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私に強烈な影響を及ぼした米軍退役軍人:心の中で陰謀論を考える

我が家は五大湖の一つミシガン湖の近くにある。その湖畔には犬専用の大きなビーチがある。3年前に飼っていた犬が他界するまで、よくそこで犬を遊ばせていた。そこでアメリカ海軍の退役軍人の方と仲良くなった。彼はいつも2匹の犬を連れてきていた。名前はエルビスとリンゴー。ロックンロールのファンであることが名前から想像できた。話しているうちに、彼はいわゆる“戦争オタク”であることがわかった。ノルマンディー上陸、仁川上陸、真珠湾攻撃、硫黄島の戦い、戦艦大和など大変詳しかった。彼の口から天皇裕仁、近衛文麿、東條英機、山本五十六の名前が出てきてびっくりした。彼はある日こんなことを尋ねてきた。

”真珠湾攻撃に関するお前の意見を聞かせてくれ”

恥ずかしながら全く答えられなかった。彼はその詳細を教えてくれた。

”もっと勉強しろ。お前の国なのだから。社会でおこる様々なことには理由はある。悪い言葉で言えば“陰謀”だ。ベトナム戦争のスタートも陰謀だ”

私は帰宅して“ベトナム戦争”“陰謀”でググってみた。驚いた。その裏(真実)を知らずに物事を見ると誤った見方をしてしまう。

今から20年くらい前に私が所属していた研究室に日本の会社から研究員が来られていた。彼は2年間所属した後に帰国された。

帰国後最初に命じられた仕事は新入社員の一次採用面接。驚くことにその履歴書には出身校が書かれていなかったそうだ。要するに面接だけで最初の篩をかけるのが彼の仕事。

彼曰く、”これだったらサイコロを振った方がまだマシ。物事を先入観なしに見なさい、なんてありえない”と、ぼやいていた。

私はあの退役軍人と話しているうちに、世の中で起きてきたことは一見偶然に見えるけれど、実はそうではないのではないかと思うようになった。心の中で一旦陰謀論を立ててみることは面白い。科学者の世界では“仮説”を立てると言う。そうすることにより見えなかったことが見えてくることが多々あるし、そのことに対する対応も変わってくる。しかしこれを他人に喋ると面倒くさくなることが多いので控えた方がいい。

”先入観なしで真っ白な心で物事を見る。”
これはそう考えて欲しくない人の願いなのかなと。これも陰謀論(笑)

先日久しぶりにこの退役軍人の方にお会いした。足がかなり悪くなり杖でやっと歩ける状態だった。彼のそばにはエルビスもリンゴーもいなかった。もうこれが最後だろう。私に影響を及ぼした一人であることは間違いない。

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