完璧すぎる先輩は恋愛経験0でした
?? : 久保君、ここ間違えてます。
○○ : すみません!直してきます!
大学卒業後、入社してもうすぐで1年が経つ。
今日は1月6日。2023年初出勤日になる。
お盆休みや年末年始の休みをしっかりくれるこの会社はホワイト企業だと思う。
我ながらいい就職をした。
ミスばっかりしてる僕だけど、同期や先輩からは「期待の新人」って言ってもらえる。
そう言ってもらえるのも先輩のおかげなんだけどね...
梅澤美波先輩。
一言で言うと完璧な人。
仕事できるし、女性だったら誰もが羨むであろうスタイル、顔立ち。
それは男の僕でもわかる。
でも一つだけ懸念点が...
先輩が何を考えているかわからないということだ。
誰に対してもタメ口で話さない。
だからなんか近寄りがたいというか...
プライベートの話とかと聞き辛いし...
山下先輩と昼食を摂っている時は何か話してるみたいだけど、それ以外はプライベートの話してるところ見たことないんだよな...
まぁ、そんな梅澤先輩だけど、学べるところがいっぱいあって、教え方も上手いから僕がここまで成長できたんだけどね。
?? : ○○君聞いてる?
○○ : あ、ごめん。何だっけ田村?
田村 : ねぇ!真佑って呼んでって言ってるじゃん!同期なんだから!
○○ : だから俺は彼女しか名前で呼ばない主義だって!
田村 : ○○彼女いないじゃん!
○○ : そういう田村だっていないじゃん!
田村 : あー!もう真佑傷ついた!
○○ : はいはい...んで何だっけ?
田村 : 梅澤先輩って彼氏とかいるのかな?
○○ : どうだろ?仕事の話しかしないからわからないや。
田村 : 先輩が教育係なのに?
○○ : しょうがないだろ。こっちからは聞き辛い。
田村 : じゃあ、○○は梅澤先輩のことどう思ってるの?
○○ : 俺?まあ、梅澤先輩は仕事できるし、綺麗だとは思う。
田村 : ふ〜ん、好きではないんだ?
○○ : うん、好きってより憧れかな?
田村 : そっか...○○、梅澤先輩のこと好きじゃないんだ。
○○ : ほら、昼休み終わるぞ。席戻って。俺のこと探っても面白くないから。
田村 : ぶぅ...
そう言って自分のデスクに戻っていく田村。
黙ってりゃ可愛いのに。
————————————
梅澤 : 久保くん、先程の資料、訂正できましたか?
○○ : はい!確認お願いします!
梅澤 : 確認できました。じゃあ、次はこれをお願いします。
○○ : はい!ありがとうございます!
やっぱり梅澤先輩だと仕事しやすいんだよな...
なんかわからないけど。
———————————
○○ : ふぅ...終わったぁ〜
梅澤 : 久保君、お疲れ様です。これどうぞ。
○○ : え?ありがとうございます!
コーヒー持ってきてくれるとか優しすぎだろ!
サバサバしてるのにこういうところも完璧なんだよな...
梅澤 : もし良かったらこの後、お酒でも飲みませんか?
○○ : え?
嘘だろ?あの梅澤先輩が俺を飲みに誘った?!
梅澤 : 嫌でしたら大丈夫です。またの機会に。
○○ : あ、いや、行きます!お願いします!
梅澤 : わかりました。では、行きましょう。
————————————
○○ : ここって...
梅澤 : 私の家ですが?
いきなり家?!
○○ : 居酒屋じゃないんですか?!
梅澤 : ついてきてください。
○○ : わかりました...
入ってしまったよ...先輩の家...
意外と女性らしい部屋だな...
梅澤 : 自由に座っててください。料理とお酒準備します。
○○ : あ!ありがとうございます!
にしても緊張する!!
なんで俺、急に先輩の家にいるんだよ!!
梅澤 : お待たせしました。
○○ : ありがとうございます!
梅澤 : それでは乾杯。
○○ : 乾杯です!
——————————
○○ : 今日はなんで誘ってくれたんですか?
梅澤 : 教育係と後輩として今年も頑張りましょうという意味を込めてです。
○○ : なるほど...
梅澤 : それに...///
○○ : それに?
梅澤 : いえ、何もないです。
なんだったんだ?っていうか、梅澤先輩、今少し照れてる気がした...まぁ、気のせいか。
○○ : 梅澤先輩の料理、美味しいです。
梅澤 : お口に合ったのでしたらよかったです。
梅澤 : あ、久保君。
○○ : なんですか?
梅澤 : 口の周りにソースが...
○○ : え?!すみません!恥っず...
梅澤 : 可愛い...///
○○ : え?
梅澤 : あっ...///
○○ : 今、可愛いって...
梅澤 : いえ!違うんです!久保君のことは好きでかっこいいなとは思いますけどそういうお茶目なところもあって可愛いなと思って言ってしまっただけで...///
○○ : 梅澤先輩...///
梅澤 : ん?今、私なんて?
○○ : 僕のこと好きって...///
梅澤 : あぁ...やっちゃった...人生終わった...久保君にこんな所見られた...
○○ : 僕は嬉しかったですよ?梅澤先輩の新しい一面が見れて...///
梅澤 : 久保君の教育係になってから少しずつ好きになっていったんです...///
○○ : はい...///
梅澤 : でも私、恋愛なんてしたことないからどうしたらいいかわからなくて美月にずっと相談してたんです...///
○○ : お昼休みですか...
梅澤 : けど久保君は田村さんとお昼ご飯食べてるから久保君はあーゆー若い子が好きなんだってちょっと嫉妬して...///
梅澤 : そうしたら美月が家誘えば?って言ってきたので今日は思い切って誘いました...///
○○ : なるほど...///
梅澤 : それに今日、私誕生日なんです...///
○○ : えっ?!おめでとうございます!
梅澤 : ありがと...///
梅澤 : なので、久保○○君、私の誕生日プレゼントに久保君をください!!
どういう告白の仕方?!
でも、想いはめっちゃ嬉しいし、いつもとのギャップに惹かれたっていうか...だから...
○○ : よろしくお願いします!!
梅澤 : ほんと?
○○ : はい!
梅澤 : よがっだぁ〜!!
ギュゥ...♡
○○ : うっ...苦しいです...先輩...
梅澤 : あ!ごめん!嬉しくてつい...///
○○ : 大丈夫です笑 てか、敬語外れましたね?
梅澤 : 一応、恋人になったわけだし...///
○○ : あ、そういえばうちの会社って社内恋愛ありなんですか?
梅澤 : だめだよ?
○○ : えっ?!
梅澤 : だからバレないようにしないとね♡
○○ : ですね...笑
——————————————
梅澤 : 久保君、ここ間違えてます。
○○ : すみません!直してきます!
梅澤 : 久保君、最近、同じようなミスばっかりですね。残念です。私の足を引っ張らないでください。
○○ : すみません...梅澤先輩...
田村 : 梅澤先輩、○○に対して当たり強くない?
○○ : しょうがないよ。もうすぐで1年も経つのに俺が同じミスばかりするしから。
田村 : そっか...ん?なんで○○ニヤニヤしてるの?
○○ : え?してないけど...
田村 : なんかキモい...
○○ : ひっど...
———————————
ガチャ...🚪
○○ : ただいま...
ギュッ..♡
梅澤 : ○○ごめぇ〜ん!今日も強く当たっちゃたぁ〜😭
○○ : うん。ちょっと悲しかった。
梅澤 : だっでぇ〜バレないようにしないといけないんだもん...どうしたらいいかわからない...
○○ : 付き合う前より酷くなってる気がする...
梅澤 : だってぇ、○○大好きだから別れたくないしぃ...
○○ : 僕も美波のこと大好きだけどさ...笑
付き合ってすぐ同棲し始めた僕たちは、会社のみんなにはバレないように頑張ってます...笑
『完璧すぎる先輩は恋愛経験0でした』 fin...
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