【ツイート転載】ロスジェネ論客の「加害」的側面を覆い隠す、左派による「若者恐怖のための歴史修正」(2024.12.31)
その「氷河期世代」も、いまから15年前、麻生政権期~民主党政権期に、高齢者から既得権を奪い取れという議論や財務省陰謀論などといった、第二次安倍晋三政権が生まれるきっかけとなった議論に熱狂していたことを忘れてはいけないと思います。彼らは一方的な被害者ではない。
ここのところ急速にそういった言論の歴史が忘却されているように感じます。いわば、若い世代を敵視するための歴史修正が行われている。何度も言うとおりいま国民民主党やれいわ新選組が言っていることは2010年前後のロスジェネ言論の焼き直しでしかない。
過去にも言ったことがあるような気がしますが、かつてのロスジェネ論客の「イズム」を継承してくれる若い世代が現れたのなら、それを喜ぶか、あるいは自分がそういうものを生み出してしまったことを反省すべきなのですが、一方的に「被害者」としての側面ばかり強調されて「加害者」としての側面が無視されるのは若者論屋、言論屋としては納得が行きません。
韓国の飛行機事故で韓国語で追悼コメントを出した石破茂首相が叩かれている様子を「自分が育てたモンスターに襲われている」と表現する左派は多いですが、就職氷河期世代が若い世代に殺されるみたいなことを言い立てている論客だって同じ状況です。自分が「若者」でなくなったらしれっと「年長者」側に回って若い世代を叩くというのは欺瞞的でしかありません。
ロスジェネ論を巡る昨今の左派による歴史修正についてもう一つ。そもそもロスジェネ論は、最近は同世代の女性や性的マイノリティなどを含めた世代全体を包摂する議論であるかの如く取り扱われていますが、そもそも当初から「女性不在」が問題視されていました。ロスジェネ論は元々は就職氷河期によって「男性」がそれまで上の世代が享受してきたものを受けられないという議論が主でした。
そしてロスジェネ論の主要論客の一人である赤木智弘氏は{強者/弱者}+{男性/女性}という構造を立てて、弱者女性は強者男性に養ってもらえるから自分たち弱者男性より恵まれている、みたいな議論をしていました。このあたりの議論は『若者を見殺しにする国』(朝日文庫)などを参照してほしい(というか同書を読まないでロスジェネ論を語らないでほしい)。
ロスジェネ論が孕んでいた女性差別的な側面もいまではすっかり忘却されていますがそういった自分たちに都合の悪い側面を平気で忘却して、昨今の若者怖い怖いに走ってしまうロスジェネ論客の欺瞞は過去に何回か指摘してきました。同人誌『ロスジェネ論客よ、驕る勿れ』もその一つです。