「目指すは初優勝」INASグローバルゲームズに出場する知的障がい者フットサル日本代表
INASグローバルゲームズとは
国際知的障害者スポーツ連盟(INAS)が4年に一度開く知的障がい者アスリートのための国際総合スポーツ大会「第5回INASグローバルゲームズ ブリスベン2019」が10月12日から19日までオーストラリアのブリスベンで開催されます。(知的障がい者スポーツのオリンピックのようなものですが、トップアスリートはパラリンピックに出場するのでほとんと出ません)
INASグローバルゲームズ第1回大会は2004年にスウェーデンで37カ国6競技1,127名の選手が参加して開催した。日本は第1回大会から40名の選手が陸上競技、水泳、バスケットボール、卓球の4競技に参加した。
今年行われる第5回大会の実施種目は陸上競技、バスケットボール、クリケット、サイクリング、フットサル、漕艇、水泳、卓球、テコンドー、テニスの10競技。日本は陸上競技、バスケットボール女子、フットサル、水泳、卓球の5競技に57名選手、34名の監督、コーチ、本部役員などが参加する。
「前回大会は5位」
知的障がい者フットサル日本代表は前回の第4回エクアドル大会に初めて参加した。今回二度目の参加となる知的障がい者フットサル日本代表の合宿が9月21日から23日に東京都多摩市のフットサルステージ多摩で行われた。
国内各地から選ばれた10名の代表選手たちが真新しい赤いトレーニングウェアを身に着け木村純一代表監督の指導の元、少し楽しそうに練習を行っていた。監督、コーチたちは選手たちが前回までの合宿で練習したことを思い出せるように一つ一つの動きを確認するように練習を行っていた。
いままでの合宿では守備を中心にした練習を行っていたが、今回はそこから攻撃へ繋げる動きが多く見られた。最後に5分ほどのゲームで初日の2時間の練習を終えた。
練習を終えて木村監督は選手たちに「もっと自分がボールを持っていないときにも集中して、いま誰が何をしているか見るように。」「試合で必要なんだから。(試合では)戦える選手を使います。今日明日ではうまくなりません。」と厳しい言葉を掛けつつも「激しくやってほしいんだけど、10人しかいない仲間なんだから怪我をさせないようにやって欲しい。」と初日の練習を締めた。
優勝を目指します
初日の練習を終えたキャプテン野崎将智はブリスベン大会に向けて話を聞いた。
「前回の大会では5位という結果で終わり。そこから日本はこの4年間5位という結果で悔しい思いをし、今回その雪辱を晴らすため、今大会新しいメンバーとオーストラリアのブリスベーンで優勝を目指しています。」
今回の合宿については「今日は選手全員が気持ちがそんなに入らずに練習に臨んでしまって、あまり気持ちが入らない練習になってしまったので、監督が言っていた指摘は大事に明日からの練習では気持ちを切り替えて残り僅かな中で自分たちがどこまでレベルを上げられるか一つ一つを大切に(します)。実力は一瞬では上げられないので(上げられませんが)自分たちの技術をすべて出して、この合宿ではみんなが一つになるようにしていきたいと思います。」と初日の練習を振り返った。
キャプテンとして
また、「キャプテンらしいことは何もできませんが、前回から残った自分ともうひとり、二人いるんで、(野崎と徳丸)自分はフットサルの社会人リーグでプレイしているので、そこからみんなが(フットサルを)やっていない中で、自分が多くを(所属チームで)学びみんなにそれを一つ一つ教えられたらいいなと思っています。」
「知的(障がい者)ということでフットサルの入る場所がなく(知的障がい者サッカーチームはあるが、本格的な知的障がい者フットサルチームは少ない)、環境もなくサッカーしか出来ない選手が多くてその中で自分は4年前の悔しさがあって、この4年間はフットサルのチームにどこか入りたいと思って、最初は違うところに入っていたんですが、そこでは自分の実力が上がらないと思い、そこで木村監督から電話が入っていま自分の所属してるところに入ってきたらどうだと誘いがあったので、そこで自分のレベルを上げるのもそうだし、少しでもうまい人のところに行けば自分自身も上がるし(フットサルが上手くなる)、それを(フットサルを)学んで周りの人も教えられればそこで、環境のできないところでも(フットサルをやれなくても)自分から(みんなに)教えれば少しでも刺激になるし、一つ一つ自分たちの分かっていることだから。言葉でうまく伝えれれないから体を使うことなら自分もできたから。」
仲間にフットサルを伝えたいのかと尋ねると「技術的なことがサッカーになっちゃっているんで、自分は今サッカーより、フットサルのほうを集中しているので、フットサルの技術もだいぶ(監督の)言っていることもわかるので、監督やコーチの周りの動きはわかるんですけど、やっぱりほかのみんなはサッカーのほうしか出来ないので、フットサルの基本さえ動けないので、そこを自分からもっと分かりやすく説明を出来たらなと思っています。」
さらに「世界に行けばプロではないんですがプロより下の下に(健常者のフットサルリーグのチームに)所属している選手が多いんで、海外ではフットサルチームに入ってそこで学んでいる選手が多いんです。日本はフットサルをしない状態で世界に行っちゃったんで、フットサルの相手の差があったんです。前の大会では自分が感じたのはフットサルのことを知らな過ぎて臨んちゃったから、やっぱり勝てなかったのかなとということがあったんで。負けて5位という悔しさもあり、何回も止められるチャンスがあったんで、悔しさがずっと残っちゃったのかなと。」とフットサルに対する熱い気持ちを語ってくれた。
日本代表の強みを生かして
木村純一代表監督は「4年ぶりの世界大会ですけど経験のある選手は(野崎と徳丸の二人)少ないのでフレッシュな気持ちで臨みます。監督としては(前回から引き続き)2回目なので前回の世界大会の分析をして日本代表の強みを出して優勝を目指して頑張っています。」
「(前回大会の)映像を見返しているんですけど、その度に悔しい気持ちとか、あの時あんな風に思っていたなと思い出しています。あの時のあの失点がという話をしている選手もいるのでそういう思いはとても大事なことなので、何回も思い出しながら悔しさを忘れません。」
選手たちにたいしては「結果はもちろんですけど、世界でフットサルで勝負できることはそんなに多くありません。まずはそこで楽しんでもらいたい。(しかし)楽しむためには努力をしなくてはいけないし、体を作らないといけません。世界の人と関わって真剣勝負が出来ることを楽しんでほしいなと思っています。」
心配なことを聞くと「我々が心配するよりも選手たちはコミュニケーションを取れるので、そこは全然心配していません。今回のオーストラリアは環境がいいので、時差もないし標高差もないので(前回エクアドル大会の会場のキトは標高2850Mの高地)その辺はすごく安心しています。」
「(このチームは)世界の大会での真剣勝負をしたことがありません。今日の練習もそうですけ実際のイメージを持てていないので、自分たちの現状に満足しちゃっているかなというところは危機感としてあります。」
必死になってやって欲しい
最後に今回の合宿で目指していることを尋ねると「もうここまで来ているので上手い下手だけじゃなくて、本当に必死になってやるとか、ボールを掻き出すとか、スライディングでなんとか防ぐとかというところを選手から引き出したいです。明日の練習試合も東京都の1部リーグで今首位のチーム(情熱ロンリネス)を呼んでいるので上手い下手ではなくて必死になってやるところを殻を破ってほしいなと思っています。」
「強い相手に立ち向かって行くことを一回やっておかないと本番でしゅんとしちゃうかと。明日の練習試合と午後の練習、三日目の練習が激しい練習になると思います。」と語ってくれた。
二日目の午前中に情熱ロンリネスとの練習試合は1本目(30分)0-4、2本目(30分)0-7、3本目(15分)0-1と合計0-12で終えた。
知的障がい者フットサル日本代表メンバー
FP 赤須 勝一郎 (あかす しょういちろう)19歳 王子ジャッキーズ
FP 岡田 秀太 (おかだ しゅうた) 16歳 横浜Fマリノスフトゥーロ
FP 吉川 圭祐 (きっかわ けいすけ) 21歳 王子ジャッキーズ
FP 佐藤 快 (さとう かい) 21歳 王子ジャッキーズ
FP 澤田 偲努 (さわだ しど) 18歳 札幌NFC
FP 徳丸 舜 (とくまる しゅん) 25歳 ソレッソ熊本
FP 利根川 優輝 (とねがわ ゆうき) 22歳 水戸クラブ
FP 中村 海斗 (なかむら かいと) 21歳 横浜Fマリノスフトゥーロ
GK 野﨑 将智 (のざき まさとも) 24歳 王子ジャッキーズ
GK 岡本 一希 (おかもと かずき) 22歳 アイディス大阪
*年齢は2019年10月12日(開会式)時点。
INASグローバルゲームズフットサル大会日程(現地時間)
10月13日 グループステージ
10:00より オーストラリア対ポルトガル
ポーランド対日本
フランス対サウジアラビア
10月14日 グループステージ
10:00より オーストラリア対日本
ポーランド対サウジアラビア
フランス対ポルトガル
10月15日 グループステージ
10:00より オーストラリア対サウジアラビア
ポーランド対ポルトガル
フランス対日本
10月17日 準決勝
10:00より
10月18日 決勝戦
10:00より
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