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第八話【休憩】(Vol.71-80)

Vol.71
ちらっと横を向くとコウタがこちらをみていた。

「兄ちゃん。タバコ吸うんや。」
「うん。」

「何吸ってるん?」
「ピースライトやね。」

「へぇ〜そうやんや。オレ、セッタ(セブンスター)がいいなぁ〜」

(・・・中学1年生がすでに“セッタ“っていうかい。)

外への関心の高さに驚いた



Vol.72
(“タバコ“はいつか辞めよう。)
と心に誓ったボクだが、この先6年は辞めることができなかった。

一服を終えたボクは、再び中高生男子の部屋に戻った。

一足先に宿直室に戻っていたケンタ兄から再び声がかかる。
「ヒロ兄ちゃん。ちょっといい?」

「あっ、はい。いきます。」



Vol.73
「どうしましたか?」

ボクが尋ねるとケンタ兄が

「ヒロ兄ちゃん。休憩行ってきて。1時間ぐらい部屋でゆっくりしてきて。」

「えっ、いいんですか?」

「うん。初めのうちやけどね・・・」

と言葉に含みをもたせながらケンタ兄が言った。

(その、“・・・”が気になるんですけど。)



Vol.74
「では、お言葉に甘えて。休憩いただきます。」

そう言って、宿直室を後にしたボクは
上の階にある自分の部屋へ戻った。

その距離 20段ほどの階段を上がり、
左手に15歩ほどで自分の部屋に着く。

その時間30秒程度。
ダッシュなら無呼吸での出勤が可能である。

「では、お言葉に甘えて。休憩いただきます。」

そう言って、宿直室を後にしたボクは
上の階にある自分の部屋へ戻った。

その距離 20段ほどの階段を上がり、
左手に15歩ほどで自分の部屋に着く。

その時間30秒程度。
ダッシュなら無呼吸での出勤が可能である。



Vol.75
スリッパを脱ぐとすぐに畳の部屋だ。

4畳半の部屋に雑然とおかれた荷物たち
まだ片付けが終わっていない

畳の周りには50cmほどの板の間があり
そこにカラーボックスを横に寝かしてある。
その上にテレビ。

シンプルと言えばシンプル。
質素といえば質素である。

う〜ん
“モノは言いよう“



Vol.76
1時間の休憩をどう過ごそう。

(荷物片付けるのは時間がかかる)
ということで畳の上で大の字?とまではいかず。

TVをつけて
仰向けで寝転ぶことにした

天井を眺めると
板模様が人に見えてくる。
↑よくあるパターンだ。

昼のワイドショーをBGMに
ボクはここまでを振り返っていた。



Vol.77
8人の児童との出会い。
ボクのことをどのように見ただろう。

「変なヤツ来た」と思っている?
「面白そうだな」と思っている?

期待と不安が入り混じる。

じゃーボク自身はどうなんだ?
子供達のことをどう見ている?

と、問うてみた

(仲良くなりたい)
(力になりたい)
(頼られたい)



Vol.78
子供達のために“尽くせる人“ になりたい。

これが今の気持ちだ。

部屋を駆け抜けていく4月の風が
ほどよく頬に当たる

食後のそよ風は反則だ。
いつしかボクは落ちてしまった。



Vol.79
「・・・ちゃん」

「・ロ兄ちゃん」

「ヒロ兄ちゃん」

どこからか声がして、ハッとして目が覚める。

目の前にはケンタ兄。

「あっ、すいません。完全に寝落ちしてました。」

「マ〜よくある。よくある。えーで。そろそろ交代な。」

やっば。初日からの失敗である。



Vol.80
ボクを起こしたあと、ケンタ兄は
ボクの隣の部屋に入って行った。

そう。ケンタ兄の部屋はボクの隣だ。
ケンタ兄は結婚しているので、住み込んではいない。

ただ、休憩室として自室を確保していた。
薄暗いケンタ兄の部屋は、

『THE 寝る部屋』として整理されている。

さすがな先輩だ。

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