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私の特殊な生い立ちな話〜によせて*
「私の特殊な生い立ちな話でも聞く?」を
お読みくださった皆さま方、ありがとう存じます
元々Xで投稿していたものですが、
リポストが凄かったのと誤字も多かったので、読みやすいようnoteにまとめたものです
ついでに写真も載せたりなんかしちゃったり(笑)
私自身も、改めて自分の生い立ちを振り返る、良い機会となりました
![](https://assets.st-note.com/img/1736587465-NspMKWamQEFbDI2nL9J6rTBS.jpg?width=1200)
確かに「特殊な生い立ち」とひと言で括れば
そうなんでしょうけど
「特殊」は「特殊」でも
自分の生い立ちについて違和感を持つことも
人様と比較して羨んだこともなかったのですね
多分周りから愛されて育ったんだろうと思います
現に父母はありったけの愛情を注いでくれました
わがままを手話で言える環境でしたし
手話で叱ったり諭してくれる親もいましたし
ロールモデルとなる聾大人達もいましたし
そして
聴文化や日本語を教えてくれた聴者達もいました
私の場合、
たまたま環境が良かった
たまたま運が良かった
それしか言えません
そのどれかひとつでも欠けていたら
現在の私のようにはなっていなかったでしょう
いくつかのピースが偶然、
はまった
ただそれだけです
私はたまたまラッキーだったのです
![](https://assets.st-note.com/img/1736587632-rCYp6WfdDJGoVhtQTc3EZyew.jpg?width=1200)
もし、親が聞こえる親だったら?
赤ちゃんの時からすでに、あれ?この子…音に反応しないわ…?などと違和感を感じるでしょうね
そしてすぐ病院に私を連れて行き、
医師からこう宣言されると思います
(注:昭和時代の話です)
「残念ですが……
もしくは
「お気の毒ですが…
この赤ちゃんは耳が聞こえません
早くから聴覚訓練をすることをお勧めします」
そう言われるでしょう
その後、0歳児から聾学校幼稚部に母子通園し、
わずかな残存聴覚をなんとか生かした(つもりの)
口話(発音)訓練をすることになるでしょうね
字幕はありませんがこのYouTubeの感じですね
口をパクパクさせていますね
手話が全く使われていないでしょう
下記の記事によると「聴覚口話法」という教育法だったようです
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2005_26_2.pdf
*ろう教育については、ググればいくつかヒットしますのでご覧ください
「聞こえる人のようになりなさい
「聞こえる人のように頑張らねば
と、聞こえる親から繰り返し言われるでしょう
それはいわば、「聞こえない私」を否定するということです
そうなると、
聞こえない私は、聞こえる人より劣るのだ
聞こえない私は、聞こえる人のようにならねば
聞こえる人のように、話せるようにせねば
そういうふうに思い込まされて育つわけです
そして、
聞こえる人達同士で楽しそうに会話したり、笑い合ったりしているのを見かけても
聞こえない私は、聞こえないんだから仕方がない
「今、何の話をしているの?」なんて聞けない
だって、私は聞こえる人より劣るのだから…
聞こえる人話せる人は、「偉い」
頑張って口をパクパク開けて
振り絞ってなんとか声を出せば
親や先生は喜ぶから
そうして
親の話すことばを、「おうむ返し」に
そのまま、そっくり、
真似をして/したつもりで、
発音すれば、親や周囲は褒めてくれる
褒めてくれると、聞こえる人の一員になれるかも
……ことばの意味がわからなくても
しかし親や周囲は、ことばの意味「も」わかっていると
思っている
でも、実際はわからない
記号みたいな感じ
パクパク声を出して記号みたいに綴って……
でも、何の意味かわからないままに
話はそれますが、
伝記でも有名な「water!!!!!」
ヘレンケラー氏が初めて
ことばを認識したシーンとして有名ですね
聞こえない子どもに
ことばをことばとして認識させる
これが結構難しいのです
聞こえる子どもならば、自然に
日本語を習得します
聞こえない子どもはどうするか
日本語を不自然に習得させようとします
ですが、
聞こえない子どもが自然に習得できるのは、
やはり視覚的言語である手話だと思います
何年もかけてパクパク口話訓練をさせるより、
手話で早いうちからことばを知り、
自分の言いたいこともちゃんと言える
そして人の話も理解できる
その方が知識も増えますし、視野も広がります
はるかに人生が豊かなものになると思いますね
あと、大事なのが
上記にもありました通り
聞こえない私は、聞こえる人より劣る、
という劣等感をあまり持つことがないことです
「残念ですが…
「お気の毒ですが…
と言われることもなく
「手話で会話できるの?羨ましい!
「いいなあ!親も手話できて
いつも周りの聾者達から言われました
そんな環境だったので
劣等感を持つ必要がなかったのです
それに、ロールモデルとなる聾大人達がいましたから
聾なりにどうやって生活しているのか、
どんな人生を送ってきたのか、
教わる/知ることが出来る環境にあったのも幸いでした
「聞こえなくても当たり前に普通に生活できる」ってことを知っているから、
劣等感という感情が入る隙間すらなかったのです
それは私の性格に大きな影響を及ぼしました
聞こえない私は、聞こえないままで大丈夫
だって聞こえないみんな逞しく生きている
聞こえなくて出来ないことは、
なんらかの道具を工夫して補うか
それとも、お願いしますと人を頼るか
それから
まあ、しゃあないか!と潔く諦めるか
のどれかでした
ゆえに劣等感を抱く必要はなくて
聞こえない私は、聞こえない私であって
聞こえない私も、聞こえない私だから
聞こえる人になりたい、とは思わなかった
聞こえなくて嫌なこととかはあったけれど
それでも、聞こえる人になりたいとは
思わなかった
聞こえる人の世界ってこんな感じなんや、
音が聞こえるってこんな感じなん?
ふうん、でおしまいです
あくまでも、
聞こえる人と聞こえない私、
線引きがはっきりしていたのだろうと思います
それは、自分が聞こえないという受容ができていたのでしょう
聞こえない自分をありのままに受け入れる
これはなかなか難しくて
ちょっと例えは違うかもしれませんが、
だんだん聞こえにくくなったとして
「あら、おたく、耳遠くなったんちゃいます?」と言われても、そんなはずないやん、とか思ってしまうのが聞こえる人の心理だそうで
なかなか自分は耳が聞こえにくくなった、ことを
認めたがらない方が多く
すんなりと、「はいそうです、だんだん聞こえにくくなりました、だからゆっくり話して欲しい」とか、「聞こえにくくなったから、もう一度話してほしい」とか、相手にお願いするのに抵抗感があるそうです
人にお願いする、のはかなり勇気がいりますよね
今まで「普通に」聞こえていたのに、
ある日、聞こえなく/聞こえにくくなり、
何らかの場面で困ったことが起きたとしたら、
…こうしてほしい、とお願いできますか?
きっと抵抗感があると思います
今の自分を受け入れる「受容」は、
聞こえない、だけではなくて
私は幸いというべきなのかわからないけど、
母が乳がんと卵巣がんも患っており、
闘病生活を長年目の当たりにしてきました
ですので、
医師の「残念ですが、悪性腫瘍でした」にも
私はすんなりと受け入れられました
母を通じて乳がんはどういうことか知っているから、
きちんと治療を受けれれば生存の可能性もあると知っているから、
抗がん剤治療も受けた
放射線治療も受けた
髪の毛が抜け落ちても、悲痛はなかった
なぜなら、髪の毛は必ず生えてくると、
母を通して知っていたからです
その、「知っていたから」は、大きいと思います
聾者の生き方を子ども時代から「知っていたから」
自分を否定しなくてもよかったのかもしれない
私は、いま
聞こえなくても
しあわせだよ
普通に生きてるよ
うん、
そうだね
いろいろあったけれど、
これもそれも
ぜーんぶ、
聞こえない私。
聾の私。
おしまい
こちらの記事も参考に…
▼家族全員聾者であることを
デフ ファミリー (deaf family)
と言います
https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/001962666.pdf
▼障害受容:自己理解と新たな可能性の探求 (厚生労働省)
https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/2107_67_p18-22.pdf
*おまけ
![](https://assets.st-note.com/img/1736588207-5jgcP2hRl0ks14NbamGF6qTU.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736588387-y5SCVRFNGZbIMkvqpXhAms19.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736588428-jqwmyBOoQAWsT0nxvhKHbaXg.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736588245-Fs589TdxWilnvtXh7wHNOkEp.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736588245-juVwLB2Y530odfpmCJT6FD7z.jpg?width=1200)
いつか短期交換留学した話をまとめたいと思います
![](https://assets.st-note.com/img/1736588509-rws4lTtvOAPZUcMkKxJgCLuq.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736588588-FLJ7Q9aEGRHBDl3IWhStnV58.jpg?width=1200)