r＞gについて
説明
r > g とは、フランスの経済学者 トマ・ピケティ（Thomas Piketty） が提唱した概念で、資本主義における 資産格差の拡大メカニズム を説明する式です。
1. r > g の意味
r（リターン）：資本収益率（投資による利益・配当・利子・不動産収益などの成長率）
g（グロース）：経済成長率（GDP成長率や労働所得の伸び）
「r > g（資本収益率が経済成長率を上回る）」 という状況では、富裕層が持つ資産（株・不動産・事業など）の価値が労働者の賃金成長よりも速く増えていくため、資産格差が拡大し続ける という理論です。
2. なぜ r > g なのか？
ピケティによると、歴史的に r は平均4〜5% で推移するのに対し、g は1〜2%程度 しか伸びないことが多いため、富裕層は資産運用でどんどん豊かになり、労働者との格差が開いてしまう。
特に 低成長時代（g が低い） には、富の分配が進まず、資本を持つ人と持たない人の格差が拡大しやすい という問題が指摘されています。
3. 具体例
富裕層（資本を持つ人）労働者（資本を持たない人）r = 5%（資産運用益）1億円の資産が1年で 1.05億円 に増えるg = 2%（経済成長・賃金上昇）年収500万円が1年で 510万円 になる差（格差拡大）資産家はさらに資産を増やし、相対的に格差が広がる賃金が上がっても資産家との差は縮まらない
4. r > g の影響
富裕層がますます裕福に
投資や資産運用ができる人は、労働者の賃金成長を超えるスピードで資産を増やす。
中間層・低所得層が相対的に貧しくなる
経済成長（g）が低いと、賃金が伸び悩み、資産を持たない人が不利になる。
世代間格差の拡大
親から受け継いだ資産（相続）が重要になり、生まれながらの「格差」が固定化される。
社会の不安定化
格差が拡大しすぎると、貧困層の不満が高まり、社会不安や政治的混乱が発生しやすくなる。
5. 対策（r > g を抑える方法）
ピケティは、r > g の問題を抑えるために、以下のような対策を提案しています。
✅ 富裕層への課税強化
相続税・資産税の強化（世代間格差を減らす）
キャピタルゲイン税（株式利益への税） の引き上げ
✅ 経済成長（g）を高める
教育投資（スキル向上で賃金を増やす）
技術革新・生産性向上（経済全体の成長を促進）
最低賃金の引き上げ（労働者の収入を増やす）
6. 日本とアメリカの r > g
r（資本収益率）g（経済成長率）格差の広がりやすさアメリカ約5〜7%約2〜3%非常に広がりやすい（富裕層が資産を独占）日本約3〜5%約1%比較的ゆるやか（ただし資産格差は拡大中）
💡 ポイント
アメリカでは「株式投資や不動産で富裕層がどんどん資産を増やす」一方で、低所得層は給与が伸びず格差が拡大。
日本は全体の成長（g）が低いため、資産を持つ高齢層と資産を持たない若年層の格差が広がりやすい。
7. まとめ
✅ r > g とは？
資産収益率（r）が経済成長率（g）より高いと、富裕層の資産が拡大し続け、格差が拡大する という理論。
✅ なぜ重要？
経済成長（g）が低いほど、労働者と富裕層の資産格差が開く。
特に「低成長・高資産社会」では、相続や資本運用ができる人だけが豊かになる。
✅ 解決策は？
富裕層への課税（資産税・相続税）
経済成長の促進（教育・技術革新・最低賃金UP）
🔍 今後のポイント
資産を持たない人がどうやって r にアクセスできるか（投資など） が重要！
日本では特に若年層の資産形成が課題（NISAやiDeCoなどを活用すると有利）。
💬 「r > g だからお金持ちになれない…」と考えるのではなく、どうすれば r（資産収益）を得られるかを考えることが大事！
日本では投資の意識が低いため、まずはNISAやiDeCoを活用し、「r」を取りに行くことが資産格差を縮める鍵になります。
金融教育は 非常に大事