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世界の秘密に触れている、なんども読み返したくなる記事たちを集めました
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ウンベルト・エーコ『小説の森散策』を散策しよう

かつて『薔薇の名前』を読むのに挫折して以来、ウンベルト・エーコはなんとなく敬遠してしまっていたけれど、行きつけの本屋の棚の片隅にこの本を見つけたとき、未練を思い出して手に取りました。 表紙の紹介文に目を通すと、「読者は小説をどう読むべきか、作者は読者にどう読んでほしいと願っているのか」についてのエーコの講義記録だと書いてありました。 私がたとえエーコの小説を読めるほど成熟していないとしても、文学入門の講義を読むことはできるかもしれない。そしてこれが読めたら、エーコの小説も

【映画解釈/考察】『Love Letter』(1995) 「ラカンの"手紙(思い)は必ず宛名(相手)に届く"」

『Love Letter』(1995)  岩井俊二監督『ラストレター』(2020) 岩井俊二監督  映画『Love Letter』の公開から25年経った2020年岩井俊二監督によって再度、「手紙」を題材にした映画『ラストレター』が、公開されました。 『ラストレター』も、とても良い作品なのですが、観たあとだと、さらに『Love Letter』が、奇跡的なストーリー(構成)で、より素晴らしく感じられます。また、主要キャストの瑞々しさはもちろん、今見ても決して色褪せていない、1