棲家さがし その2
信州の森の中に住まう場所をさがしました。
棲家を建てる土地とお金の話をしてみたいと思います。
森の中に移住しようと考えている方に少しでも参考になればと思います。
整備された分譲地とは違って、森の中の土地にはいろんな規制があったり、住める土地にするまでにお金が想定外にかかます。
規制について
環境保全条例などで、建ぺい率20%、容積率40%、構造物(住宅だけでなくカーポート、物置などを含めて)は隣地界から5m後退といった規制がありました。
ということは、
建ぺい率の制約では、100m2の平屋を建てるなら、最低でも500m2の土地を確保しなければなりません。
また、隣地から5m後退の制約ではカーポートや物置や浄化槽などの構造物も対象になるので500m2では不足。また、土地の形状もあまり細いと使える部分が現実的ではなくなってしまいます。そんなこともあってか、隠居所の周辺では分譲/造成は一区画1000m2以上との規制がります。
森の中の土地は、確かに住宅地に比べて安価なのは間違いありませんが、規制などから実用になるには相応に広い土地が必要になります。
森の中といっても、見つけた棲家は、ぽつんとではなく、ご近所は定住者がいらっしゃって、利便性としてはスーパーや大きな病院まで車で10分程度だと、私にとっては、それなりのお金になりました。
この場所は、
村が移住や定住を推進している場所ではないので、開発届け(家を建てる届け)時に「緊急時以外の行政サービス(文書配布、除雪等)は受けられないことも あることを承知しました。」と覚書の提出を求められました。
いまどき自治体が堂々とこんな覚書を要求するのには驚きましたが、緊急時のサービスは受けられるわけだし、好きで森の中に暮らすのだから、まあしかたがないでしょう。
村の方針として、景観保護や水源涵養との理由から上記のような規制をかけているので、住民となるからには、厳格に遵守するよう努力したいと思います。
ちなみに、
村が移住や定住を推進していないのですが、実態としては、この規制のある地域は、ここ30年で住民が10倍増えて自治体の人口の12%以上が住んでいます。これに対して旧来からの市街地が軒並み人口減しているようですが、人口が増えているからと言ってそれに合わせての対応は考えていないといった、村役場の担当の議会答弁記録がありました。世の中の変化しているのにね・・・
また、
いくら規制をかけても実態がついていっていないのも事実で、近隣には道から見えにくい場所には、地元自動車修理業の方が廃車置場にしていたり、産業廃棄物ぽいものが放置されています。
自治体も、建前だけでなく、実としても環境保全に取り組んでいただけると良いのですが・・・(日本で最も美し村連合なんて言っているなら)
家を建てるまでの費用について
森の中に家を建てるには、住宅地に家を建てるに比べて、いろんな準備が必要になりました。もう少し勉強しておけばよかったと反省しています。
伐採・伐根
森の中なので家を建てる場所と工事の都合などで木を伐採して、じゃまになる場所は抜根する必要があります。木の茂り方や大きさにもよりますがそれなりのコストが発生します。隠居所の場合は1本あたり数万円で十数本は伐採が必要でした。
また、切った木や抜いた根っこの処分費も馬鹿にはなりませんでした。薪ストーブを計画していて切った木は廃棄せずに後で薪作りする方もいるようです。
造成
目で見て平でも測量してみると思った以上の傾斜があります。棲家は測量では、最大で3%程度の傾斜でした。幸いに家を建てる場所は大きく傾斜していなかったので、少しだけ切土・盛土で済、廃土も出ませんでしたので大きな費用は発生しませんでした。
ちなみに、傾斜3〜5%の造成費用は3.5万/坪ぐらいらしいので、30坪の平屋なら100万円以上の費用がかかりそうです。
さらに、地盤の改良が必要な場合があります。農地だったところや、谷筋などで、柔らかい土が積もっているところや、地下水位が高いところでは、家を建てるのに必要な地盤の強度が不足する事がます。地盤調査を行って、地盤改良の要否を判断することになりますが、地盤改良が必要な場合は数十万〜数百万円かけて地盤改良が必要になるとのことです。
これまた幸いなことに、地盤もしっかりしていて改良は不要でした。
水道
棲家の予定地は村道に接していて、村道部分に水道管(配水管)が通ているため、水道に関しては問題いと思っていました。
しかしながら、
近隣に住民が増えて水道管容量が不足気味となっているので、配水管からの直圧給水ではなく、受水槽を設置してくださいとのことでした。
つまり、住民が増えても水道設備の整備が追いつかないので、水道施設設計指針などにある最小動水圧 0.15Mpが確保できない可能性があるから、近隣に影響しないように自助努力してくださいということだと思います。
昨今は、都市部なら水質の確保などを目的に、積極的に直圧給水を推進しているところですが、地方では致し方ないこと思います。好きで森の中に住もうと考えたのだから必要な費用です。
ちなみに、
受水槽(受水槽+加圧ポンプ)の設置と寒冷地なので配管の養生などで数十万円追加費用が発生の見込みです。
浄化槽
さすがに下水はありませんので、合併浄化槽と排水処理施設(トレンチ)になります。自治体の環境保護を優先する方針から、浄化槽は一般品とり性能の高いものが必要で、排水処理施設も自治体独自の方式ということで施工業者も限定されました。
ただ、浄化槽設置と排水処理施設については自治体からの補助金があるようです。(ありがとうございます!!)
いずれにしても、
都会に比べて、地方はインフラが脆弱で、特に、森の中のように、人口密度が低い場所では、自治体によるサービスだけでなく、自分でなんとするためのコストが想定外にかかるという「当たり前」のことを再認識しました。
今回はここまで
森の中に住まうために、普通の住宅地や分譲地以上にかかる費用などを挙げてみました。当たり前のことばかりではありますが、森の中に移住を考えているかに少しでも参考になればと思います。
次回は寒冷地対策などを書いてみようと思います。
・・・いつになるかわかりませんが・・・
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