【ツイート転載】2024年東京都知事選における若者論の横溢に警鐘を鳴らす(2024.07.06~08)


「普通の日本人」叩きの不毛(6・7日)

今回の都知事選で、私は蓮舫陣営を応援しているけど、だからこそ、仮に蓮舫候補が落ち、小池候補が再選したとしても「だから都民/日本人は邪悪なんだ」「普通の日本人には何をやらせても駄目」みたいなことを言ってほしくないし、言うべきではないと思っている。

実際にこの通りで、倒すべきものは強大なのかもしれないからこそ、仮に小池候補が再選したとして「自分たち」以外の有権者に勝手に失望してほしくないんですよ。むしろ、勝手に失望して分断を作ることこそが右派や愉快犯勢力の伸張を招く。

このことは過去の2010年代の安保で経験済みで、SEALDsの運動があっても安保体制を崩すことができなかったことから上の世代の左派は勝手に若い世代に失望して、2020年代の若い世代の環境運動や人権運動を貶める左派が生まれたきっかけになったんだよ。

勝手に失望する人間の多くは私の見る限りでは”オタク”文化圏出身の男性の、表現規制反対派ムラ批判者に案外多い。典型は津田大介氏あたりか。「自分たち」の「外」に対する差別意識は確実にリベラルな社会運動の阻害要因になるよ。

まあ他人を貶めたい(その実は味方を後から撃っているに過ぎない)ネット左派は無理矢理理由を付けて貶めるからね。杉並区長選でリベラル系の候補が当選したときすら「よかった探し」とか言って貶めた左派”オタク”がいたから。その人は「日本人は邪悪だから」が口癖。邪悪なのはてめえだ。蔑称としての「普通の日本人」を振りかざすネット左派こそ自分が味方を後ろから撃っている自覚を持てよ。

左派による若者バッシングの激化を懸念する(7日)

まあ正直これから左派においては若者バッシングが激化すると思うけど、そんなことをやる暇があったら例えば東大の学費値上げ反対運動をやっている人たちみたいなリベラルな若年層をもっと拡散しろよ、とは言いたい。

出口調査の初報で若者の投票行動を語るのは拙速だ(7日)

正直、こういう意見は世代別の投票率を掛けないと意味がない。私が昨年出した『若者はなぜ野党に投票するのか』でも述べたけど、国政選挙では無投票層を考慮に入れたら自民党に票を投じた「全体での」割合は世代でそれほど変わらなかったというものがあったので。

そのため、「Z世代」と呼ばれる若い世代が「自分たちの責任だ」と言うのは、正直、若者叩きが大好きな年長ツイッターの左派への迎合でしかないのでやめた方がいいと思います(「当事者」による発言ということでそういう左派を伸張させる可能性すらある)。必要なのは社会運動をしている同志を孤立させないことだと思います。

何度も言っていますけど選挙は世論調査ではないので、選挙の結果で国民や特定世代の心性を断定してしまうのはやめた方がいいです。そうでないと安易な方向、例えば若者バッシングとかに走ってしまう。

正直、ツイッターにおけるリベラルな若い世代に割とよく見られる「若者の右傾化」論への迎合は自らの身を滅ぼすものにしかならないのでやめるべきでしょう。この方は違うと思いますが、中には同世代への差別意識をむき出しにしている人間も過去にいたので。

若者論はこれだけバイアスがかかっている(7日)

あらかじめ警鐘を鳴らしておきますが、じきに「石丸伸二候補はなぜ票を伸ばしたのか」という名目で若者論が展開されると思いますが、そもそも我が国の2000年代以降の若者論は、「若者の右傾化」論と三浦展的なマーケティング言説という二重のバイアスがかかっているので、正直その2つからできるだけ自由にならない限りにおいてはただの八つ当たり、憂さ晴らし的な若者バッシングにしかなりません。

特に後者は、若い奴の尻ばかり(言葉尻含む)追いかけてるマーケッターが社会のあらゆる分野に精通している専門家扱いされているという明らかにおかしい現状があるので。

もっと「一括りにするな」と叫んでいい(7日)

リベラルな若い世代ほど、むしろ「「若者」というだけで一括りにするな」と叫んでもいいと思います。(とりわけ”オタク”文化圏の)若い左派は(ツイッターの上の世代に迎合して)自分たちの世代が悪い、と言う人もよく見られますけど、そもそもそういう「優等生」的な上の世代の若者論への迎合は、他の多くの差別に対する迎合と同じように、自らを滅ぼすものでしかないので積極的に「一括りにされない権利」を主張していくのもいいでしょう。

まさにこの通りなんですけど、他方で当時忸怩たる思いを抱えたであろう「当時の若者」が同じように若い世代を叩き、あまつさえ(特に”オタク”文化圏の)若い世代に同世代を叩かせようとしているのは本当に問題だと思います。


そういえば2021衆院選のとき、報道ステーションの印象操作報道で若者バッシングが盛り上がっていたとき、私とほぼ同年代の左派”オタク”(別件で2年前にブロック済み)が「自分たちが若い頃は社会の被害者だったけど、いまの若者はむしろ加害者側」とか言っていて、お前本当に俺の読者か?と思ったよ。

だって本当に俺の読者なら俺が10数年前に「若者の右傾化」論を批判していたことを知っているはずじゃん。ってことは自分が若い頃も「若者の右傾化」論で自分たちが雑に叩かれていたわけじゃん。それすら簡単に忘れたのかな。

なあ、「普通の日本人には何をやらせても駄目」が口癖のせ○な○っ○くさんよぉ。

郵政選挙の若者論の愚を繰り返すな(7日)

20年前の「若い世代」は「小泉純一郎に騙された」と断片的なデータと世代論でバッシングされました。同じ若者バッシングを繰り返すのですか。そんなことをしても無意味です。

メディアカルチャー世代論の不毛さ(7日)

《YouTube、TikTok世代》と仰いますがそもそもYouTubeとTikTokでは接触者層が違うという指摘もあります。そもそもメディアカルチャー中心の世代論は「彼ら(若年層)」と「私たち」の「違い」を過剰に採り上げるバイアスがあるので、それで社会を語るのは控えるべきです。

そもそもYouTubeやニコニコ動画のサービスが始まって何年経っているのか、2ちゃんねるは……ということを棚上げして「ネット・動画サイト=若者」と一緒くたにして語ること自体がどうかと思いますし、単純にメディアカルチャーの接触で世代を分断して語るのも危ういと思います。

第一、劣化言説の時代以降の我が国の世代論は、メディアカルチャーと大文字の「教育」(ゆとり教育、教育基本法「改正」など)に対する偏見を元に構成されるステレオタイプが大部分なので、それをベースに社会を語ることは危険です。

参考:

生き生きと若者を叩く左派への違和感(7日)

この前のミセスグリーンアップルの件もそうだけど「若者を叩きたい左派」が生き生きと若者を叩いていて本当になんだかなぁと。別にそれらが問題ではないというわけではなく、政治や表現の問題を「若者」の領域に押し込んで八つ当たり的に「教育」を批判したりやメディアカルチャーを偏見たっぷりに語ってみせるという別の差別的行為をしてしまっているという点で。

雑な世代論全部盛り!(8日)

雑な世代論全部盛りみたいなものを見てしまった……。そもそも20年前は「若者が小泉純一郎に騙された」と言われた。《有無を言わせず服従させる教育》って教育基本法「改正」のことだろうか。

第一世代全体の得票率が現時点ではわからないし、また蓮舫候補に投票した若い世代もいるし、首都圏を中心に学費値上げ反対運動やパレスチナ反戦運動も起こっているし、国政選挙では立憲野党の得票率も他世代とあまり変わらないわけで1回の地方選挙だけでここまで語れる心性がわからない。

いや本当にこんな雑な「時代背景」でどうして若い世代全体を語れると思っているの?それに若い世代が教育によって服従させられていると考えているならむしろそれを批判するのが上の世代の務めじゃないか。なんでそれを所与のものとして若い世代に怯えてみせているの。

「Z世代」論は意図的にでも避けろ(8日)

第一いまの我が国の「Z世代」論って偏見に偏見を重ねた「ゆとり世代」論にさらに偏見に偏見を重ねた「ミレニアル世代」論にさらに偏見に偏見を重ねたものなんだからむしろ積極的に避けるのが善だよ。

全労連中澤誠氏におけるカジュアルな年少者蔑視(8日)

「小池百合子」は呼び捨てなのになぜ「石丸君」は「君」付けなのか。呼び捨てでは駄目なのか。若い世代(あるいは若い世代から支持を集めているとされている人間)を見下す心性が現れていないか。

マーケッターの政治への侵入を防げ(8日)

まあ正直怖いのは山田昌弘とか原田曜平とか電通や博報堂の若者ナントカ研究所みたいな若い世代の尻を追っかけているだけで専門家扱いされている連中が「若者に詳しい」人間として立憲民主党やマスコミに入り込んでしまうこと。ある意味石丸伸二よりも怖いぞ。

「一括りにするな」という若者の声を無視するな(8日)

実際に粗雑な若者論が横溢している一方で、リベラルな若い世代や支援者から「若い世代だってたくさん行動した」「一緒くたにするな」という声が少なからず上がっていることは本当に救いがあるし若者バッシング大好きな左派はその声を聞き逃してはならないと思うよ。

それにしてもタイムラインを流れるテンプレ、テンプレ、またテンプレ。やれ奴隷教育やら主権者教育が足りないやら数億回聞いた話ばかり。右派がフェミニズムを雑語りするように、左派は若者を雑語りする。テンプレートがあるからね。そしてテンプレートは疑われない。ただの思考停止。


19年前の俺「いつの間にか小泉じゃなくて「小泉を支持する若者」のせいになってる」

まあそれはさておき(新刊楽しみです)、約20年前の郵政選挙もそうですけど(というよりはそれが走りですけど)「若者」に原因を押し込む言説は上の世代の溜飲を下げ、若い「優等生」層から上の世代の機嫌取りのための「反省」まで聞かれるわけですからそりゃあ若い世代を叩きたくなります。単純に易きに流れているだけなんですよね。そしてそれ自体が年少者が差別を受ける側であるということの実証になっている。

右派はミソジニー、左派は若者バッシングで万事解決。こんな言論は腐っています。


富永京子氏の新刊はこちら:

改めて、「若者の右傾化」論はどう生み出されたのか、なぜ有害なのか(8日)

というわけで今日はこれを紹介します。「若者の右傾化」論は香山リカ『ぷちナショナリズム症候群』で基礎を作られ三浦展『下流社会』で完成します。『下流社会』が発売される1週間前に行われたいわゆる郵政選挙において、小泉純一郎(的な手法)が若い世代に受けたのだと東京新聞を中心に喧伝され、そしてこの記事でも採り上げた金子勝氏のコラムのように、「私たち」のような上昇志向を失った刹那的な若者が危険な政治的動きを支持するようになったのだ、という認識が形成されました。

そもそも『ぷちナショナリズム症候群』自体一部の「若者文化」と自民党(小泉政権)的なものを短絡して嘆いてみせるものでしたが、それが左派において一般化されたのが『下流社会』の発売です。そこから若い世代は大人達にとって「内なる侵略者」となり、恐怖の対象になりました。それが検証されないままいまに至っているのです。


ネット左派の皆様はお忘れでしょうけど、本来、年を取るということは権力を得るということなんです。権力勾配の上に立つということなんです。ところがサブカルチャー左派においては「若者の右傾化」論において若者=加害者、権力者という図式ができてしまっているからおかしくなる。

生き生きと若者叩きをするモバイルプリンス氏(8日)

こういうことを言っている人たち、20年くらい前には「若者が小泉純一郎に熱狂した」 「若者が橋下徹に熱狂した」と言われていた事実を知ったら寝込むと思う。なんでいまの若い世代ばかり問題視したがるんだろう。てか子供の麻生人気とやらの根拠はどこにあるの。「shors動画がたくさんある」即「子供に人気」とか短絡的すぎる。

まさにこれこそが富永京子氏言うところの「いつの間にか石丸を支持する若者のせいにされている」なんだよね。約20年前の郵政選挙だっていつの間にか小泉を支持する若者のせいにされた。こんな若者論は不毛だっていい加減気付け!!

本当はこれをきっかけに若い世代を叩けるのがとても嬉しいんですよね、あなた。こんなに生き生きとしているのを見ると。さぞかしいい夢を見ているんでしょう。

実際これで、ただ下の世代から突き上げられるよりも「でも俺らだって若い頃は小泉が橋下がとか言われて一括りにされていた、あれは悔しかった、いまの若い奴らにも悔しがっている奴がいるはずだ」と上の世代が自発的に思うようになるのが好ましいんですよね。


まあ仕込みでしょうね。嬉しそうに若者バッシングに走った人間もこいつに騙されたんだよ。その自覚を持て。

和田靜香氏よ、一番イケていないのはあなただ(9日)

しれっと若者蔑視を入れるのはやめてください。「メディアから」だけで十分ではないですか。人権のために活動する若年層を切り捨てないでください。

はっきり言います。一番イケていないのはあなたです。なぜこの期に及んで《今いちばん若者やメディアからバカにされる》としれっと若者蔑視を挟んでいるのですか。学費値上げ反対運動や反戦運動、そして一人街宣に経った若い人たちは簡単に切り捨てるのですか。


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