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第二十七話【音読】(Vol.261-270)
Vol.261
今日もカズヤ(小3)の音読を聞くことがあった。
「さぁ!カズヤ。音読行こか!(しようか)」
「えぇ〜もぉ〜メンドくさい」
(ネガティブな言葉は日常茶飯事)
「そんなこと言わんとサッとやろう」
はいはいと言わんばかりに
ランドセルから教科書を取り出して
渋々読み出したカズヤ
Vol.262
カズヤの音読が始まる
きつつきの商売
林原玉枝 作
村上康成 絵
1
きつつきが、お店を開きました。
それはもう、きつつきにぴったりのお店です。
きつつきは、森中の木の中からえりすぐりの木を
見つけてきて、かんばんをこしらえました
かんばんにきざんだお店の名前は、こうです
おとや
Vol.263
(うまいなぁ〜すらすら読むなぁ〜)
と感心しながらも、
カズヤはもう読み慣れた手前
ほぼ、暗読なのだ。
だから、一気に読み込んでいく。
しかも、息継ぎなしに
(さっき、句読点に注意しろって言ってたのに)
と後悔しながらも、そこは愛嬌。
カズヤの音読に耳を傾けた。
Vol.264
「さぁ、いきますよ。いいですか」
きつつきは、木の上から声をかけました。
野うさぎは、きつつきを見上げて、こっくりうなずきました。
「では」
きつつきは、ぶなの木のみを、くちばしで力いっぱいたたきました。
コーン
ぶなの木の音が、ぶなの森にこだましました。
(カズヤうまっ)
Vol.265
“コーン“にめっちゃ臨場感を込めて
音読するカズヤ。
ほんま、原文と同じように
四分音符より長い時間
コ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン
と気持ち込めるカズヤ。
「なぁ〜カズヤ コーンってさあ。茹でて食べると美味しいやつやろ?」
急にふってみる。
「なにそれ?」
Vol.266
(“それトウモロコシやろ“って言いてほしいだけなのに)
ついボケてしまうボクを横に置いて
カズヤは音読を続けて行った。
・・・
四分音符100個分より
長い時間が勉強部屋に流れていった。。。
Vol.267
宿題が終われば後は明日の準備
・時間割
・鉛筆削り
・持ち物チェック
職員が連絡帳をチェックしながらサインを書く。
たまに担任の先生からコメントがあるので
忘れずにチェックだ。
一番に宿題を終えたカズヤは
「ヤッホー」
と言って出かけてしまった
小男はその後も
どんどん帰ってくる
Vol.268
小男の宿題を見ている間に
中男が帰ってくる。
「ただいまぁ。にいちゃん。小遣い出して」
決まり文句のコウタ。
「今日、来とったやろ?何しに来たん?
俺めっちゃ焦ったで」
「なんで?」
「怒られるかと思ったもん」
「怒られるようなこと しとんか?」
「そら色々あるわ」
・・・
Vol.269
色々と問題を起こすコウタらしいが
素直なコウタが可愛らしい。
「いやいや、今日は兄ちゃんが担当になったから
挨拶に行ってん。校長先生が見ていっていいよ
って言ってくれたから様子見に行ってん」
「もぉ〜それなら言っといてや。焦ったわ」
制服を着替えながら言うコウタに笑顔が見えた
Vol.270
着替えを終えたコウタは
すぐに飛び出していく。
小遣い100円握りしめて。
今日もダッシュで出て行った。
門限の18時まで
残り時間2時間。
この2時間を彼は名一杯生きている。
ここに懸けていると言っていいぐらいだ。