや複数の資料の比較等に日々活用しています。

マイクロソフトは 2024 年 4 月に、日本国内の AI およびクラウド基盤強化に 4,400 億円を投資すると発表しました。最先端のGPUを含む高度な計算資源のほか、今後 3 年間で 300 万人を対象に、AI の構築や利活用のためのリスキリング機会を提供します。研究分野にも注力し、Microsoft Researchの国内初の拠点を東京に開設。東京大学、及び、慶應大学とカーネギーメロン大学の AI 研究パートナーシップに対し、それぞれ 15 億円のリソースを提供し連携を強化します。セキュリティ分野で政府と連携し、人材育成と技術開発を強化。開発環境や製品の提供だけでなく、マイクロソフトエバンジェリストたちを通じコミュニティ全体を支援し、社会の発展に貢献します。マイクロソフトは、地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにすることをミッションとしています。本日参加の皆様のCopilot (副操縦士) としてこれからもサポートしていきます。



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日本マイクロソフト株式会社
執行役員 常務 クラウド& AI ソリューション事業本部長 岡嵜 禎

本日は Microsoft Build で発表された Microsoft Copilot の新機能と Copilot+ PC、そして Copilot Stack について、デモやお客様の AI 最新活用事例を交えご紹介します。

■開発者の仕事を変革。進化する Microsoft Copilot

Team Copilot

日々仕事の生産性を高める Copilot ですが、これまでの個人向けAI アシスタントから劇的な進化を遂げています。Team Copilot は、チームの AI アシスタントとして会議のアジェンダの管理をするほか、進行役としてグループのコラボレーションの促進や、プロジェクトマネージャーとして計画作成やタスク完了の更新を促す等、チーム全体の生産性、協調性、創造性を高めます。2024 年後半でのプレビューを目指しています。

https://microsoftapc.sharepoint.com/:v:/t/DeveloperFlagshipEventBuildAIDay/EeVzXlo64p9EvfKFuBTJE9YB3kXVLCupoIuLdeggANnF_g?e=Bo1JW0

また今後はさらに機能を進化させ、エージェントとしての提供も予定しています。ゼロから Copilot を作る Build your copilot や SLP や Salesforce の機能を拡張して使えるCopilot Extensionsほか、用途や目的に合わせスピーディにお客様ご自身の Copilot を開発できるカスタムコパイロットなど、幅広い機能を提供します。

■全く新しいカテゴリーの誕生。Copilot+ PC

Copilot+ PC はネットワークにつながっていないデバイス上でも、AI を活用したユーザー体験を実現します。大規模なメモリ、ストレージ、さらに AI の処理に特化したNPU を搭載し、毎秒 40 兆回以上の演算処理を実行することで、新しい AI 体験を提供します。

<Copilot+ PC の機能>

・Windows スタジオ エフェクト

デバイスに内蔵されているカメラやマイクに特殊効果を適用できる機能で、自動フレームや標準ぼかしの機能が進化しました。Copilot+ PC に搭載されている NPU を利用して、肌の質感をアニメーション風に変えられる等、画像全体を処理できるクリエイティブフィルターを追加しています。アイコンタクト機能も強化され、タイムラグなく NPU で処理できるため、目線をそらしても常にPCのカメラを直視している状態を保ちます。オンラインミーティングで資料を見ながらでも、目線を合わせた発表が可能です。

・ライブ キャプション

現在 Windows で提供されているライブ キャプションが進化し、字幕だけでなく翻訳もできるようになりました。Windows PC から出力される音声を、日本語を含む 44 言語から英語にリアルタイムで翻訳します。

・リコール

デスクトップ上で表示した内容をスナップショットとして、暗号化した上でローカルに保存していくことで、過去の操作を時間軸に沿って確認できます。スナップショット内の文字や画像情報は AI によって処理されるため、キーワードや視覚的に一致した結果を一覧として表示し、ファイルの場所や名前を忘れたときでも、「青い棒グラフが描かれていた来期の戦略説明のスライド」のような思いついたキーワードで探し出せるようになります。

リコールを有効するにはユーザーの意思表明と Windows Hello の登録が必須となっており、PC の前に物理的にユーザーが存在していることを確認したうえで情報が表示されるといったセキュリティを強固にしています。さらにユーザーは除外するアプリケーションやウェブサイトの設定を、情報システム管理者は組織全体で利用を制限する等の設定が可能です。現在 Windows Insider Program でのプレビューを準備しています。

・コクリエイター

「ペイント」アプリに実装された機能で、作成したい画像を説明するプロンプトを入力した上で、ペイントのキャンバスに下絵を描いていくと、その下絵とプロンプトを AI が解釈し、品質の高い画像を生成します。プロンプトはクラウドで、画像は NPU で処理します。

イメージ クリエイター

「フォト」アプリに実装された画像生成機能で、自然言語で作りたい画像イメージをプロンプトに入力することで、新しい画像が生成されていきます。創造性の強度を調整するスライダーが用意されており、AI の適用量を調整できます。

個人向けの Copilot+ PC は、6 月 18 日から発売されました。現在、法人向けモデルもシリコンベンダー、OEM パートナー各社とともに準備が進められており、Surface シリーズは 9 月 10 日に展開される予定です。Copilot+ PC の進化にご注目ください。

■AI アプリケーションを作る。Windows Copilot Runtime

Copilot+ PC に最適な AI アプリケーションを、独自に開発したい方向けの Windows Copilot Runtime を発表しています。Windows スタジオ エフェクトやライブ キャプション等の機能を API で提供するほか、AIアプリケーションをローカルデバイスで動かすための SLM である Phi-Silica を用意し、アプリを自然言語処理タスク用にデバイス上の Phi モデルに接続できるようにします。

■カスタマイズの Copilot をもっと自由に。Copilot stack

お客様ご自身の Copilot を作るための Copilot Stack は発表から1年、様々な機能をアップデートしています。まず、開発基盤モデルの Azure AI は、グローバルですでに 5 万社以上に利用され、多くのお客様がイノベーションを推進しています。Azure AI や基盤モデルの中核になるのが、OpenAI との強力なパートナーシップです。Azure AI では、OpenAI が提供する様々な最新の基盤モデル、GPT-4 や画像認識の DALL-E 3、音声認識の Whisper をはじめ、最新モデルの GPT-4o もすでに利用可能です。GPT-4o はテキスト、音声、画像のマルチモーダル対応、レスポンスの高速化でリアルタイムコミュニケーションを実現します。パフォーマンスとコストも大幅に改善し、2023 年 3 月の GPT-4 登場から、コストは1/12、パフォーマンスは6倍まで向上しています。

GPT-4o は国内でもすでに、多くのお客様にご活用いただいています。

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株式会社セブン銀行様の事例

常務執行役員 コーポレート・トランスフォーメーション部 セブン・ラボ担当 中山 知章 様

現在コーポレート・トランスフォーメーション (CX) 部を中心に、AI を活用したビジネスモデルの改革や業務プロセスの変革、社内の意識変革や働き方改革に取り組んでいます。CX 部内の AI・データ推進グループ では、ユースケースの提案やソリューションのプロトタイプ、アルゴリズムの作成に取り組んでいます。データ基盤戦略のもととなるのが DPF (データプラットフォーム) ですが、ここにはサードパーティのデータ等を含め様々蓄積し、ゆくゆくは AI を活用し誰もが使いやすい仕組みを作りたいと考えており、生成AIに関するアイデアは全社から 100 以上集まっています。研修を通じ社内の AI 活用も推進し、約 600 名の社員の半数が参加し Power BI 等も含め AI を活用できる社員も増えています。

すでにAIを活用している事例として、ATM 設置場所等を人流データを使い探索するほか、ATM の現金需要予測も非常に精度が高く、デリバリーコストの効率化が図れています。このほか社内での壁打ちに活用する 7Bank-Brain 等様々な取り組みを行っています。

・コンタクトセンター PoC

受電におけるお客様とのやり取りの内容要約に関して、生成AIの技術検証を実施。約9割は有効活用でき、うち約 6 割はほぼ修正不要と、精度の高い生成が可能です。

・ATM 接客 PoC

Azure OpenAI Service で、ATM でのお客様の照会内容を AI で回答するシステムを開発中です。画期的なのは、音声会話でやりとりできる点です。お客様に向けたAIシステムの開発は世の中にユースケースが少なく、非常にチャレンジングなこと。現在技術検証の段階で、RAG 等も組み込みながら精度の高いシステムを目指しています。

■Microsoft Research (MSR) と日本企業の連携

マイクロソフトの研究機関MSRでは、ヘルスケア分野における業界特化型の AI 研究や、ロボティクス分野等先進的な取り組みを行っています。国内における協業事例では日産自動車様と、機械学習によるバッテリーの劣化予測手法を共同で開発。日産のシミュレーションデータで約 80%、実データで約 30% 以上の精度向上を実現しました。劣化予測の平均誤差を 0.0094 に抑制する新しい機械学習予測手法を開発し、日産自動車様のバッテリーリサイクルの取り組みに強力な基盤を提供しています。

■様々な選択肢を提供 Model Catalog

お客様が望む開発を実現するために、1,600 以上のモデルを揃えたモデルエコシステムを構築しています。注目は SLM です。Phi-3シリーズは、Microsoft Research が開発した小規模なパラメーターで、高品質なランゲージモデルです。miniだけでなく small、mediumと、小規模から中規模まで対応。また Phi-3-vision はマルチモーダル対応で画像認識が可能です。クラウドだけでなく、Copilot+PC のモバイルエッジ側で稼働できる点が大きな特徴です。

Databricks や Cohere 等、Azure AI で利用可能な LLM のモデルは順次追加されています。さらにそれらを API サービス、Shared サービスで利用できる Models-as-a-Service も用意しています。そして今回日本企業として初めて、NTT DATA のモデル実装が発表されています。

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株式会社NTTデータ様の事例

取締役常務執行役員 冨安 寛 様

・NTT 版LLM tsuzumi

マルチモーダルでカスタマイズ性に優れた tsuzumi の一番の特徴は軽量であること、また世界トップクラスの日本語性能を誇る点です。これは 40 年以上にわたる NTT における、日本語の自然言語処理研究の成果です。2024 年 3 月より商用を開始しましたが、これまで tsuzumi の活用には専用の環境が必要でした。今回 Models-as-a-Service に実装され、安心・安全かつクイックに体験いただけるだけでなく、多くのお客様に tsuzumi をご覧いただけることも喜ばしいです。サービスの展開は秋を予定していますが、これをきっかけに OpenAI と tsuzumi のマルチLLM等の実現も期待しています。プライベートプレビューも予定しています。ご期待ください。

■より快適な開発環境を実現する、Azure AI アップデート

NTT データ様の取り組みが加わり、マルチ LLM がより強力に推進できると期待しています。LLM を複数選択できるようになると、課題もあります。例えば組み合わせたいずれかのモデルがアップデートされた時に、どのように評価し対応するか。設計から運用そして安心・安全な活用をスピーディに行うための仕組みとして、Azure AI Studio が正式にサービス開始となりました。それ以外も多くのアップデートを発表しています。

Microsoft intelligent Data Platform

データの取り扱いは重要な課題です。マイクロソフトでは、SQL DB や Cosmos DB、PostgreSQL といった開発者に幅広く利用されるデータベースや Microsoft Fabric、Azure Databricks 等幅広く提供しています。

Real-Time Intelligence in Microsoft Fabric

Fabricもアップデートされています。リアルタイムデータを取り込み、分析、監視、運用が可能に。OneLake だけでなく、Real-Time hub で様々なストリームデータを取り込めるほか、リアルタイムデータを活用したグラフや分析が、言葉で伝えるだけで簡単に作れる統合型の分析サービスとして進化しています。

Microsoft Fabric Workload Development Kit

ご自身のアプリケーション、SaaS で Fabric を活用したいお客様に向けたサービスです。お客様のスタックやアプリケーションにシームレスに統合。AI の強力なデータ分析機能を活用し、迅速なアプリケーションの構築を可能にします。

■AI インフラに関する強力なパートナーシップ

NVIDIA

年度内に最新の H200 の提供を予定しているほか、Blackwell の最新アーキテクチャを搭載した B100、B200 も Microsoft Azureに搭載予定です。また Omniverse や DGX で Azure を活用する等、包括的なパートナーシップを結んでいます。

AMD

ND MI300X V5 が利用可能です。Azure のワークロードに最適化され、GPT-4o を実行する場合に価格とパフォーマンスの観点で優れたオプションです。

経済産業省

国産AIの開発を支援する GENIAC の AI インフラとして、マイクロソフトの Azure が採用されています。

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経済産業省様の事例

情報処理基盤産業室長 渡辺 琢也 様

GENIAC は、日本の持続的なAI開発力の確保に向け設立されました。それぞれのビジネス主体が創意工夫し挑戦できる環境を作るため、計算資源の確保と、データの利活用推進と、国内外の開発者をつなぐ交流促進をバックアップしています。

今回 InfiniBand をはじめ学習基盤としての性能が高い点と価格面を評価し、計算資源の提供者としてマイクロソフトを採択しました。すでに GENIAC のメンバーが Microsoft Azure を使い開発を始めていますが、サポート体制が素晴らしいと聞いています。GENIAC の活動は1期目で、現在メンバーはオープンソースのデータを中心に基礎体力を付けている段階ですが、ビジネスとして持続的かつ競争力のある AI システムの開発には、ユニークなデータや埋もれたデータの活用が日本の強みになると考えています。2 期目では、日本の開発者が強みを発揮でき、社会実装に直結する AI 開発に重点を置いた支援を考えています。世界的なデジタルプラットフォーム事業者としてマイクロソフトには、日本企業における AI のライフサイクルを、適切なガバナンスのもと支援いただくことを今後も期待しています。

■開発者を支援し AI イノベーションを加速

世界で最も愛されている開発者ツール、Visual Studio Code、GitHub、Copilot Studio を揃えている点はマイクロソフトの強みです。さらに進化した AI 機能を開発体系にシームレスに組み合わせ、機能強化を図っています。

■安心安全への取り組み AI safety

責任ある AI の原則を定義し取り組んでいます。公平性・プライバシーとセキュリティ・透明性・信頼性と安全性・包括性・説明責任を原則とし、実現するためのトレーニング・ツール・テストの実装と、監査する仕組み・ノウハウも合わせて提供しています。またお客様のデータはお客様のものとお約束し、包括的なエンタープライズコンプライアンスとセキュリティ制御によって保護し、お客様の許可なく基盤モデルのトレーニングに利用しません。

Azure AI Content Safety

標準的なフィルタに加え、カスタムカテゴリーを追加。特定のコンテンツフィルターやお客様の AI ポリシーに合わせた独自のフィルタを実装できるほか、悪意ある攻撃や不正アクセスを監視検出できるプロンプトシールド、生成されたコンテンツのハルシネーション対策の根拠性検出機能も用意しています。

Secure Future Initiative

セキュリティはマイクロソフトの最優先項目です。セキュリティ前提の設計を行い、強度なセキュリティをデフォルトで有効にし、セキュアなオペレーションを実現します。マイクロソフトのプラットフォームやサービスにおける安全の担保はもちろん、お客様自身のサービスやアプリケーションがセキュアに展開できる支援も行います。

マイクロソフトはお客様の AI トランスフォーメーションを実現するために、様々なニーズに応えるプラットフォームを整えています。それらを活用し、お客様が実現したいこと、ビジネス課題の解決をこれからも支援します。

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URL:
https://news.microsoft.com/ja-jp/2024/07/11/240711-next-generation-ai-for-developers-with-microsoft-cloud-microsoft-build-japan-day-1-keynote/

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