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第二十五話【珈琲】(Vol.241-250)

Vol.241
(落ち着くなぁ〜)と思っているボクに
ケンタ兄は

「ここな、たまに来んねん。
まぁ〜自分休憩やな。買い物の都中とか
出かけた時とか。ちょっとタイミングみて
来てるねん。休憩と挨拶を兼ねてね。」

と教えてくれた

それを聞いていたのかマスターが
「気軽においでよ」
と言ってくれた




Vol.242
社会人になって
“馴染みの店“というものがないボクにとって
初めて店になる。

どこか大人になったような気がした。

(また来よう)
密かに心に留めておいた。

ホット一息の
コーヒーをいただいた後、
時間はすっかり昼を回っていた。

「そろそろ戻ろか」
ケンタ兄が席を立った。




Vol.243
車に乗って学園へと戻る。

「戻りました」の挨拶を済ませ、
食堂へ

子どもたちがいない食堂は
どこかもの寂しい。

職員が入れ替わり立ち替わり
昼食をとっていた。

ずらりと並んだ
ご飯の友たち。
「俺を食べてくれよ!」と叫んでいる

・・・

結局3杯いただいてしまった
うますぎるんだ




Vol.244
食事の後は、休憩。
と行きたいとところだが

なかなかそうもいかない。
宿直明けの
ケンタ兄と引き継ぎをするためだ。

午後から明日1日は一人で
子ども達と対応することになる。

昨日あったことや
今後の予定などを引き継ぐ。

ケンタ兄との引き継ぎが
はじまった。




Vol.245
ケンタ兄から
「なんかある?」と聞かれたが

何もわかっていないボクは
「さぁ」としか答えられない。

今夜は宿直なので
少々不安があることを伝えた。

ケンタ兄は、
「まぁ〜サトミ姉が相手やから大丈夫やで」
と笑っている。

そう。
サトミ姉さんだ。
大丈夫かな?

心臓が高鳴った。




Vol.246
サトミ姉さんは
朝、寝坊して食堂に入ったとき
どこか気まずい雰囲気になった。

学園の柱と言える
仕事がしっかりできる人だ。

「鍛えてもらい。」
とケンタ兄から言われて

「はい」と
力なく答えたボクだった。




Vol.247
子どものことや
今後の予定を軽く打ち合わせしていく

少し先の話だが、
招待行事で
サーカスの招待があるそうだ。

今回は中高生男女で参加することになった。
車の運転やら食事の準備やら
色々とやることがあると
ケンタ兄から話がある。

何事も準備が大事なんだなと
心のメモに書き留めた




Vol.248
引き継ぎを終えた後、
テレビをつけながら
床の拭き掃除をする。

のんびりとした時間が流れるが
それも15時までだ。

15時をすぎると、
「ただいまー」

と小男から次々と帰ってきた。

戦いが始まる。




Vol.249
まずは小男(小学生男子)から受け入れる。

本来は担当者に任せておけば良いのだが、
やはりここはチームプレイ

帰ってきた子供たちを
「おかえりぃ〜楽しかったか?」
などと受け入れて顔色を伺う

「うん」
という子もいれば
「別に」
と流す子もいる

見るポイントは
“普段とどうか?“だ




Vol.250
受け入れた後は、
ランドセルの片付けを見守る。

・連絡帳
・プリント
・宿題
・給食セット
・明日の時間割
などなど
チェックする項目は意外と多い。

連絡帳を見ると
(雑な文字。もっと丁寧に書けよ!)と
言いたい気持ちを抑えながら
「ゆっくり書くと 良い字になるよ」と励ます。

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