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「『ハーフ』ってなんだろう? あなたと考えたいイメージと現実」感想

下地ローレンス吉孝さんの新作
「『ハーフ』ってなんだろう? あなたと考えたいイメージと現実」を拝読しました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4582838669...
「ハーフ」、「ミックス」など、さまざまな呼称でよばれる外国にルーツを持つ人たちのインタビューから見えてきた社会の問題についての考察が丁寧にまとめられた一冊です。
当事者の方々が語った差別体験のなかには、いきなり髪をさわられた、写真を撮られたなど、びっくりするくらい非常識なものから、「ハーフだから美人だね」「日本語じょうずだね」と悪意なくステレオタイプを押しつけるものや、日本人ではないという考えが根底に潜むものまで。(後者は自分にも思い当たるところあり反省)
この本の中でインタビューにこたえている方はいいます。
「自分だけが心の中で克服すれば済む問題じゃなくて、大きな原因があってそれを変えないと」
「自分より若い人たちもたぶん同じ経験をする」
スポーツ界や芸能界で成功している人がメディアで取り上げられ、差別を乗り越えた、という文脈で美談として語られることもあります。その姿は、同じルーツをもつ子に希望を与えたり、ロールモデルになったりするかもしれません。
けれども当たり前のことですが、同じハーフでも生まれ持った能力や置かれた環境はそれぞれちがい、個人の力では差別を乗り越えるのが難しいこともあります。実際に心を患い、自死するまでに追いつめられた人もいます。
問われるべき、変わっていくべきなのは、私もふくめた社会の構造の問題であることを、自分も取材をさせていただく身として忘れまいと思いました。永久保存しておきたい一冊です。
ハーフをテーマとした本ですが、障害や貧困、LGBTなどさまざまなことに置き換えて考えられる部分も多く、幅広くたくさんの方に読んでいただきたいです。

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