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春なんて来てほしくなかった
長いうつ病の期間、まだ1番心がラクな季節は冬でした。
シンシンと冷たい空気、皆んなが黒い分厚いコートを着込んで冬籠りしているような世界は暗く塞いだ心には薄い安堵感があった。真冬の寒い日はホッとした。
春を待ち侘びるニュースや声が辛かった。
ずっと冬でいい、と思っていた。
「春よ、来ないで」
そう願っていた。
春は草木も芽吹いて、桜が咲いて皆んなが心湧き立って、
あちこちで新しいスタートがあり、希望に満ちた季節。
そんな明るいイメージが自分を苦しめた。
元々、春は得意ではなかったけれど、うつ病になってからは春が来るのが本当に嫌だった。
B'zの「Wonderful Opportunity」という曲に
窓の外すがすがしく 晴れてれば晴れてるほど
哀しくなるのはとても寂しいことだと思います
という歌詞があるけれど、考えてみれば季節に関係なく
長い間ずっとこの歌詞のままだった私は自分は寂しい人
なんだな…って思ったりも。
それが去年の冬の終わり頃には何と春を楽しみに感じるという信じられない気持ちが湧いてきたのです。
10年以上気持ちが塞いでいた私にとってはこんな気持ちになる時が来たことがまずは嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
春になり暖かい陽射しを受けるのも何とも心地良かった。
意欲も出てきた。
何度も鬱の波に翻弄されてきたので、また戻ってしまう恐怖は付き纏いながらも、うつ病から抜け出れたと思った。
勇み足で何だかんだと行動したりパートに出てしまい、すぐさまダウンしてしまうということにはなってしまったけれど、そのダウンも、もううつ病のどん底に閉じ込められるものではなかった。
あれから一年経った今の自分は、春を楽しみにまでは思えていない。
持病の痛みや症状との変わらぬ闘い、
新しいパート先での続く緊張感、
将来への不安、焦り、
ウキウキするような元気な気持ちにはなれない。
でも鬱の底にいて身動きが取れないわけではない。
うつ病の最中にある人ではなくても春を待ち詫びる人ばかりではないはず。気持ちが塞いだり現実がしんどい人達はたくさんいる。
踏ん張っていこうと思う。
トンネルから抜けてここまでは来れたのだから。