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心臓病と業務キャリアの関係性。どこでどう折り合いをつけるべきか
大きな病気をした結果、無理が効かない自分の体と、自己実現含めた自分の人生にどう折り合いをつけるか。究極の問題でもある。
大きな病気が見つかるまでは、自分の人生の時間は永遠だと思っていた。そんなはずないのに。歳をとるにつれて老いは感じるものの、暴飲暴食しても寝れば回復する。むしろ体に鞭打って回復させることで自分が強くなれる、精神面も含めて若さを実感できるような気がしていた。
心臓の病気が見つかってからは人生が一変した。基本的に心臓の病気は治らないのだ。心臓の細胞は生まれてからずっと動き続けている。新しく増えることはなく、力尽きたらそこで動かなくなっていく。治療は基本的に延命策。脈動を邪魔する信号は焼き切って除き、薬でセーブして心筋がバテるのを防ぎ、心臓の寿命を伸ばす。無理をすれば延命治療の意味がなくなる。延命方針に沿って生きていくのがセオリー。
だから減塩もするし、適正な運動量をキープする。動かないと筋力が落ちて心臓に負担がかかる。動きすぎると心臓が疲れる。ほどよく負荷がある仕事の方がやりがいもあって良いのだが、過度なプレッシャーは自律神経を弱らせ、心臓の動きが不規則になる。かといって何もしないでいると、それはそれで人生の意味を考え始めてしまったりしてつらい。
前回の記事では瞑想をお勧めしたのだが、私は少し先に起きる(かもしれない)自分の未来に向けた準備をすることで心の平静を保っている。
心不全が悪化して心臓移植を待つほかない状態に陥った場合、どうなるか。補助人工心臓(VAD)を入れる手術をする。それが心臓移植を待つ条件なのだ。VADにはリスクがあるので、常に誰かがそばにいる生活が必要になる。そうなると、毎日出社してお客さんのところに顔を出し、世間話をしつつビジネスの話をするような、これまでどおりの仕事のやり方はできなくなると考えた。かといって仕事を辞める訳にもいかない。住宅ローンだってあるし、養うべき家族もいるし、自分自身の治療費も捻出しなければならない。特定医療費の対象になっているものの、対象から外れてしまった時には会社の健康保険で設定されている自己負担上限額が頼りになるかもしれない。
一方で、会社に残るためにどんな仕事でもやれるかというと私の信条から難しい気もしている。自分自身の能力を存分に発揮して会社に貢献できている自負こそが必要なのだろうと思っている。
だからこそ、体調の良い今の時期を活用して、スタフ系の内勤業務できちんと能力を発揮し、周りに存在を認めておいてもらうことが重要になる。幸い、遠隔地勤務制度が導入されているので、体調悪化の折には単身赴任を切り上げて大阪の自宅からフルリモートで仕事をさせてもらえそうだ。
単身赴任で飛び込んだ新たな環境にもちゃんと自分の居場所ができ、むしろ頼りにしてもらっている状況になった。プロモーションの話も出るくらい大事にしてもらっているのだが、大きな役割を無責任に引き受けられないので、中庸なポジションで最大限の活躍をさせてもらいたいと考えている。昇進があるとありがたいのだが、その結果頑張りすぎて自分の会社人生/寿命が短くなってしまうのも本末転倒。非常に難しいところだ。
出来ることなら今の状態が定年まで続けばいい。体調も維持し、やりがいのある仕事をもらい、そこそこの給料をコンスタントに稼げている状態。心臓病とキャリアのバランスって難しい。
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