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EMSの発送のしかた。Toメキシコ(後編)

前回の記事では、梱包からメキシコに送るEMSの作り方までの発送準備を綴りました。
EMSの発送のしかた。Toメキシコ(前編)

今回は、それらを持って郵便局に行って直面した問題の数々と、対処法と、結果を綴って行きたいと思います。


小包と作成したEMSを持って郵便局に出向いた私。
係の人に書類を入念に確認され、不備もなく、引き受け完了か
、、、と思いきや、話の流れで禁制品の話題となり、改めて禁制品一覧を見ていると、先方から、

局員さん(以下"局")「禁制品の中に、1000ペソ以上の物品は、受取主が関係当局への事前申請が必要と描かれています。」

と言われる。

私「1000ペソっていくらですか?」

局「約5000円です」
(ちなみにこのときのレートは、1メキシコペソ約¥5.5)

私・心の声「まじか。」(¥22,000の商品なので、余裕でオーバーしている。)
しかも、申請がなかった場合は、没収される可能性もあると一覧表に記されている。

局「あと、内容品の価格が50米ドルを上回る郵便物には輸入税が課される。とも描かれています。これは受け取り側に掛かるものですね。金額はすみませんが、こちらでは解りかねます、、、。」
このときのレートは、およそ1米ドル¥110。50米ドルだと¥5,500だ。

規則通りに行くと、
・メキシコ人のお客さんに、現地当局へ事前申請してもらわなければ、没収される可能性がある。
・私の発送物には輸入税が掛かり、それはお客さん負担となる。しかもいくらかわからない。


というふたつの問題に直面した。
とりあえず、その日は考えると言って、発送を見送った。

ちなみに、私が住んでいる街は、地方都市のそのまたベッドタウンだ。
こんな田舎からメキシコに発送する者など皆無だろう。
局員さんも、「アメリカとかなら結構あるんですが、メキシコへ発送されたお客様は最近ではいらっしゃらないので、、、」

と、メキシコへの発送対応の経験は皆無の様子だ。
情報はほぼ把握していない雰囲気だった。(当然だ。)

そしてネットでリサーチしまくった末、
以下のようにメキシコ発送について推測した。

・1000ペソ以上は事前申請が必要な件
 日本郵政と日本の一部の民間宅配業者のサイトには、確かにそう描かれている。
 しかし、ジェトロ(日本貿易振興機構)やメキシコ当局のホームページの輸入に関する詳細には、その旨は書かれていない。こんな大切な事を政府機関や国際的な貿易機関が書きそびれるだろうか?
 加えて、メキシコへ発送したり、日本からメキシコへ発送してもらったりしている人たちのブログを多数読んだ。やはり、ほとんどの人が¥5,000以内に収めて発送している。しかし物品を見る限り、明らかに合計額が¥5,000以上の小包もかなり少数ではあったが見受けられた。(明確な金額は確認していない)
 この人たちが面倒な事前申請をしていたら、多少は記事にする人がいると思うのだ。

特にジェトロのメキシコへの輸入に関するPDFはとても詳しく書かれており役に立った、以下に重要な部分を抜粋する。

⬛︎ 以下、ジェトロウェブサイトの「小口貨物の通関・関税制度
(メキシコ)」より。

・貨物価額が US$1,000(約10万円) 相当以下の場合、国際郵便(EMS を 含む)を利用した簡易通関が可能。時期によっては、US$3,000 相当までの貨物も可能。



・貨物価額が US300 ドル相当以下であり、非関税規制の対象外、もしくは商品の特徴・数量などから個人用の商品ということが明らかな場合、関税(IGI)、付加価値税(IVA)、通関行政手数料(DTA)のいずれも支払う必要はなく、通関士や法定代理人を利用する必要もない。



・貨物価額が US$300 超 US$1,000 以下(時期によっては US$3,000 以下)の場合、税関当局が「郵便物通関許可証(Boleta Aduanal)」(別添①)を使って支払い税額を計算し、郵便局を通じて荷受人に通知する。その際、原則として税関評価額の 16%の総合税率が適用される。



参考ページ/ジェトロ・「小口貨物の通関・関税制度(メキシコ)」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/b9a2a535cc236b25/mexico_custom.pdf

更に、本家メキシコ政府のサイトでこんな表記も発見した。

⬛︎GOBIERNO DE MÉXICO(ゴビエルノ・デ・メヒコ)/商品の輸入
<通関券なしの商品の輸入について>
商品は税金の支払いの対象にはならず、次の場合に「税関チケットまたは税関職員のサービスを使用する必要もありません。
 ・受取人または荷受人あたりの関税額は、50ドルまたは外貨での同等額以下。
 ・商品は非関税規制および制限の対象ではありません。詳細については、一般的な輸出入税率http://www.siicex-caaarem.org.mxを参照してください。
 ・それらが使用されているか、またはその性質と量に応じて販売できない新しい個人消費財であるかどうか。

書籍は、一般輸入税の支払いの対象となる木材パルプ、段ボール、紙に関連する一般輸出入税率の関税セクション4901.10.99に分類されているものを除き、数量や金額に関係なく輸入できます。

GOBIERNO DE MÉXICO(ゴビエルノ・デ・メヒコ/メキシコ政府)/商品の輸入
http://omawww.sat.gob.mx/aduanasPortal/Paginas/index.html#!/postal

ちょっとわかりづらいかもしれませんが、要するに、通関チケットというものが付けば支払い義務が生じて、つかなければ支払う必要がないということだと思われます。上記の項目を満たせば、税金はかからないのです。
わかりやすくまとめると、

・規制や制限の対象では無い商品である事。
・「関税額」が50ドル(約¥5,000)以下であること。
・個人消費のための商品であること(商品性質や数量から判断される)。
・「商品価格」が1000ドルを超えない事。

ちなみに、関税額50ドルはレートによりますが、日本円で物品額としては約¥30,000を少し上回る程度の荷物がそれに相当します。なので、3万までの物品は、面倒な申請手続きや荷受人への税金等も掛からず、本来は気軽に送ることができる案件。ということもわかりました。(ただし、規制対象品や、税率17%以上の物品を除く。)
ここは、ジェトロの説明とも一致しています。

300〜1000ドル以下の物品に関しては、税金はかかるけれど、事前申請などは必要なさそうです。通関チケットも現地当局が発行するようです。
これもジェトロが補足説明してくれています。

1000ドル以上になると申請が必要かもしれません。

ここまでまとめていてふと思った。
日本郵政は、メキシコの輸入規定の ”超大事" な部分を2箇所も誤訳してしまっているのではないかと。

正:「関税額」が50ドル(約¥5,000)以下の商品は、通関チケットは必要ない。
誤:50ドル(約¥5,000)を超える価格の「物品」には関税が掛かる。

正:物品価格が1000「ドル(約10万円)」を超えない商品には、通関チケットは必要ない。(他の条件も満たせば関税は掛からない。)
誤:物品価格が1000「ペソ(約5千円)」を超える商品には、荷受人の当局への事前申請が必要。

おまけ/到着にかかる時間について。

はじめに局に行った時、配達スケジュールについても注意喚起されました。(現在は2021年7月でコロナ禍の只中です。)

局「現在コロナの影響で、EMSの大幅な遅延が各地で発生しています。
もしかしたら、2、3か月以上掛かることもあるかもしれません。どのぐらいで届くかは明確に申し上げられません。」と伺いました。

その旨を発送前にお客様にお伝えし、「理解してるから大丈夫。」的なお返事を頂く。

そんなこんなで何とか発送が終わりました。

その後、一番の心配は税関でした。

今回は販売品なので、贈り物より厳しく見られるかなぁ?とか、
A4サイズの画用紙アート作品が¥22,000とか怪しく思われないだろうか。とか、
他の人のブログで税関で数ヶ月止められてたとか、一部の禁制品を抜かれていた等の記事も読んでいたので、実は色々心配でした。
加えて、局員さんにコロナの件での遅延も口酸っぱく聞かされたので、もうのんびり待とうと構えておりました。

結果としていつ頃届いたかと言いますと、








9日後に届いていた。







一番心配だった税関のところを確認すると、、、

スクリーンショット 2021-07-25 23.48.41

↑、、、約40分で税関を突破していた。


↓全体を見ても、そこそこスムーズな発送スピード。

スクリーンショット 2021-07-25 23.56.04

結論として、郵便局から提示された問題は何一つ起こることはなかった。


全て骨折り損のくたびれ儲けにも見えますが、今回の発送でメキシコ発送への自信がつきましたし、(今後送る事があるんだろうか。)
1000ペソ以上は実質送れないという郵便局の謎の呪縛(?)を解き放つことができました。

きっと、他の誰かのメキシコ発送時の希望になる事であろう。(しらんけど。)

メキシコへの発送の大事なポイントまとめ

※ご注意:以下の内容は、日本郵政の禁制品リストや日本郵政が唱える輸入税の仕組みとは異なっています。私個人の解釈です。発送は個人の責任と判断で行ってください。

・US$1,000(約10万円)以下の物であれば、簡易通関で発送できる。(相手もこちらも事前申請等は要らない。)
 限度額がUS$3,000(約30万円)に引き上げられるシーズンもある。
・更に、US$300(約3万円)以下の明らかな個人商品であれば、輸入税も掛からない。
・US$300(約3万円)〜US$3,000(約30万円)の物品には、恐らく16%の輸入税がかかる。(物品によっては、もっと税率の高い物もある。)
・US$3,000(約30万円) を超える貨物の場合、簡易(総合)税率16%は適用されない(おそらく税率が高くなる。)
・1 ヵ月当たり US$5,000 相当までの(メキシコの受取人の)個人輸入が可能(ただし物品による)。
・送り状は、物品のところだけでもスペイン語で書いておくと、税関をスムーズに通る可能性が上がるかもしれない。

※当然ですが、メキシコ政府が定めている禁制品を入れた場合は、金額に関わらずバレたら没収です。

以下は、今回相当郵便局に振り回された部分かつ、自分の見解として大事な部分なので書き残します。

・日本郵政が案内する、"1000ペソ以上の商品の場合は当局へ事前申請が必要。"の項目は、メキシコ当局で運用されているとは到底思えない。
 (日本円で¥5,000以上で当局に事前申請しないといけないなんて、そんな馬鹿な話があるか?と正直思ったところから、私の本気モードのネットリサーチが始まった原因でもある。)

・日本郵政が案内する、"50米ドル以上の商品には輸入税がかかる"の項目も、私は300米ドル以上と解釈しています。

・海外発送に関するルールは、基本的に受け取る側の国のルールが全て。
 たまに、日本側の発送ルールが相手国で適用されていない、守られていない。などの意見が見られますが、相手国には相手国の法律しか通用しません。相手国の税関で日本のルールは適用されません。

 なので、本来最も正しい情報元は、日本郵政の発送ルールではなく、送り先の相手国の政府公式WEBサイトの税関情報ページです。(海外発送なのに、『日本郵政の発送ルールが全て。』と思っている日本人は少なからず居そうな気がします。)
昔と違って今はブラウザの拡張機能でボタンひとつで簡単にページ全体を翻訳できるので、調べてみましょう。

また、ジェトロは日本の貿易関係の団体かつ、おそらく各国に駐在員が居る為、日本郵政よりも精度が高い情報を出していると思われます。
こちらは日本人が日本語でまとめている情報が読めますので、併せてジェトロも参考にすると情報の解像度が上がると思われます。

 基本的に日本郵政は、相手国の税関情報を翻訳してお客さんに発信しているだけだと思われますので、日本人から見て馴染みのない言語の国の税関情報は、翻訳ミスがある可能性は十分にあります。


 


以上のジェトロの情報と今回自分が経験した現実を踏まえ、日本郵政の禁制品や輸入税の情報は、各国当局の情報と喰い違っている部分も多少あるのではないかと正直思っています。

郵便局の案内する情報にも間違いがあることを勉強できた事は収穫かもしれません。(郵便局の出す情報は絶対だと思い込んでおりました。)

日本人は特に海外に出て行く習慣がない民族だと思うので、特に交流の少ない国の情報は、間違っていたり更新されないままになっているのではないかと思います。加えてほとんどの日本人は日本語しか喋れないので、局員も相手国に確認する機会など皆無に等しいであろう事を想像すると、今回の一連の流れが腑に落ちるのです。

郵便局には、定期的に各国の税関情報を更新して頂きたいです。
政府公式サイトを訳すのが大変であれば、せめてジェトロの情報を定期的に確認して情報を更新してほしいなと思います。


今回は、何となく郵便局の禁制品リストが非常に腑に落ちないと思った事と、既にお客様より代金も頂いていましたので、何としても発送しなければならないという環境が、根気が必要なネットリサーチや、勇気が必要な今回の発送を後押ししました。

権威の言う事を聞いたり丸め込まれるだけではなく、腑に落ちない事は、自分の感覚に従って納得できる結果を探す事はとても大切だと感じました。

それは、日常の小さな選択から人生の大きな決断まで、多分に影響することかもしれません。

自分の感覚を信じて、自分で行動し、感じ、結果を受け取り、正しい知識を得て勉強し続けていきたいです。

海外のお客様からのお問い合わせも徐々に増えているので、現在、海外に関する発送ごとや決済サービスも積極的に取り組んでいます。

これも海外事業のための勉強の一つです。大変ですが、ひとつひとつ丁寧に行って、ステップアップしていきたいです。


思った以上に長々と書いてしまいました。
ここまで全文しっかり読んでくれた人がいたら、すばらしい!ありがとう!!
多分、メキシコへの発送方法を本気で知りたい人だけだと思うのですが笑
もし、ちゃんと全文読んだぞ!という方がいらっしゃいましたら、ぜひいいねをお願いします。

2021.07.28追記:
お客さんに、実際に輸入税は掛かったか?発送に関して改善点は無かったか?と聞いて見たところ、以下のように返答がありました。

(梱包について)とても良い状態で受け取りました。
世界の反対側から送られた事を考えると、正直ってとても速かったよ。

今回のケースでは、私たちは輸入税を支払うことなく、自宅で荷物を受け取っただけでした。

とりあえず、予想通り関税が掛からなくてよかった。
商品も、きれいな状態で届いたようで何よりでした。

ーさいごにー
2024.1.17追記
3年程前に書いたこの記事は、少なからずメキシコ発送を試みる方のお役に立っているものと時間が経つにつれ感じております。更にこの記事が多くの方のメキシコ発送の良き情報源となるよう、もしよろしければ、私以外のメキシコ発送経験者の方々にもご協力頂けませんでしょうか?

あなたのメキシコ発送のご経験を当記事コメント欄にご記入頂けましたら、きっと多くの迷える発送者の方の心の助けになると思います。

例:2022年秋頃、3万円の電化製品をメキシコに無税で発送できました。の様な簡単な記載でも結構です。

詳細を教えて頂ける方は、物品金額や商品内容以外にも、当時のレートやどのぐらいの期間で発送できたか、また郵便局員さんとのやりとりの状況など、を教えて頂けると多くの方の助けになると思います。

当時、自分もメキシコ発送は初めてで、ネットで検索しても、当時5,000円以上の物品発送経験者の方の情報を見つけられず、メキシコ政府とジェトロの情報を参考にしながらも、とても不安な思いでメキシコ人のお客様にEMSを発送した事は未だに良く覚えております。

経験者の皆様にご協力頂く事で、より少しでも当時の私と同じ不安を抱えた発送者の皆様の助けになればいいなと思っております。

過去に高額製品をメキシコに送った経験がある方、また、この記事を読んで発送が成功した方からの事後報告など、皆様のご経験談お待ちしております!

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