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2022年、買って良かった物。

こんにちは。気まぐれ投稿が故に、しばらく間が空いてしまいました。

さて、このタイトル。
年が明けてもう2月だというのに、このタイミングで2022年を振り返るだなんて馬鹿なの?という感じですが、改めて良い買い物をしたな、と感じているので書き留めておきたいと思います。

何を買ったのかと言いますと、見出しの画像の通りギターです、はい。
子供の頃からギターという楽器が大好きで、親の楽器を弄って遊んだりとかしていました。とはいえ、本業のドラムとは違い、あくまでも嗜む程度の趣味です。大人(というかオジサン)になったので、そろそろ家で遊ぶ用にギター欲しいな、とか何とか思い始め、10万円以下のお手頃な価格帯で、見た目も音も「まぁ、良いかな」と思える線の楽器を数本購入し、そこそこ満足していたはずでした。

が、しかし。
やはり欲というのは出てくるものでして。

ギタリストの越智巌さんのトリオでツアーをしていた時に、ちょっと気になるギターが有るから見に行っても良いか?と越智さんが言うので、富山の楽器屋さんへ一緒に行き試奏してきました。Nashguitarというブランドのテレキャスタータイプのモデル。色はシェルピンクで可愛く、音も弾き心地もとても良い。えー、越智さん、これ絶対良いから買いなよー!!とメンバー一同激推しした甲斐が有ったのか、無事購入、めでたしめでたし。

…だったのですが、このシェルピンクのテレキャスターにすっかり感化されてしまい、何だか僕もちょっと良いギターが欲しくなってしまったのです。テレキャスターといえば、僕の敬愛するキース・リチャーズやスティーヴ・クロッパーなど、憧れのギタリスト達の愛機として知られるモデルであり、量産されたソリッドボディのエレクトリックギターとしては元祖と言えるものです。僕も良いテレキャスターが欲しい…2022年夏、素敵テレキャスター探しの旅が始まってしまいました。

それからというもの、寝ても覚めても頭の中はテレキャスターの事でいっぱい。東京近郊はおろか、全国の楽器屋の中古情報を漁り、好みのスペックのテレキャスターを探しては試奏に行ってみて悩み…を繰り返す日々でした。

その中で出会ったのが、2020年製 Fender USA The 70th Anniversary Esquire

エスクワイヤー?えっ?テレキャスター探してたんじゃなかったの?そう、そうなのです。僕が欲しかったのはテレキャスターだったはず。しかし、このエスクワイヤーにビビッと来てしまったのです。
エスクワイヤーというのは、テレキャスターの前身と言えるモデルで、1949年秋頃に試作され、1950年に発売されました。一般的にはテレキャスターの1ピックアップ仕様という認識ですが、実は逆で、発売初年度に2ピックアップ仕様のエスクワイヤーとして登場したものにブロードキャスターというモデル名が付けられ、直後にGrestch社から「うちの商品と名前が被っとる!」とクレームを付けられた為、名無し期間を経てテレキャスターへと改名…という流れのようです。ちなみに、1ピックアップ仕様のエスクワイヤーは短期間で一旦生産中止となった後、1951年に復活、1969年頃まで生産されました。その後はレギュラーのラインナップとして復帰した事は無いようですが、カスタムショップや限定モデルとして時折復刻されています。

僕が購入したのは、発売70周年を記念して2020年に限定生産されたモデルです。エスクワイヤー/テレキャスターのボディ材としてはアッシュ、もしくはアルダーが一般的ですが、70周年モデルは最初期の仕様と同じくパイン。その他の仕様も、なるべく1950年の発売当初の仕様に寄せているようですが、中でも特徴的なのは、オリジナルの50年製エスクワイヤーのピックアップをベースにティム・ショウがデザインしたというピックアップ、そして、厚みの有るUシェイプのネックでしょう。このネックに惚れて購入を決めたと言っても過言ではありません。フェンダー系のギターのネックとしてはかなり太めな部類に入るのだろうと思いますが、弾きにくさは全然感じず、むしろ個人的にはスリムなネックよりも、このしっかりとした握りの方が手に馴染む印象です。
ロースト処理がされたパイン材のボディは、ニトロセルロースラッカーによる仕上げと相まってか、ソリッドボディでありながらも生鳴りが強く、アコースティックっぽさすら感じます。そして、とても軽量。トーンもポップコーンのような軽快さを感じますが、同時にネックの厚みから来るどっしりとした太さ、安定感も有り、そのバランスがなかなか絶妙なのです。Nash、Fender(USAもMexicoも)の気になるテレキャスターは片っ端から触っておきましたが、この感じは他のギターには無かったように思います。また、意外にも馬力の有る元気なトーンでもあります。とにかく、弾いていて気持ちの良い楽器なのです。

ピックガードはサンバーストのボディにはホワイトの方が好みなので、購入後に交換しました。

1ピックアップなのに、スイッチが付いているのも不思議ではありますが、ネック側に倒すとややモコモコとこもったプリセットトーン(オリジナルはもっとモコモコなはずですが、このモデルではトーン半開程度のこもり具合に設定し直されており、扱いやすくアップデートされた印象です)、センターでトーンコントロールが効き、ブリッジ側でトーンコントロールを介さないストレートなトーン…と、意外と多彩なトーンを作れるのもエスクワイヤーの魅力だったりします。テレキャスターのフロントピックアップの艶やかなトーンにも惹かれますが、この潔さには抗えない魅力が有ります。そして、試奏しているうちに、所謂エスクワイヤー/テレキャスターのリアピックアップらしいパキッとしたトーン以外にも気持ちの良いセッティングと鳴らし方が有るという事に気付き、もしかして1ピックアップでも充分…いや、むしろ1ピックアップなのが最高!という気すらしてきました。まさに、One pick up wonder!

我が家にお迎えして以降、ほぼ毎日触っていますが、これが全然飽きないのですよ。
あの純正ツイードハードケースを手に帰宅した時は、あぁ、身分不相応ながら、ついに憧れのUSA製のFenderを買ってしまった…と震えたものですが、数ヶ月経った今でも買った時のワクワクは消えず、その新鮮さは変わりません。やはり、なるべく長い付き合いができる良い楽器を選ぶべきなのだ、と改めて感じました。
先日、荻原亮さんが弾きたいというので、お貸ししたのですが、めっちゃ良い音してて嬉しくなりました。うちの子可愛い。

エレクトリックギターといえば、その音を出力するアンプも大切。というわけで、ギター本体に満足したら、次はアンプ…と更なる欲が。
部屋弾き趣味ギタリストに大きなアンプは不要です。見た目もトーンも味わい深い、小型低出力真空管ヴィンテージアンプが欲しい。とはいえ、1950-60年代の有名ブランドのものなんて、とてもじゃないけど手が出ない…。

ならば、当時の低価格帯ブランドのものが狙い目なのではないか、と。当時は全てハンドワイヤードですし、きっとなかなか悪くないはず。SuproNational、GrestchなどのブランドのアンプをOEMで製造していたValco製のものには定評が有り、また、Danelectro製のSilvertoneのアンプも魅力的。Harmony辺りも良さそう。

すると、見つけましたよ。
1950年代のValco製 、Oahuというブランドのアンプ。スピーカーは8インチ、出力は5ワット。コントロールはヴォリュームとトーンのみ。良いじゃないですか。

こちらは260K Sunshineというモデルで、ラップスティールギターとセットで販売されたりしていたようです。ハワイアンだからOahu…なるほど…まぁ、このアンプ自体はシカゴ産なのですがね…。

試奏してみると、これが実に素晴らしい。カラッとアメリカンなキャラクターでありながら、小型真空管ギターアンプの旨味をギュッと凝縮したかのような、ミッドレンジが豊富で温かみのある、とても味わい深く濃厚なトーン。反応もセンシティブで速いです。キャビネットをコンコンと叩いてみると、まるでカホンかと思う程に良く鳴るのには驚きました。この箱鳴りも相まって、このトーンが生まれているのでしょう。自宅の環境では到底無理ではありますが、ヴォリュームをフルアップにすると程良く気持ち良く歪みます。

音良いし、見た目も可愛い、欲しい…。
はい、買いました。自分へのクリスマスプレゼント兼お年玉という事にしておきましょう。

ところが、問題発生。
買ったばかりなのに、なんと音が出なくなってしまった。お爺ちゃんアンプなので年齢なりのトラブルは付きもの、仕方ないです。

知人の楽器屋さんfunk ojisanに相談し、入院させる事に。音が出なくなっていたのは真空管の不具合との事で交換。スピーカーもビビるので交換しちゃいましょう、という事で現行のJensenに。
修理から戻ってきて、見事復活。ありがとうございました。オリジナルのスピーカーがなかなか良い感じだったので、交換してしまうのはやや不安ではありましたが、ノープロブレム。変わらず良いサウンド、良いフィーリングです。

調子が戻ったら、現場で使ってみたくなるものです。しかし、僕はギタリストではありませんから、誰かに使ってもらわねば…というわけで、越智さんのライブに持ち込み、半ば強制的に使っていただきました。

結果、めっっっっっっっっっちゃ良い音。
ドラムの入ったバンド編成だとパワー不足になってしまうかと思いましたが、小さい会場であれば大丈夫そうです。ドラムを叩きながら聴こえてくるギターの音が良過ぎて、耳が幸せ。アンプが良いとこんなにも違うものなのだな、と驚きの体験でした。Valco、恐るべし。
越智さんもかなりお気に召された様子。いつでも貸しますからね?

2022年はエフェクターも含め、ギター関係の機材を調べまくり、まあまあ買い物して収集してしまった1年でしたが、一生モノだと思えるほどに満足度の高いギターとアンプに出会えたので、これで当面大きな買い物はしないはず。
あとは、この機材を所有している事が恥ずかしくならない程度に演奏の腕前が上がれば良いのですけどね。道のりは遠い…。

いや、しかし、やはり、うちの子可愛い。

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