階層別研修の作り方 ~階層別研修ってどんなプログラムがあるの?中編~
【この記事は以下の読者様を想定して書いています】
・人事担当者様
└なかでも、教育や育成の担当者様
【この記事を読むことで得られること】
シリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!
【登場人物】
▼ホッソン(細野 和彦):
研修作家、人事コンサルタント。㈱ハブプロダクト代表取締役。年間250日以上の研修プログラムを設計から実施まで行う。 自ら講師としても登壇する一方、近年はHOMEROOM、ROGCHECK、RE:CAREERなどの育成プロダクトを世に送り出す開発者でもある。㈱ログシー 育成支援事業部 統括。好きな食べ物は鶏料理。
▼さくら(鈴木さくら):
キャリアコンサルタント、研修講師。航空会社→ホスピタリティ系専門学校→独立。キャリアコンサルタントは天職で、主に企業や大学でキャリアコンサルティングを行う。育成にも力を入れ、キャリアコンサルタント養成講座の講師も務める。ホッソン主宰の研修講師育成塾の第一期生で、師弟関係でもある。好きな食べ物はエビフライ。
◆リーダーはとにかく忙しいんです!
さくら:リーダー職の研修プログラムを伺いたいのですが、リーダーって主任とか係長クラスですよね。リーダーってとにかくあれこれ忙しそうで研修に参加するにも大変そうなイメージがあります。
ホッソン:そうなのよ!リーダーはね、みんな共通して忙しいんですよ。アイドリングタイムがないというか、もう目の前の仕事をとにかく処理していく。上に確認して、指示を出し直して、お客様と社内の間に入って。リーダーが一番忙しいって言っても過言じゃない。だから、研修自体はあまり長い時間やらないっていうのが近年のトレンドかな。1日フルの研修じゃなくて、3時間研修を2か月に一度、年間6回に分けてやるとかね。
さくら:リーダーシップも発揮しないといけないですしね。
ホッソン:そう、だから体系立てて勉強しないとリーダーシップがうまく機能しない。リーダーの在り方はマインドセットの部分だよね。僕の研修では、「こう在りたい」っていうものを各自想像してもらうんですよ。そして、そのビジョンを体現すべく、行動量を増やして遮二無二働く。とにかくリーダーはこう在りたいっていうのをちゃんとみんなに提示して、先頭切って走るっていうのがスタイルかなと思う。だからはじめにマインドセットのところで、在り方をちゃんとお伝えする必要があるよね。
スキルセットとしては、リーダーとして成果の再現性が求められるから、成果を阻害しているボトルネックはどこだ?っていうのを探すためにロジカルシンキングの基礎が必須だよね。MECEやロジックツリー、演繹法、帰納法など、フレームワークを覚えてスキルを学んで、現場で活かしてもらう。研修最後には成果発表を入れるって感じかな。
最後が、メンタルヘルス。やっぱり自分のメンタルをコントロールする、セルフマネジメントは本当に大事です。僕はエゴグラムを使った性格分析を実施して、一人ずつ性格の特徴と自分の心の動きを知ってケアしていくことを伝えているんだけど、これをメンタルヘルスの部分で取り上げています。さらには、リーダーはコミュニケーションを取りながら組織とメンバーの間に入って、関係構築をより良好にしていかないといけないよね。それらのプログラムで途中に課題提出を挟みながら、1年かけて実施していきます。
さくら:リーダーのコミュニケーションは、上司と後輩(部下)の間に入って、うまいこと立ち回れるようにするためってことですよね?
ホッソン:うん、それだけでなく、お客様との間に入ることも含まれるし、会社の方針と自分のキャリアの間も取り持たないといけない、とかね。だから求められるスキルとして、互いを大切にしたアサーティブコミュニケーションのスキルが必要になってくるよね。
◆リーダーの皆さん、どんな椅子に座りたい?
ホッソン:余談だけど、リーダー層においても自身のキャリアを考えていかないといけないでしょう?ビジョンを掲げるには、自分がこの道でいいんだというか、こういうあるべき姿でいきたいとか、理想を持たないといけないのも同時にあるよね。僕は自分の経験からも言えるんだけど、キャリアを作るとき、こういう人になりたいっていうようなベンチマークがあった方が絶対作りやすいと思ってるんだよね。そこで我が社がリーダー研修をやるときに最近やっているのが「椅子」なんですよ。
さくら:椅子?
ホッソン:そうそう、「あなた、どんな椅子に座りたいですか?」ってね。座りたい椅子がキャリアを象徴するものかなと僕は思ってるんですよ。というのは、僕がこの仕事に携わってリーダーと呼ばれる人にたくさんお会いする中で、その方々のオフィスに行ってみると、椅子の種類が本当に十人十色なの。椅子がそのリーダーのあるべき姿を投影しているんじゃないかなって思ったんだよね。だから、リーダー研修の冒頭で椅子を紹介するんです。「この椅子は(ここでは、ちょっと名前を出せないけど)ある大企業のリーダーの椅子です。彼の信念は○○です。事業の進め方は△△でした」って。あるいは、「この椅子はある有名な全国チェーンの本屋さんのリーダーの椅子です。 彼は自分が座る椅子なんかにお金をかけるのはリーダーじゃない、と。だから、椅子はボロボロでした」とか。
かと思えば、すっごいゴージャスでラグチュアリーな椅子に座っている外国人リーダーもいて、「リーダーっていうのは指示を出すだけなんだ」ってカッコよく座りながらブランデーとか飲んでいそうなイメージの、そういうリーダーがいたり笑。そこに正解・不正解はないよね。だから、僕が見聞きしてきたリーダーの椅子についてエピソードを交えながら紹介して、一年間の最後の研修の時に「さて、様々な椅子を紹介したけど、 皆さんが座りたい椅子ってどんな椅子ですか?」って問うて、それぞれのキャリアを語ってもらうの。そうすると、キャリアについてのイメージがしやすくなるようで、皆さん話してくれるんだよね。
さくら:おもしろいですね。椅子を出して、キャリアにつなげるって。私、その手法を取ったことがありませんでした。イメージとして男性的な感じもするので、女性リーダーの座る椅子も見てみたいですね。
◆研修作家が選ぶ、階層別研修の「おもしろさ部門」ナンバーワンは?
さくら:次回お届けする管理職研修プログラムの前に、ちょっとフライングで聞いてみたくなっちゃったんですけど、細野さんとしては新入社員研修・リーダー研修・管理職研修という代表的な階層別研修のうち、設計・企画・登壇を含めて個人的にはどの階層が一番おもしろく感じますか?
ホッソン:そうだな・・・全部おもしろいからぱっと決められない笑。おもしろいポイントを言って、最後に決めていこうか。まず、HOMEROOM新入社員研修のプログラムは毎年マイナーチェンジをし続けてるんですよね。基本は同じですけど、やっぱり彼らの学生時代や就職活動のトレンドを踏まえて、毎年こういう感じかなってちょっとずつチューニングしながら実施しています。だから飽きない。楽しいなっていうのは一番感じるかな。でも一方で、そのシーズンだけとか、1日2日しか会わない層ですよね。研修後は「各自頑張ってね」って送り出さないといけないから、この1日で終わるのは淋しいな~っていうのがある。
さくら:確かにそれはわかります笑。リーダー研修はどうでしょう?
ホッソン:リーダーに関しては、さっき言った椅子でイメージさせるとか、商品開発として工夫のし甲斐があるよね。僕がやっていておもしろいなって思うような、こういうトレンドが作れたらいいなとか、研修に反映させやすい。あと、『チームリーダーへの手紙』っていう手紙シリーズの研修もやっているんだけど、そういうチームビルディングの基礎を学ぶ商品も色々できるよね。リーダー研修は一番アイデアが出るなっていう感じがするからおもしろいんだけど、いかんせんリーダー研修を取り入れてくれている会社さんって、実はそんな多くないのが淋しいところ。我が社のクライアントで4~5社ぐらいしかないから、 開発してもあんまり広がらないという、虚しさがあります(ぜひリーダー研修で我が社をもっと呼んでください笑!)。
さくら:ああ、需要と供給のバランスですね・・・
ホッソン:最後の管理職研修は、難易度が一番高いよね。そして、その会社に合わせていかないといけないっていうのがあって、それが非常におもしろい。評価制度や人員構成等もいただいて、全体像を把握しながら研修することが多いので、その会社のことをしっかりと調べて設計・開発していくっていうのが醍醐味だな。
それに管理職研修は、年々関わる回数と期間が長くなっている傾向があるので、そう考えると大変さもあるけど、苦楽を共にしながら変化を一緒に創っていけるという側面から、一番楽しいかもしれないね。3年間とか定点観測的に関わって、悩ましいこともたくさんあるけど、1つずつエピソードを覚えているからおもしろい。
さくら:てことは、それぞれおもしろさは感じつつ、管理職研修が総合的に一番おもしろいってことでしょうかね?
ホッソン:そうだね!
さくら:最近、管理職研修のオーダーが増えていますよね。1回での研修ではなく、年間計画や3ヵ年計画とかで?
ホッソン:そうだね。我が社でいうと、問合わせが一番多くなっているのは管理職研修じゃないかな。
さくら:ニーズが多いということは、それだけ企業の抱える管理職の課題が多いってことですね。次回はその管理職のプログラムについて教えてください!
(おしまい&つづく)
\『階層別研修の作り方』シリーズ/
1)階層は、どうやって分けたらいいの?前編
2)階層は、どうやって分けたらいいの?後編
3)階層別研修って、どんな種類があるの?前編
4)階層別研修って、どんな種類があるの?後編
5)階層別研修と他の研修って何が違うの?前編
6)階層別研修と他の研修って何が違うの?後編
7)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?前編
8)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?中編 ←イマココ
9)階層別研修にはどんなプログラムがあるの?後編
10)階層別研修ってどうやって設計するの?前編
11)階層別研修ってどうやって設計するの?後編
このシリーズを完読すると、社内で階層別研修を作るポイントを掴め、人事担当者として有意義な階層別研修を組み立てることができるようになります!
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