第十九話【寝坊】(Vol.181-190)
Vol.181
歯磨きを終えて部屋に戻ったボクは
電気を消し、
ニュースを観ながら横になった。
キャスターが野球のレポートをしていたが
ボクの耳には届かない。
すぐに瞼が重くなり、
まどろんだ。
(こんなに充実?した1日はいつぶりだろう?)
思い返す間も無く、眠りに落ちた。
Vol.182
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
携帯のアラームで目が覚める。
時計を見ると6時半。
(やべっ)
二度寝してしまった。
布団から飛び出し、顔をサラッと洗って
食堂へと向かう。
「おはようございます」
食堂に入ると
すでにケンタ兄がお弁当を詰め終わろうとしていた。
Vol.183
「おはよう」
ケンタ兄が優しく返してくれた。
隣では
中高生女子担当の サトミ姉さんがお弁当を詰めていた。
「兄さん。おはよう。 寝坊やね」
・・・
ピリッとした空気が流れる。
「すいません」
“寝坊は無謀“
そう #心のメモ に書き留めた。
Vol.184
「何か手伝います」
とっても何もないのだが・・・
手当たり次第に片付けをするボク。
「兄さん。いいよ。もう終わるから」と
サトミ姉さんは優しく言ってくれた。
(怒ってないのかな?)
どうもボクは、人の様子を伺いところが強いみたいだ。
変な気を使うところがあるみたいだ。
Vol.185
“自分を知る“ことは大事だと最近思う
何が 好きで
何が 苦手?
これから どうしたいのか?
自分に問いかける時間が
意外と必要なんだなと思うボク
相手のことを 思い伺うのは
よく言えば 思いやりがある。
悪く言えば 自信無し だ。
いろんな気持ちが混ざって
今のボクができている
Vol.186
片付けた後、ボクは食堂に残った。
少しでも 寝坊を挽回したいと思ったからだ。
ケンタ兄、サトミ姉は既に食堂から出て行った。
食堂のおばちゃん 安井さんこと
安さんに声をかける。
「お手伝いするすることありますか?」
「お兄さん。ええよ。そんなんしなくても。」
と返された。
Vol.187
まるで、善意で譲った電車の座席を
いいえ大丈夫です。
と断られた気まずい空気が流れた
「そ、そ、そうですか。わかりました。またなんでもさせてもらいますね」
と返すのが精一杯のボク
「ありがとうね。またお願いするわ。お兄さん」
かっぷくのいい安井さんの声は
どこか心地よい。
Vol.188
そうこうしているうちに起床時間となる。
さぁ 今日も1日が始まるぞ。
と背伸びを一つして中男部屋へと足を進めた。
部屋には既にケンタ兄がテレビをつけて
ニュースを観ている。
何を観ているのか気になって尋ねた。
「何かあるんですか?」
「いや、今日の天気のチェックやね。」
Vol.189
天気なんて普段気にしたことがなかったボクには意外だった。
朝、空を見て
曇りだったら 雨降るかな?
程度でしか考えてなかったからだ。
それか、イベントや行事ぐらいかな。
なのに、
普段から天気をチェックするケンタ兄が意外だった。
Vol.190
ケンタ兄が言う。
「1週間の天気ってあるやろ?あれが大事なんよね。なんとなくのイメージもてるやん。そしたら、洗濯の日とか予定日立てれるやん。」
(おぉー洗濯かぁ)
と心で驚きながら
(さすが生活感満載)
と呟いていた。
#心のメモ に
“先を見通す”と記録した。