苗場山に登ってきました
「苗場山」と言われてもご存じない方が多いのかもしれません。
日本百名山のひとつで、長野県と新潟県の県境の標高2,145mの火山です。
麓の「苗場スキー場」はよく知られていると思います。
山頂付近に高層湿原・雪田草原(日本の重要湿地500に指定)が広がり、池塘と呼ばれる小さな水たまりが数多くあり、そこに苗のように植物(ミヤマホタルイ・ヤチスゲなど)が繁茂して、まるで神様の苗場(神の苗代田)のようだと信仰されてきた山です。
この山に私が惹かれた理由は、広大な山頂湿原と池塘に苗のように植物が生える様と、朝夕の美しい空が池塘に映り込む様を撮影したかったためです。
6月上旬のまだ雪が多く残る苗場山に、山小屋が営業を開始するのを待って登ってきました。
山の西側の秘境、秋山郷から小赤沢コースを登りました。車で三合目まで行けるのでとても助かります。
甲信越地方が梅雨入りし、前日の雨で道はぬかるんでいますが、雪解けの高山植物が咲き競っていました。
iPhoneで撮影した写真ですが
七合目あたりから雪渓がいくつも現れ、横断したり直登しますが、ロープを頼りに登るのはかなりスリリングでした。
八合目を過ぎてようやく山頂湿原の縁に到着。雪渓を登り切った所から撮影です。
山頂に広がる広大な台地から西の風景です。
奥に見える秀峰が鳥甲山、右のピークが坪場と呼ばれる小ピークです。
遮るものが無い山頂台地は強風で汗が一気に冷えていきました。
急いでレインジャケットを着て、苗場神社に向かいました。
秋山郷にある苗場神社の奥之院です。
強風や大雪に耐えられるよう補強されていました。
龍ノ峰山頂に向かいましたが、雪が多く木道が隠れて、しかも目印がありません。GPSを頼りに誰も通っていない雪原をさまよいました。
目指す池塘が現れないため、元の登山道に戻って山頂を目指しました。
山頂付近の池塘には、青い草が生えてきていました。淵にはショウジョウバカマが可愛い花を咲かせています。
こんな過酷な環境に耐えて花を咲かせる生命力にいつも感嘆します。
お昼に山頂登頂し、強風のため山小屋でお湯を頂いて昼食。
その後、翌朝まで強風と雨で何もできませんでした。
気圧が上がり始めた朝8時頃に下山開始。
徐々に晴れ上がってくる景色は素晴らしいものでした。
池塘に生えてきた苗のような植物も綺麗な色でした。
この後、登ってきた道を下りますが、下りの雪渓のトラバースほど怖いものはありません。
使わない三脚を持ってきて、逆に必要なアイゼンを置いてきたことを後悔。でも、ともかく自力で慎重に頑張るのみと言い聞かせ、何とか下山できました。
山小屋で得た情報によると、6月は東にある平標山(たいらっぴょう)のお花畑が見頃で、苗場山は7月に祓川コースで登るとお花畑があるそうです。厳しい自然の中で出会える絶景とお花畑、また秘境秋山郷や鳥甲山が冠雪した姿など、撮影したいものをたくさん発見できました。
今回はあまり良い写真は撮れませんでしたが、初めて登山して絶景が撮れるほど山は甘くありません。
山岳写真は本当に難しく、天気や季節、登山道等の状況で成否が左右されます。
またコロナ禍で山小屋は完全予約制ですので、明日晴れそうだから行こう、という訳にはいきません。
運を天に任せて登山日を決めて予約し、与えられた条件の中でどこまで撮影できるか、が試されます。
今回の登山経験を活かして来年チャレンジしたいと思います。