第四十六話【樹懶】(Vol.451-460)
Vol.451
ゴリラのいた丘を後にして
ボクは
夜行性動物・爬虫類エリアへと足を伸ばした。
ここは暗室になっており、
どことなくワクワク感が漂っている。
ボクを受け入れてくれたのがワニだ。
チビワニたち。
つま先立ちして水槽の中を立っている。
動かない。
置き物か?と一瞬疑ってしまう。
Vol.452
本当は叩いてはいけないガラスの壁を
ドンドン叩く
やんちゃな子を
目で威圧することなく
ボクは黙ってやり過ごした。
奥には大蛇が待っている。
ゆっくりと過ごしているその姿に
どこかゆとりを感じてしまう。
Vol.453
しかし、世の中には
もっと上をいく“ゆとり“の猛者がいる。
そう。
ナマケモノ だ。
暗室を抜けたところに
そいつはいた。
蒸し暑い空間にしげる木々。
その枝にぶら下がるように?
垂れ下がるように?
ぐたっとしているソイツ。
ナマケモノだ。
Vol.454
長いかぎ爪を持ち、それを木に引っ掛けてぶら下がる
ナマケモノ
地上に下りるのは週に1度の排尿や排便時のみ
食事・睡眠・交尾・出産などは樹上で行う
夜行性で1日に約20時間は睡眠
フタユナマケモノは
ミユビナマケモノに比べ、気性が荒く
動作もすばやいらしい
が、週に一度だけって。
Vol.455
動きが早いと言っても
このレベル。
ナマケモノたちの世界では
早いのだろう。
人間と比べているから
ナマケモノなのだが、
彼らにしてたら
我々は
ウゴキモノ なのかもしれない。
説明書きを読みながら
ふと思った。
Vol.456
のんびりしているナマケモノ
しかし
彼らなりに 急いでいるのかもしれないなと
思うと
ボクと同じなんだと
思えてきた。
それぞれの世界で
それぞれの流れがある。
自分の見方・考え方で
捉え方が変わってくるのだと
感じた。
ナマケモノに学ぶことは多い。
Vol.457
ナマケモノにさよならすると
一気に清々しい風が頬を通り抜けた。
熱帯地方はやっぱり
過ごしにくいな。
風を感じながら
坂を降りていくと
出会ったのはエゾヒグマ
大きい体を震わせながら
歩き回っている
“のっし““のっし“が
ピッタリの歩き方だ。
Vol.458
エゾヒグマ
大きなガタイから
迫力が伝わっってきた。
常に歩き回り
何かを探しているようだ。
所々に
でかい糞もあり
糞のスケールもデカい。
Vol.459
ボクはその場を去った。
ふぅ〜
なんて見応えのある動物園なんだ。
気がつけば2時間経っている。
1人で動物園なんて
初めてなのに
それでいて
楽しんでいる。
周りを見ると
カップルや家族連れがちらほらと目に留まった。
流石に平日。
のんびりとした時間が
ここには流れている。
Vol.460
一通り動物園を楽しんだボクは
そろそろ帰ることにした。
ゆっくりと賑わう動物園に
リラックスしたボク。
ゲートまで戻って来たとき
あのフラミンゴ臭をお土産に
ウッとなりながらも
出会った動物に感謝し
頭を下げた。
(また来るね)
そう、ここには癒しと気づきが詰まってるんだ。
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