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前川かずはる 新たな挑戦の道のり(2/7)徹底的に無駄をなくした最初の8年

 敦賀市議会議員を4期16年勤めてこられた、同市沓名在住の前川かずはるさん(45歳)が、2023年4月に新たな挑戦をすることになりました。前回は、前川さんが『自分の納めた税金が無駄使いされていることに腹が立って、議員を目指した』お話を伺いました。

 第2回は、初当選した前川さんが、1期&2期の8年間にどんな想いで、何をしてきたのかを、お伝えします。

「過去はさておき、これからの敦賀を、どうしたいのかを早く知りたい」
という方は、こちら(5回目)からお読みください。

(聞き手:はんだあゆみ


やりたい政策を実現するためには、まず節約だ


――ところで、前川さんの、このチラシ(統一地方選のマニフェスト)のここがすごいなと思ったところがあるのですが「最初の8年で、税金の無駄使いを無くし、次の8年で税収を増やし、最後に余剰の収入を投資に回す」。ファイナンシャルプランナーの方々が、家計にテコ入れするときにおっしゃることじゃないですか。無駄使いやめて、へそくりためて、それで小額投資をコツコツやってみなさい、って。

(前川チラシより)

前川)ええ、そうですね。(笑)

――これは、29歳で初当選された時から、ずっとこのロードマップができていた状態で立候補されたのですか。

前川)ここまでのロードマップはできてなかったんですけど、最初の8年間では、税の無駄使いをなくす、っていうことは決めてました。

――そうなんですね。無駄をなくすと一口に言っても、新人議員の立場では、なかなかむつかしかったんじゃないですか?

前川)はい、でも、僕が2007年に市議会議員になった時は、新人が7人ぐらいいっしょに当選して、町全体に「変わらなきゃ」っていう雰囲気があったんです。僕が26人中のトップ当選だったのも後押ししてくれて、「こいつは、たくさんの市民の方に応援されているんだ」という感じが行政の方にもあったようです。ちゃんと説明を尽くして訴えれば、色々改善してくれました。

――追い風が吹いていたんですね。

前川)はい。でも、基本的に議員は、『一般質問』っていって議会の中で提言する機会があるんですよ。その時に理路整然と、これもったいないですよね、費用対効果ないですよね、って問いただすことができるんです。それで、「ほんとだ、効果ないですね」って言わせることができれば、次の年からなくなります。 ちゃんと論理的に組み立てた議論をすれば、どんどん無駄はなくなっていきます

――ロジックの世界なんですね。でも撤廃するのに3、4年かかるってことは、同じことを2,3回繰り返して訴えてもダメってことですよねえ?

前川)そうですね。だから「あなたの思いはわかるよ、でも、こういうやり方がいいんじゃないか」とか「今のやり方だとここがうまくいかないよね、1回やめて、こういうやり方をしてみよう」とか、手を変え品を変えて、いろんな角度で切り込みます。

――その辺が、コミュニケーションの達人と言われるところなんですね。

前川)どうでしょう、日常的にいろんな人と話しているのが大きいかもしれません。「みんなde議会」をやったり、面白そうな人を見つけて会いに行ったりしていると、その人の立場や背景によって、価値観が変わるってことを、何度も実感させてもらえるんです。だから、人の価値観を否定しないで、お互いのやりたいことを叶えるにはどうしたらいいのか、という『対話で積み上げていく』感覚はそこで鍛えてもらってる気がします。

(市の予算を議会で審議する前に市民に公開し、使い道について話し合う「みんなde議会」)


――素敵ですねぇ。じゃあ、議会でのご苦労はあまりなかったですか?

前川)そうですね。とはいえ、戦いはいっぱいありましたけどね。

――言える範囲で教えていただいてもいいですか?

前川)1番わかりやすいところだと、議員が食べる弁当が、議会の日に毎回出てたんですよ。僕の感覚では、お弁当って、自分で持っていくのが当たり前じゃんと思ってて。高校生だって、毎日お弁当を持っていくじゃないですか。なのに、毎回、重箱に入った豪華なお弁当が出ていたので、これをなくしましょうよって訴えて、それだけのことに、多分1、2年かかりました。

――それで、2年?! そんなにかかるものなんですね。

前川)新しいことを始めるのは、わりと簡単なんです。でも、今ある制度を変えるのは、結構時間がかかります。お弁当の場合、最初に自分がやめて、で、同じグループの人がやめて、それをちょっとずつ波及させていきました。で、最終的に「子どもでもお弁当持ってきてるんだし、やめようぜ」って、提案して廃止になりました。お弁当をなくすことで、削減できた金額は大したことはないですけれど、市議会議員だから、これくらいしてもらって当たり前っていう感覚を無くす効果もあったんじゃないかと思うんですよね。

――ああ、なんとなくわかります。

前川)僕、市長になったら、公用車を使うのをやめようと思っているんです。市長だから、どこに行くにも運転手付きのいい車で行くのって、よく考えたら変じゃないですか。いける所には、自分の足で自転車こいでいけばいいし、市長のために税金を使うより、市民のために税金を使うことの方が大事なので、市長の公用車やめて、高齢者のタクシー利用券を増額したりできればと思います。

――どこまでも市民目線が、徹底されていますね。

前川)僕には、自分が納めた税金の無駄遣いを絶対になくしていきたいっていう信念があって、同じように無駄遣いに怒っていた人たちが、僕に投票してくださったと思っているんです。だから、そういう人たちを裏切れないという思いがいつもあります。

――なるほど。前川さんは何を見ても、無駄をなくすとか、これが収益に繋がらないかなっていう目線で見ているように思います。すごい経営者感覚ですよね。

前川)そうですか? あ、でも、ゴミを見ても、これは、再利用すれば、儲かるのにな、と思うことはありますよ。去年、市役所を新しく建て替えて、古い市役所を解体したんですよ。そしたら、不用品がいっぱい出たんです。それをね、ゴミとして業者に回収してもらうと、捨てるだけで3400万円ぐらいかかるっていうんですよね。処分費が。
でも、それって、欲しい方に持って帰ってもらったら、その分の費用が浮くじゃないですか。

――そうですね。

前川)それで、旧市役所の中で「不用品市」を開催して、欲しいものは、どれでも持って行ってくださいって呼びかけたら、市民の方がたくさん持ち帰ってくださって、最終的に処分費用は1800万ぐらいで済んだんですよ。だいたい1600万円の節約になった

(広報つるが2022年1月号より)

――すごいナイスなアイデアですね!

前川)だって、みんな欲しいんやもん、ロッカーとかゴミ箱とか、イスとか。市長のふかふかの座り心地のいい椅子、まだ使えるのに、捨てることないじゃないですか。

(市長の椅子と机。こんなものまで!)

――そりゃそうですね。私も欲しいです。

前川)でも、お金をかけずに済んだからいいことをしたんだ、って思いがちですけど、それだけじゃないんですよ。

――というと?

前川)工夫すれば、お金が浮くのは、当然のことなんです。それより「不用品市」をしたことで、市民の方の満足度が上がったことが大きかったと思う。無料で欲しいものが手に入るんですもん。そりゃうれしいですよね。めっちゃ大勢、いらっしゃいましたよ。市役所が、大にぎわいでした。

――お祭りみたいですね。でも、それは、思いついても、なかなかやらないことですよね。

前川)そうですね。でも、こうやって、アイデアを市民の満足度とお金に変えていくってのが、これまでの敦賀にすごく欠けていたとこなんですよ。「不用品市」では、行政も助かって、市民の方も「敦賀市もなかなかいいじゃん、やるじゃん」って、思ってくれたと思うんです。こういう経験を積み重ねることで、敦賀っていいな、なんか親近感、住みやすいなって、愛着もわいてくると思うんですよ。

――愛されるまち敦賀を、行政が作っていく、ってことですね。それにしても、新しいことを考え付いて実行できるって、前川さんのものすごくプラスなところですよね。

前川)ありがとうございます! !この不用品市の取り組みは、全国に波及していきましたよ!! 全国では、新市役所をつくっている最中の自治体も多くあったので、是非、不用品市真似させてください!オファーが沢山ありました。アイデアとか良い取り組みは全国に波及していきますよね! 
それが敦賀市にはめっちゃプラスになってます。

連載第2回のまとめ

前川かずはるさんは

①8年間で合計4億2千万円の無駄をなくしている
②良いアイデアを思いついたら、やり遂げる実行力がある

第3回へ続く

第1回はこちら


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