担当看護師さんは僕の入院期間を延ばそうと必死なようです
山下 : ○○君おはよう!
○○ : 山下さん、おはようございます。
山下 : 熱と血圧と血糖値計ろっか♡
○○ : は〜い
部活で大怪我をしてしまった俺は手術をし、リハビリのために2週間入院することになった。
そして、俺の担当になったのがこの山下美月さん。
すごく気さくに話しかけてくれて退屈な入院の時間も楽しく過ごすことができている。
専門学校を経て、今年から看護師になったそうだ。俺と同い年らしい。
山下 : 足の痛み無くなった?
○○ : まだちょっと痛いかな
山下 : 手術するぐらいだもんね笑
○○ : 力も入らないからまだ足も動かせないや
山下 : 3日後には松葉杖でリハビリ始めよっか!
○○ : うん
山下 : じゃあ、お昼ご飯の後に熱とか測りに来るね♡
○○ : ほ〜い
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数日後...
山下 : ○○〜お昼ご飯持ってきたよ♡
○○ : ありがとう
山下 : よいしょっと♡
○○ : え?何してるの?
山下 : 私もここで食べる
○○ : そんなことしていいの?笑
山下 : さぁ?笑
○○ : 絶対ダメだろ笑
山下 : いただきまーす♡
○○ : 聞いてねーし笑
山下 : 病院食っておいしい?
○○ : 美味しいよ?入院する前にイメージしてたのと全然違った
山下 : イメージって?
○○ : 味薄くて量少ない感じ?
山下 : あぁ〜それはわかるかも笑
○○ : 山下さんは手作りの弁当?
山下 : 一人暮らししてるからね
○○ : 料理できるんだ?
山下 : 今ちょっとバカにした?
○○ : してないよ笑
山下 : 食べてみる?
○○ : いいの?
山下 : じゃあ卵焼きあげる♡ はい、あ〜ん♡
○○ : いや普通に箸でもらうって笑
山下 : 患者は黙って聞いてればいいの♡
○○ : 上半身はなんともないんだけど...笑
山下 : はい、あ〜ん♡
○○ : あむ.../// うん、美味しい...///
山下 : よかった♡
○○ : ここの病院って綺麗な看護師さん多いよね?
山下 : そんなこと考えてるんだ?○○の変態...
○○ : なんでこれだけで変態になるんだよ笑
山下 : ○○は私だけ見とけばいいの...///
○○ : 勘違いさせること言うなよ...///
山下 : 勘違いじゃ...ないかもよ?...///
○○ : え...///
いつも余裕そうな山下さんも今だけは頬を桜色に染めていた。
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それからリハビリも順調に進み、松葉杖なしでも歩けるようになった。
山下 : もうすぐで退院しちゃう?
○○ : そうだね。まだぎこちないけど歩けるし。
山下 : でも競技復帰まで半年はかかるんだよね?
○○ : うん。これからもリハビリ頑張らないといけないね。
山下 : 寂しくなるなぁ...
○○ : 俺も寂しいよ笑
山下 : 本当に?
○○ : 本当だって笑 ずっと山下さんに面倒見てもらってたから笑
山下 : ヘヘッ.../// 嬉しいな.../// チョンチョン...👈
○○ : 痛った!!
山下 : 嘘っ?!ごめん!!
○○ : 大丈夫、大丈夫笑 手術の傷はまだ触るとちょっと痛いかな笑
山下 : へぇ〜痛いんだ?ニヤニヤ...
○○ : え?なに?
山下 : せんせぇ〜い!!!!
そう言って山下さんはどこかへ走って行ってしまった...
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山下 : やっほ〜♡
○○ : 何しに行ってたの?
山下 : ○○の入院3日延びたよ!♡
○○ : はぁ?!何で?!
山下 : ○○がまだ足痛いって言ったら先生が経過見たいからって3日延びたよ♡
○○ : 何してくれてんねん!!
山下 : ヘヘッ.../// これでまだまだ私といられるね♡
○○ : くっ...///
退院できないのは残念だが、少し喜んでしまっている自分がいるのが悔しい。
山下さんの手のひらで転がされているような感じだ。
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そして3日後...
山下 : ○○〜午前中のうちにシャワー浴びる?
○○ : あ〜そうだね、浴びよっかな?
山下 : よし!
○○ : ん?
数分後...
○○ : ふ〜さっぱりしたぁ〜これでやっと午後退院できる...
山下 : ○○〜!熱測ろっか♡
○○ : うぃ...
ピピピピ...
○○ : ほい
山下 : ありがと♡ あれれ?
○○ : どうした?
山下 : 37.3度。熱あるね♡
○○ : まぁ、シャワー浴びたばっかりだからね
山下 : 熱ある子をこのまま退院させるわけにはいかない!せんせぇ〜い!!!!
○○ : わーーー!!!やめろーーーーー!!!
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山下 : ヘヘッ...
○○ : くそっ...
山下 : また3日間延びちゃったね♡
○○ : あんたのせいだろっ!!
山下 : おねちゅの看病も私がしてあげる♡
○○ : はいはい...熱なんかないけどな...
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それから2週間。
山下さんに何かと理由をつけられ退院できなかった。
そして5回目の退院予定日。
俺は今、山下さんと睨み合っている。
僕は失態を犯さないように。
山下さんは退院を延期させる理由を探すために。
山下 : 傷は?
○○ : もう痛くない
山下 : 熱は?
○○ : 別の看護師さんに測ってもらった。
山下 : ちゃんと寝れた?
○○ : 8時間寝た。
山下 : 食欲は?
○○ : めっちゃある。退院したらすぐラーメン食べたい。
山下 : ちゃんと歩ける?
○○ : 装具つけてたら日常生活は問題ない。
山下 : くそーーーー!!!!
○○ : はっはっはーー!俺の勝ちだな!
山下 : 美月ちゃんと離れるの寂しい?
○○ : ...寂しくなんか...ない...
山下 : 何その間!寂しいんでしょ!
○○ : ・・・あぁ!寂しいよ!元々2週間入院の予定だったのに1ヶ月も入院させられたけど美月と一緒にいるのなんだかんだ楽しかったし...
山下 : ヘヘッ.../// 嬉しい...///
○○ : でも、さすがに今日退院する
山下 : まぁ...そうだよね...1個だけさ、聞いてもいい?
○○ : なに?
山下 : ○○さ、私のこと...好き?
○○ : !!!
山下 : .....
○○ : 好き...かも...
山下 : そっか...よかった...///
○○ : そういう美月はどうなんだよ...///
山下 : 私?私はね〜どうだろうね♡
○○ : 教えろよ!!
山下 : えぇ〜♡ じゃあ...知りたかったら目瞑って?
○○ : ん?うん。
山下 : そのままにしててね?
○○ : うん。
山下 : ん....///
○○ : んん?!?!?!
山下 : ヘヘッ...///
○○ : なにしてんだよ...///
山下 : じゃ!退院おめでとう!また連絡して?また会おうね♡ ばいば〜い♡
そういって爽快と俺の部屋を出て行った。
一瞬のことすぎて頭が追いつかない○○。
○○ : 結局俺の質問に答えてねぇし...///
○○ : しかも連絡してって連絡先交換してねえじゃんか...ばかかよ...///
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○○ : お世話になりました。
一応、1ヶ月もお世話になった病院に対してお礼をしておく。
病院で働く人たちってすごく大変なんだなって改めて感じた。
色々な患者さんがいるし、深夜も気を抜かせられないし。
美月もその中の一人なんだけどね。
○○ : 退院したって連絡しておくか...
友達に連絡しようと携帯の電源をつけると...
「新しい友達が登録されました」
" 山下美月 "
○○ : くそっ...あいつ...///
その瞬間、先程の口付けの甘い香りが蘇る。
全身が熱くなって、彼女の笑顔が思い浮かぶ。
俺はどうやら、彼女に完全にやられてしまったらしい。
Fin.
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