前川かずはる 新たな挑戦の道のり(3/7)マエカワは「ふるさと納税」を手に入れた
敦賀市議会議員を4期16年勤めてこられた、同市沓名在住の前川かずはるさん(45歳)が、2023年4月に新たな挑戦をすることになりました。前回の記事では、市議会議員に初当選した前川さんが、いかに税金の無駄使いを無くそうと奮闘してきたのかを伺いました。
第3回は、3期&4期目の前川さんが、ふるさと納税を活用して、敦賀市の税収を全国レベルで大躍進させたお話を、お伝えします。
「過去はさておき、これからの敦賀を、どうしたいのかを早く知りたい」
という方は、こちら(5回目)からお読みください。
(聞き手:はんだあゆみ)
地方自治体最大の武器「ふるさと納税」
――では次に、3期目に当選された時の話に移ります。「次の8年で、税収を増やす」と目標に掲げられていましたが、その手段としてふるさと納税に着目されたのはどうしてですか?
前川)その当時、10年ぐらい前なんですけど、ちょうどふるさと納税が 全国的ちょっと広まってきた時期だったんですよ。今もですけれど、敦賀は、都会に出ていく若い人が多いのが悩みで、これはすぐには変えられそうになかった。
――ええ、「前川通信VOL.39 」にも、敦賀市は10年間で5000人の人口が減少した、って書いてありましたね。
前川)はい。でも、この「ふるさと納税」という制度は、都会からも敦賀を応援してもらえるものだったので、ストンと僕の中に落ちたんです。これがうまくいけば、若い人がどんどん都会に出て行って、人口が減っても、敦賀は伸びていくだろうなっていうのが見えました。そこで自分なりにふるさと納税の研究を始め、その活用に力を入れたら、今うまいこといってる、って感じです。
――以前、ふるさと納税の学習会の時に、この制度の生みの父は福井県知事だとお話をされていましたよね?その方に、直に教えを伺って、これを広めていこうと思ったのですか?
前川)いいえ。西川元知事(2003年-2019年福井県知事を4期務めた)とは、一度お目にかかって握手したことがあるくらいで、特に交流があるわけではないんです。
――では、自分で探していて「ふるさと納税制度」が敦賀に使えそうだな、と発見されたのですね。
前川)そうですね。それがたまたまほかの人より、早かったんでしょうね。こういう新しいしくみは、先にやったもん勝ちなところもあるので。
――なるほど、前川さんは、新しいことにどんどん挑戦していける人なんですね。
前川)そうですね。じっと考え込んでいるより、良さそうと思ったことはやってみて、ダメならまた別のことを考えたらいい、というタイプです。
――ところで、敦賀市は、2021年に続き、2022年も大手通販サイト「楽天市場」の楽天ショップ・オブ・ザイヤーのふるさと納税賞を受賞していますが、2022年度の敦賀市への寄付金見込み額は85億と予想されています。ここまで育て上げたのは、前川さんの実績だったの思うのですが、具体的にはどのようなテコ入れをしてきたのでしょうか?
前川)僕の実績ではないのですが、もともと、海産物のネットショップに強い業者さんが敦賀にいらっしゃったんですよ。ぼくは、敦賀市内に友達が多いので、けっこうそういう情報が入ってくる。「あの人の店の商品は楽天で、バンバン売れてるらしいで」とかね。じゃあ、敦賀市の「ふるさと納税サイト」を楽天の中に作って、そのお店から導線を引いたら伸びるかな、って思ったんです。
――導線を引くって、具体的にどういうことですか?
前川)それまで、敦賀のふるさと納税は、別のサイトを使っていたんですよ。楽天のサイトの中には、なかった。だから、楽天の中にも敦賀市のサイトを作って、敦賀のお店から、そこにリンクを張ってもらったんです。「ふるさと納税はこちら」って。
――それだけで、納税額が伸びたんですか?
前川)爆発的に伸びましたね。楽天を利用される方から見たら、普通に買うよりもふるさと納税して寄付のお礼としてもらう方が、自分の納税金額は変わらないのに、豪華な返礼品が来るわけで、お得じゃないですか。
――そうですね。寄付として頂いた金額の3割までを返礼品にしていいんでしたっけ?
前川)そうです。それって、利用される方からすれば、住民税の3割が減額されたようなものじゃないですか。3割分、現物支給で欲しいものが返ってくるので。
――はい。利用者からみても、大変うれしい制度だと思います。
前川)本来、寄付にはお礼はいらないはずなんですが、やっぱり、頂いたからには、こちらとしてもお礼したいですよね。それが返礼品。寄付する側にしてみたら、好きな自治体を応援できて、おまけに、欲しいものが手に入る。地方も納税する人もありがたくてうれしい制度ですよね。
――それで潤っている地方にとっては、ありがたい制度ですよね。一方では、都会の、住民税が減っている地域からは、悲鳴が聞こえているそうですが。
前川)うーん。住んでる人のために使えるはずの住民税という税収が減るのは、それは大変だとは思います。でも、地方から都会に出ていく若者は、地方が投資して育てているんです。
――投資というと?
前川)保育園から、市立小中学校、県立高校、それらの設備維持や人件費、それに医療費まで、地方は子どもが生まれてから、18歳で都会に出るまでに、一人当たりざっと1800万円の投資をしているんです。そうやって手塩にかけて育てた若者が、都会に出たきりだと、地方は都会のために子どもを育てていることになってしまう。それって、変だし不公平ですよね。
――言われてみれば確かにそうですね。
前川)そういう不公平を是正するためにも、ふるさと納税ってとてもいい仕組みだと思うんですよ。
連載第3回のまとめ
前川かずはるさんは
①新しい挑戦を好むアイデアマン
②ふるさと納税で敦賀の税収を(8年間で200億円以上)増やす提言を行った
(第4回へ続く)
(第2回はこちら)
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