前川かずはる 新たな挑戦の道のり(5/7)「子育てするなら敦賀で」と言われるまちづくり
敦賀市議会議員を4期16年勤めてこられた、同市沓名在住の前川かずはるさん(45歳)が、2023年4月新たな挑戦をすることになりました。前回の記事では、前川さんが、「敦賀市に寄付してくれた100万人を超える人たち」との、つながりを作ることを大事にしているお話を伺いました。
将来の移住者が、ここから生まれることを願ってのことです。前川さんはいろんな施策で「敦賀に住みたい人」を増やそうとしているのです。
第5回からは、前川さんが市長になったら、実現したいビジョンについてお伝えします。
(聞き手:はんだあゆみ)
日本一子育てしやすい町を目指して
――ところで、次の2023年4月の敦賀市長選挙に出るにあたって、前川さんが公約で掲げられている項目が、いくつかありますよね。こちらについて伺っていきたいのですが。
前川)はい、なんでもどうぞ。
――メインに掲げられているのは、子育て支援政策の充実です。こういう言い方は失礼かもしれませんが、兵庫県の明石市の子育て支援に似てますよね。
前川)今の日本で一番子育て支援がうまくいってるのは明石ですから、僕は、もう、完璧に明石を真似したいと思って政策を作りましたし、いずれは、明石を越えて日本一になろうと思ってます。先日、明石の泉房穂市長にもお会いできたのでご本人にも宣言してきました。
――「敦賀は明石を越えてやるぜ」って?(笑)
前川)はい。(笑)泉市長はたいへん懐の深い方で、「応援してます」と言ってくださいました。
――前川さんの政策は『今の予算の中で実現できます、試算もしました』ってちゃんと書いてあるところが、すごいですよね。私の偏見かもしれませんが、政治家さんって、選挙の時には『あれもやります、これもやります』っておっしゃるけれど、実際やろうとしても財源がなくて、結局実行できない方が多いように思います。それを、前川さんは、本当に16年かけて、人への投資に回せるお金を作っちゃったってことですもんね。
前川)ありがとうございます。でも、子どもの数も減ってますし、実は予算的には、そんなに大きな負担ではないんですよ。
――そうなんですか。具体的に気になる提案をみていきたいのですが。まず、保育園から中学までの給食費の完全無料化。
前川)はい。給食費を無料にすれば、子育て家庭は当然助かりますよね。それにプラスして、無償化と同時に、市を挙げて『地産地消』を推進していけば、地元の農家さんや水産業に関わる方にも、メリットを提供できると考えています。
地元野菜や、敦賀真鯛などの養殖魚の、安定した消費ルートがもう1つ確保できれば、敦賀の中でお金が回せるってことですから。
――なるほど、子育て家庭以外にもいいことが循環するんですね。そして、これは、たぶん、明石でもやってないと思うんですけど、「大学に進学する子どものための育英奨学金を最大で100万円まで貸し付け可能にする」。それだけじゃなくて、「卒業後、敦賀に5年住む、または、敦賀に家を建てる、の条件を満たせば、返済しなくてよい」。
前川)そう、チャラにします。
――そんな大盤振る舞いで、採算合うんですか?
前川)敦賀に住んでくれて、その後も住民税を納めてくれたら、どこかの時点で採算は合うと思います。すぐには、無理かもしれませんけども。
――ずいぶんと、気の長いというか、先を見据えたお話です。
前川)でも人に投資するって、そういうことじゃないですか。すぐに元を取ろうと思うなら、それは、投資じゃないと思う。ただの金貸し。もちろん、敦賀に戻ってこられない人たちからは、ご返済いただきます(笑)
――5年住んだら、そのまま定住したくなる、好きになるだろうって、見越しているんですね。
前川)好きになってくれるのを、ただ待つわけじゃなくて、好きになってもらうための工夫をします。そのための行政ですし、そのために、立候補しますので。(笑)
――そうか、そうですよね。ずっと住みたくなる街にしようとされているんですもんね。ところで、次の子ども医療費の完全無料化ですが。18歳までって、つまり、生まれてから成人になるまでってことですよね。これが完全に無料になる?
前川)そうです。今も実は、子どもの医療費については、窓口負担の上限を一医療機関あたり、一回500円までにしているので、相当手厚いと思うのですが、それを全額無料、自己負担なしにします。
――親の所得制限もないんですか? そんなことが、できるものなんですねえ。
前川)はい、所得で分けない。一律無料です。でも、これって、その気になればできるんです、たぶん、どこでも。やろうと思うかどうかの違いだけです。
――泉市長も、そうおっしゃってますもんね。無駄をなくせば、子どもにお金を回せるんですね。次の、子どもの遊び場無料化ですが。そもそも敦賀はそんなに有料の遊び場が多いんですか。
前川)そうですね。あまりメジャーではないところだと、子どもの国にあるプラネタリウム。大人200円、子ども50円だったかな、たしか。
――プラネタリウムがあったんですか? 敦賀に越してきて2年になりますが、知りませんでした。
前川)そうなんですよ、いいところだと思うんですけど、あまり知られてませんよね。これ、親子で無料で入れたら、雨や雪の日に、遊びに行くところの選択肢が広がりますよね。何より、楽しく学べる。
――はい。それはリピーターも多そうです。ほかにはどんな施設があるんですか?
前川)運動公園の中のローラー滑り台とか、本町のキッズパークとか。この辺りを無料で遊べるようにしたいですね。
――小さい子を育てているご家庭には、ありがたいと思います。もしかして、子どものコミュニティバス料金の無料化というアイデアは、これも遊びの延長で生まれたのですか?小さい男の子は電車やバスが好きだから?
前川)それもありますが、バスの利用者を増やしたいんですよね。このままじゃ、バス路線がどんどんなくなってしまう。免許を返納したお年寄りは、無料でバスに乗れるようにするつもりなので、あとは免許を持ってない子どもの利用を増やしたいんです。子どもが無料で乗れるようになったら、免許を返納したおじいちゃんや、おばあちゃんも費用負担なく、一緒にお出かけできるようになるので、利用者が増えないかと思って。
「孫とお出かけ外出支援」というのも考えているんですけど、祖父または祖母と孫が一緒に来てくれた場合、博物館の入館料なんかを無料にしたいんですよね。何しろ歴史を一番よく知っているおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に博物館に来るわけだから、子どもの学びも豊かになりますし。
――それはいいですね。でも、赤字がかさんで廃止になる路線が増えている中、バスの利用者を増やすのって、予算的にむつかしそうですが。
前川)はい。でも、これからの敦賀は、ますますお年寄りも増えますし、公共の交通機関の整備はとても大切な課題です。自動運転バスの導入などできれば、さほど予算を使わずに、バス路線を増やせるんじゃないかと思うんですよね。それに、免許返納後、家に引きこもっちゃうのって、健康にも悪そうじゃないですか。
――そうですね。バスが来ないところにお住まいだと、買い物にも困るでしょうし。
前川)それに関しては、敦賀は愛発地区で、ドローンの実証実験を始めたところで、ドローンによる宅配をお試しでやってみてるんです。でも、それと、健康維持のために外に出た方がいいっていうのは、ちょっと別の話じゃないですか。出かけたいときに出かけられるように、家の近くまでバスが来て、免許を返納したお年寄りはみんな無料で乗れる、となったら嬉しくないですか?
――嬉しいです。老後の足は切実な課題です。
前川)バスの便数を増やそうと思った時、一番かかるのは運転手さんの人件費なんです。だから、そこは、自動運転で対応できるんじゃないかなと思ってます。
――素晴らしいアイデアです。ぜひ実現させてほしいです。
連載第5回のまとめ
前川かずはるさんは
①日本一の子育て支援施策で、敦賀市に住む人を増やしたいと思っている
②それにより、子育て世帯以外にも、満足のいく公共サービスが届けられる方法を考えている
(第6回へ続く)
(第4回はこちら)