
第二話【挨拶】(Vol.11-20)
Vol.11
子どもたちからの歓迎を受け改めて
この志事に就けてよかった。
(ボクはやってやる!この子達のために尽くすんだ。)
と心に決めた。
だが、そんな思いもすぐに打ち壊されることになることをまだヒロは知らない。
歓迎会のあと、子どもたちはそれぞれの部屋に戻っていった。
Vol.12
「ヒロ兄!こっちやで。」
そう言って、部屋を教えてくれたのはコウタだった。
コウタはこの4月から中学生になる。
まだ小6のあどけなさをもちながらクリントした目がとても印象に残る気さくな子だ。
「ありがとー。」
そう言ってコウタの後をついて行く。
中高生男子部屋は別館の2階だ
Vol.13
ボクの施設は建物が2つあって
本館と別館になっている。
その間をつなぐのが食堂ってわけだ。
本館は女子
別館は幼児さんと男子って具合に分けられている。
別館の階段を上がってすぐに大きな部屋が二つ。
左が中高生男子部屋。
右が小学生男子部屋になっている。
Vol.14
部屋の前でスリッパを脱いで
部屋に入る。
部屋に入ると20畳ほどのリビングがあって
すぐ手前が宿直室だ。
職員の部屋になっている。
そこから
四人部屋が4つ並んでいる。
そんな部屋の作りだ。
リビングに
中男(ちゅうだん)が
↑中高生男子の略語
座ってボクを迎え入れてくれた。
Vol.15
「はーい。みんな注目!ヒロ兄さんの話でーす。」
ケンタ兄が切り出した
(さっき挨拶したんだけどな)
そう思いながらも、改めて自己紹介した
「はい、さっきも紹介ありましたが、ヒロです。趣味は映画を観ることと釣りです。
これからみんなとの生活を楽しみにしています。よろしくね」
Vol.16
「はい、では質問ある人ぉ〜?」
ケンタ兄が子供達にフル。
(えっ、そんなの聞いてないっすよ。)
と思ったのも束の間、
数名の手が上がった。
「はい!コウタ」
初めに当てられたのはコウタだ。
「兄ちゃんは彼女いるん?」
(えっ、質問がいきなりそこかい)
「い、いないよ。」汗
Vol.17
「どれぐらいおらんの?」
「なーなー教えて。」
興味津々の質問に
ケンタ兄が間に入ってくれた。
「まーまーそんなことは、今はえーやろ。他に質問は?」
「はい!」
次に手を挙げたのは
ユッキーだ。
ユッキーも今年中学生になるコウタと同級生である。
「何歳なん?」
とユッキー。
Vol.18
「今年27歳になるよ。前は測量会社で仕事してました。
仕事やめて、保育の専門学校に行って保育士の資格を取って、
今年の3月に卒業してココ(施設)で働くことになりました。
よろしくね。」
たわいもない質問がこの後も続いたが、ある程度のところでケンタ兄が話を閉めた。
Vol.19
「まー質問はそれぐらいにして、自分らも自己紹介しよか。」
とケンタ兄が間に入ってくれた。
「じゃー俺からやな。」
とケンタ兄。
「なんでケンタ兄やねん。もーそんかん終わってるやろ?」
と子ども達からのツッコミを受け、
「ええやんけ。話しさせろよ。」
などと絡むケンタ兄
Vol.20
ここにいる子ども達とケンタ兄の関係が感じ取れて
(早く,自分も打ち解けてこんな感じになりたいな。)
と改めて誓った。
笑いながら見てると
「何笑ってんの?」とシュウタが声をかけてきた。
「いやーケンタ兄面白いなーって思ってさ。」
と答えると、
「こんなんばっかりやで。」