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ドラえもん「バイバイン」で地球滅亡
ドラえもんの17巻で「バイバイン」というひみつ道具の登場するお話があります。のび太君が、おやつの栗饅頭が1つしかなく、食べてなくなってしまうのを惜しんで増やせないかという願いをかなえるためにドラえもんが出した液体薬品状のものです。
子供のころこれを読んで、とてもヤバいしろものだと感じていました。増えすぎて収拾がつかなくなり(多分見かけ2^8個か2^9個になった状態の)栗饅頭を風呂敷に包んで(!)ロケットで宇宙に祈るように飛ばすエンドで(アニメ版ではゴミ箱に残ってて増える描写も)、算数が好きだった私はそんなんで大丈夫かいなと思っていました。
そこで、本当に大丈夫か、以下のような計算をしてみました。
1個50gの栗饅頭があります。栗饅頭は5分で2倍に増えます。この栗饅頭は地表にありますが、秒速15kmのロケットで打ち上げ、太陽系から脱出させるようにします。栗饅頭が赤色矮星になるのは何分後で、地球からの距離は何キロメートルになりますか?また、太陽の質量を超えるのは何分後になるでしょうか。
栗饅頭は5分で2倍に増える。
栗饅頭は地表から秒速15kmで打ち上げられ、太陽系から脱出する。
栗饅頭は「赤色矮星」になる。
栗饅頭は地球を飲み込む。
栗饅頭が太陽の質量を超える。
1. 栗饅頭が赤色矮星になる時間
栗饅頭は主にC、H、Oで構成されているものと思われます。増えることで核融合反応が起こり、やがて恒星になっていくのではないでしょうか?褐色矮星から赤色矮星になれば恒星ですが、現状、質量が何倍になれば赤色矮星に相当するかが不明です。赤色矮星の典型的な質量は太陽の約0.08〜0.45倍です。まず、これを目安に増殖する時間を計算します。
![](https://assets.st-note.com/img/1724110323248-wjTDbfMp9n.png?width=1200)
2. 赤色矮星の質量に達する時点での地球からの距離
秒速15kmで栗饅頭が移動していると仮定します。時間が経つにつれて距離がどれだけ増加するか計算します。
赤色矮星の質量に達する時点での地球からの距離は約455,976 kmです。これは地球から月までの距離(約384,400 km)を超えていますがこんなに質量の大きな星がそんな近くにあったら地球さんなんて小さな粒、あっという間に月もろとも栗饅頭さんに重力で引き込まれ飲み込まれてしまいそう。そうでなくても連星になって公転もめちゃめちゃ!この時点(かちょっと前)には地球滅亡確定。
3. 太陽の質量を超える時間
太陽の質量は約1.989×10³⁰kgです。栗饅頭がこの質量を超えるまでの時間を計算します。
![](https://assets.st-note.com/img/1724110382059-OnYDRosMAQ.png?width=1200)
約524.86分(約8時間45分)後に太陽の質量を超えます。
太陽が2つ!超やばい!連星ですね。しかも片方は5分で質量倍。1時間くらいするとスペクトル型Bの超巨星ですね。ブラックホール間違いなし。リゲルもデネブもベテルギウスも真っ青。
4.できるだけ遠くにロケットを飛ばさないと地球滅亡。だから、栗饅頭が太陽の質量を超えるときに、せめて冥王星よりも遠い距離までロケットを飛ばすためのロケットの速度を教えてください。
冥王星の平均的な距離は太陽から約5.9億km(約39.5AU: 天文単位)です。
栗饅頭が太陽の質量を超える時点で、この距離に到達するために必要なロケットの速度を計算するには、以下の手順で計算します。太陽の質量を超えるまでの時間(約524.86分)を秒に変換します。
この時間内に5.9億kmの距離を移動するために必要な速度を計算します。
栗饅頭が太陽の質量を超えるまでに冥王星よりも遠い距離まで飛ばすためには、ロケットの速度は約18,735,188 km/s(1,870万km/s)という非常に高い速度が必要です。
光の速度を超えるなんて無理ー!アインシュタインさまがだめといってる(言ってない)
光速で去っても8時間半とかですと多分行けて木星のあたり?ということは
ロケットいくらスピード上げてもしょうがないということになります。
これはおとぎ話「宇宙戦艦ヤマト」で出てくるワープしかないのではないか。しかし、ワープで宇宙の果てに飛ばしても、同じ宇宙ですと数日すると宇宙自体が飲み込まれるのでは。。。飲み込まれないのか。光の速度以上にはならないないのだから。本当かな。
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なお、当該ドラえもんのお話では、ママやジャイアン、しずかちゃん、スネ夫、ドラえもん、のび太君など複数の人物が増殖措置を施した栗饅頭をおいしそうに食べています。食べてしまうと胃袋の中では増えていない様子なので、増えてつぶれてしまった場合に増加が止まると仮定すると滅亡はないことになります。ほっ。
すなわち、表面だけに栗饅頭が残って、中は栗饅頭の重力でつぶれ、表面だけ増えるという感じですともう少しマイルドな増加にとどまりそうで、滅亡はもう少し先になりそうです。しかも宇宙空間における栗饅頭も変質は避けられず、変質しないのは表層の栗饅頭に守られた内部の一部分だけ・・・。そのあたりの計算は厳密にはできませんが。
そうすると恒星にもならないか。凍っちゃうというのもありますけれど、それ自体が増殖すると球状になり、自身の重力でつぶれ、増えたとしても例えば褐色矮星の前の表面温度500度くらいになったら炭になっちゃう。たぶん。そうすると、天王星くらいの大きさのコアの黒い星がガスを帯びつつ、小惑星帯あたりを漂い小惑星を吸い取りながら太陽を回る感じになるというのがファイナルアンサーか。結構明るい惑星になりそう。
![](https://assets.st-note.com/img/1724113108164-Fo6XCMGiHv.png)
唾液などと混じらず、それ自体の原子組成が維持されたら増加するというスキームだと増え続けることになり、滅亡は避けられないような気がします。
いずれにしても、こんな恐ろしい道具を安易に使っちゃだめー。