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第四十三話【散策】(Vol.421-430)

Vol.421
アーケード前にあるたこ焼き屋が目に止まった

(よしっ!ここに決めた)

店構えからして年季が入っており
レトロ感が否めない
どこか暖かい雰囲気が漂っている

オープンテラスのテーブルには
行き交う人々の息遣いも感じられる
(ただの“道端“である)

「たこ焼き一人前と 生ちょーだい」




Vol.422
たこ焼きが焼けるまでに
先に届けられた【生】

キンキンに冷えたジョッキに注がれた【生】

生唾を飲み込んで
我慢できずにいただく。

ゴクッ
(うまい)

ゴクッ
(たまらん)

ゴクッ
(染みる)

五臓六腑を駆け巡るとは
まさにこのことだ。




Vol.423
たこ焼きが焼けるまでに
一杯呑み切ってしまった。
(これは店の作戦だろう)

たこ焼きが焼きあがるまで
次はstay.

焼き上がってきたところで
「もう一杯ちょーだい」とcall.

「あいよ」
とおっちゃん。

このやりとりが、一見なのに馴染み客のように接してくれる。
下町のいいところだ。




Vol.424
出来立てのたこ焼きと
つぎたての生ビール

熱々たこ焼きに
踊る鰹節

ナイス!

ハフハフしながらいただく。

大人になってもこの味は
やっぱり美味しい。

ビールの苦味が
たこ焼きの旨さを引き上げてくれた。

幸せだ。




Vol.425
たこ焼きを食べ終わり
大将にお礼を行ってボクは店を後にした。

人通りのある商店街を歩いてみよう。

ほろ酔いで心地よい。

商店街は活気に溢れていた。

八百屋に肉屋、魚屋、おもちゃ屋
スーパー、パチンコ、喫茶店。

ありとあらゆる店がひしめき合って
並んでいる。




Vol.426
商店街を抜けてもなお飲食店がポツポツと立ち並ぶ

神戸に来てこんなに街を歩いたことはなかった

知らない土地を歩き
【初めて】に触れたとき
ボクはドキドキとワクワクを感じた

きっとこれが好きなことなんだろう

これからも
多くの
ヒト・マチ・モノ
に触れて、見つけていきたいと思った




Vol.427
ボクの休日はまだ続く。
ほろ酔いかげんが気持ちいい。

商店街を抜け、街中を抜けると
駅が見てくる。

阪急電車

小豆色がトレードマークの電車だ。
幼い頃から乗っている。

これにのれば
実家まで連れて行ってくれる電車。

駅までの散策を楽しんだ。




Vol.428
阪急王子公園駅
たどり着いた駅の名前だ。

駅前にはスタジアムと動物園が広がっていた。

神戸市立王子動物園

ここは市立動物園ながら
パンダとコアラを
見ることができる
日本で唯一の動物園である。

(せっかくだから入ってみるか)

そんな思いに駆られた。




Vol.429
料金を払ってゲートをくぐる
すると左手からにぎやかな鳴き声が響いてきた

と同時に芳しき香り

この香りは・・・

ボクの脳みそが過去の記憶を
リサーチする

ハッ

間違いない。
フラミンゴだ!

奴らがそこにいるんだ!

ボクの視界に飛び込んできたのは
紛れもなく
フラミンゴだった。




Vol.430
にぎやかなフラミンゴの香りに
さよならをしてボクは右を見ると

アジアゾウのマックがゆっくりと
歩いている。

マックは国内でも最大級だ。
ゆっくりとしたその所作に

「お前も ゆっくり 生きろ!」

と言われている気がした。

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