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東浩紀

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東浩紀の本の感想です
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#推薦図書

人間にはどんなOSが実装されている?ー東浩紀『存在論的、郵便的』を読んでみた

批評家、株式会社ゲンロン創業者である東浩紀のデビュー作。1998年に新潮社からリリースされた。 脱構築という概念で有名な20世紀を代表する哲学者ジャック・デリダの研究書。研究書であるにもかかわらず、論証のしかたは推理小説みたい。最初から最後まで探偵の推理を観察している感じ。読んでいて楽しい。 博士論文をベースにしているということもあり専門用語多め。わからないところはネットで調べたり読みとばしたりしよう。 問いの一つ一つは研究者ではなくても疑問に思うような身近なことを取り

知覚のシステム図を作成してみるー『存在論的、郵便的』を下敷きに「無人島と砂漠」を読んでみた

はじめに 前回に引き続き國分功一郎「無人島と砂漠 ジル・ドゥルーズ『無人島、その原因と理由』から出発して」(『批評空間』第3期第4号 2002年、以下「無人島と砂漠」)を読みます。 私たちは巨大な謎という沼から抜け出して、明るく晴れた無人島の海辺(千葉雅也)、または砂漠(浅田彰)を目指す。その無人島の海辺と砂漠はそれぞれどんなところで、どんな違いがあるのかという謎を追いかけました。そしてこの二語(無人島の海辺と砂漠)ともドゥルーズのdésertを翻訳したものらしいというこ

葛藤をとりもどせー東浩紀「訂正可能性の哲学2、あるいは新しい一般意志について」を読んでみた

陰謀論、フェイクニュース、ポピュリズムが蔓延したディストピア。 人間がつくってきた世界がこんなにも荒涼としていて、もはやどうすることもできないのなら、AIにもっとましな世界をつくってもらおう。ラッキーなことに、二十数年後には人間より機械の方が賢くなることだし。 現在大きな影響力をもつ論客(落合陽一、ユヴァル・ノア・ハラリ、成田悠輔)たちは、ざっくりいうと、このような考え方に基づき新しい制度、機械に判断を委ねる民主主義(「シンギュラリティ民主主義」)を提案しています。 シンギ