妹が俺を好きな人とのデートに行かせてくれません。
好きになった人。好きになってくれた人。
それなりにできてきた。
でも、その度に邪魔というか何というか...
彼女が立ちはだかった。
「彼女」と言っても一歳下の「妹」なんだが...
あやめ : お兄ちゃん、おはよう。
○○ : おはよう。
落ち着いた性格で可愛い妹のあやめ。
高校生になったが、反抗期はまだ来ておらず、他の兄妹と比べたら仲は良い方だと思う。
あやめ : レイちゃん来てるからもう行くね。
○○ : レイちゃんいつも早いね。了解、いってらっしゃい。
あやめ : お兄ちゃんも遅刻しないように気をつけてね。
○○ : ん、ありがとう。
早く準備しないとな...
—————————————————————
キーンコーンカーンコーン...🔔
○○ : あぶねぇーーー!!!
担任 : 筒井、またギリギリセーフだな
○○ : すみません...笑
?? : 筒井君、おはよう!
○○ : おはよう、"賀喜さん"
隣の席の賀喜遥香さん。
2年生で同じクラスになり、何故か近くの席になることが多く、仲良くなった。
そして、俺は今、彼女に恋をしている。
誰にでも優しいところ。
話を楽しそうに聞いてくれるところ。
絵が上手なところ。真剣に勉強している姿。
その全てを好きになってしまった。
それぐらい、賀喜さんは魅力のある人だと、このたった数ヶ月で気付かされた。
賀喜 : もうすぐで夏休みになっちゃうね...
○○ : そうだね...賀喜さんは夏休み、楽しみじゃないの?
賀喜 : 楽しみではあるけど、筒井君に会えなくなっちゃうじゃん...?
○○ : うっ...///
賀喜さん、俺を殺しにきてるの?!
賀喜 : 2年生になってすぐ仲良くなれたのに...
○○ : 俺も賀喜さんと会えなくなっちゃうのは寂しいかな...///
賀喜 : ほんとに?!
○○ : うん...///
賀喜 : ならさ...夏休みになったら2人で遊びに行かない?...///
○○ : えっ...?! そ、それって...///
賀喜 : デート...ってやつかな...///
○○ : デート...///
賀喜 : だめかな?
○○ : ううん、行こう!
賀喜 : やった!ありがとう!
返事にとても喜んでくれる賀喜さん。
まさか、賀喜さんから誘ってくれるなんて...
これは期待してもいいのか?
賀喜さんも同じ気持ちだったら嬉しいな。
でも、なんとか突破しなくてはいけない大きな壁がひとつ。
それはそれは大きな壁がありまして...
————————————————————
そして迎えた夏休み、デート当日。
服装バッチリ、髪のセットもバッチリ。
あとは、あやめが寝ている間に...
静かにドアを開けてっと...
あやめ : お兄ちゃん、どこに行くの?
あーあ、終わった。
○○ : ちょっと友達と遊んでくるね。
あやめ : それ、女の人?
○○ : あぁ...えっと...う〜ん...それは...
ここが俺の悪いところ。
あやめに対して嘘がつけない。
あやめ : お兄ちゃん、いつもそんな髪の毛のセットしてないよね?
○○ : 今日はそういう気分で...
あやめ : お兄ちゃん、あやのこと嫌いになっちゃったの?
○○ : 絶対にそんなことはないよ。
あやめ : それなのにまだ他の女と遊ぼうとしてるの?
あぁ...始まってしまった...
普段はおとなしいのに俺が女の子の話になると口が悪くなるんだよな...
あやめ : お兄ちゃんが中学の時にみたらし大好きふんわり女もくそあざとい小悪魔な先輩の女も消したの覚えてないの?!
○○ : あやめ!女の子が「くそ」とか「消した」とか言わない!しかも、消したんじゃなくてあやめが別れさせたんだろ?!
あやめ : はぁ...まぁ、いいや。お兄ちゃん、今からその女に今日のキャンセルの電話して
○○ : いや、それは...
あやめ : ・・・・
○○ : はい...
めっちゃ睨んでるよ...
ここであやめを無視してデートに行ったら賀喜さんになにが起こるかわからない。
今まで付き合ってきた人もあやめの圧に耐えられなくなり、俺と別れる人が多かった。
だから妹に従うしかない。
賀喜📱: どうしたの?
○○📱: ごめん、今日のデート行けなくなっちゃった...
賀喜📱 : そっか...理由、聞いても大丈夫?
○○📱: 妹がちょっとね...
賀喜📱: 妹さんが?!
○○📱: うん、妹が...
賀喜📱: それは心配!
○○📱: 賀喜さん?何か勘ちg...
賀喜📱: 住所送って!すぐ行くから!
○○📱: え、うん...
電話は切れたし、住所は送ってしまった...
ここも俺の悪いところ。意志が弱すぎる。
あやめ : お兄ちゃん、それでいいんだよ
○○ : 家に来る。
あやめ : はぁ?!
○○ : あやめが病気になったとかで勘違いしちゃったみたい
あやめ : 何やってるの?!お兄ちゃんのヘタレ!ばーか!!
あやめ...ヘタレはお兄ちゃん傷つくよ...
あやめ : まぁいいや、こっちから行く必要がなくなった。
えぇ...めっちゃ怖いこと言ってるよ...
あやめ : お兄ちゃん、その女のために飲み物とかお菓子買ってきて。
○○ : お菓子なら家に...
あやめ : いいから行って。
○○ : はい...
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必要もないお菓子と飲み物を買いに行かされたのは、あやめが賀喜さんとの2人っきりの状況を作り出すため。
頼む...賀喜さん...僕が家に戻るまでは来ないでくれ...
しかし、そんな気持ちは届かず...
賀喜 : ここが筒井君のお家...なんかドキドキするな...///
ピンポーン...
あやめ : はい
賀喜 : ええっと...筒井君の妹さん?
あやめ : そうですけど、あなたが今日のお兄ちゃんのデート相手?
賀喜 : はい!賀喜遥香です...///
あやめ : とりあえず上がってください。
賀喜 : はい、妹さんは体調大丈夫なんですか?
あやめ : 全然元気ですけど?
賀喜 : じゃあ、○○君は...
あやめ : 私がお兄ちゃんとあなたをデートさせたくなかっただけですから。
賀喜 : .....
————————————————————
○○ : ガチャ...🚪
あぁ...賀喜さんのものであろう可愛らしい靴が玄関に...
賀喜さん...無事であってくれ...
○○ : ただいま...
あやめ : わー!遥香さん、絵上手!お兄ちゃんそっくり!
賀喜 : ヘヘッ.../// そうかな.../// そういうあやめんだって編み物上手だね!
あやめ : ありがとうございます!
ん?何が起こってるんだ?!
" 遥香さん? " " あやめん? "
あやめが俺のデート相手になるであろう人とこんなに仲良くなるとは思ってもいなかった。
これが賀喜さんの力なのか?
あやめ : あ、お兄ちゃんおかえり
○○ : ただいま
賀喜 : 筒井君、お邪魔してます。ごめんね?なんか私、勘違いしちゃったみたいで...///
○○ : ううん...全然大丈夫...///
あやめ : ねぇ...お兄ちゃん?
○○ : ん?
あやめ : 遥香さんならいいよ?
○○ : いいって何が?
あやめ : 付き合うの。
○○ : ばかっ.../// 何言ってんだよ...///
賀喜 : ....///
あやめ : 遥香さん、すごくいい人で面白いし、可愛いし、優しいし。
○○ : あやめ...
あやめ : それに、お兄ちゃんのこと、相当想ってくれてるみたいだし...笑
賀喜 : あっ!!あやめん.../// それ言わない約束...///
○○ : 賀喜さん...///
賀喜 : そうなの.../// 私、筒井君のことが...
○○ : 待って!それより先は今度、デートの時に俺の方から言わせて欲しい...///
賀喜 : わかった.../// 待ってるね...///
○○ : うん...///
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それから少しして賀喜さんは帰った。
帰り際に少し恥ずかしそうに手を振ってくれた。
めっちゃ可愛かったなぁ...
そんな賀喜さんと付き合えるんだぁ...
「遥香」なんて呼んじゃったりして...笑
デートして、一緒にご飯食べて、手繋いで、毎日家まで送って、毎日電話して...
いづれは同棲、結婚なんかしちゃって...///
俺、めっちゃ幸せだーーーー!!!!
あやめ : iちゃん...おにいちゃん...お兄ちゃん!
○○ : わぁ!あやめか...どうしたの?
あやめ : さっきから何ニヤニヤしてるの?きもいんだけど...
○○ : いや...賀喜さんと付き合えるって思ったら嬉しくってさ...///
あやめ : 振られろ。
○○ : そんな悲しいこと言うなよぉ...まぁ、でも、ありがとな。認めてくれて。
あやめ : 別におにいのためじゃないし...///
○○ : もう...可愛い妹だなぁ...笑
あやめ : 褒めても何もないから...///
○○ : わかってるよ...笑
あやめ : おにい?
○○ : ん?
あやめ : 別に遥香さんと付き合ってもいいけど、あやが一番じゃないと嫌だからね!!...///
賀喜さんとの関係は少しだけ先に進めそうです...笑
fin...
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