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漫画原作実写映画に関する事~ザ・ファブル2作品を観て雑感~

昨今…でもないか…昔から、漫画原作の実写映画に関しては諸々言われてますよね。
曰く”ストーリーがぜんぜん違う”
曰く”キャラのイメージが違う”
曰く”世界観が全く違う”
果は”こんなの原作レイプだ”
等々、まぁ漫画に限らず小説ベースでもアニメベースでも同じような事を言われてますわ。
でね、そんな中で比較的評判のいい映画で、一応俺も原作読んでから観た映画に関して、なんで評判まぁまぁいいのか雑感を述べるわけです。

原作名は「ザ・ファブル」休業を申し付けられた殺し屋の、コメディ要素ありシリアス要素ありの漫画で、オジサンでも面白く読めた作品。
これを原作にして作られた映画が「ザ・ファブル」と、「ザ・ファブル/殺さない殺し屋」の2本(今のところ)。

でね、この映画がまた、とても面白いのですよ。ほんと観てて面白いの。
原作を読んでからこそ笑える部分もあるし、読んでなくても笑えるし、アクションはすごいし。正直アクション部分なんか、最近の邦画ではかなり上位だと思うくらい凝ってるし驚かせてくれるし、オススメ映画ですよこれ。

で、原作も楽しめて映画も楽しめた要因の一つが”ちゃんと残すところは残す”というこだわりがあるのかな、と。
例えばジャッカル富岡に関するパート、正直あまりストーリーには関係ないんだけど、これがないと原作から読んでる人には「ファブルじゃねぇ!」となっちまう大切なパート。
でも恐らく、ザ・ファブルという漫画をベースにアクション映画を作ろうとすると、このパートはバッサリ落とされるパートなのよ。だってストーリーに関係ないし、原作未見の人には意味不明だし。
でもこれをちゃんと残してるから、ザ・ファブルが成り立ってるんですわ。
その他”妹”の酒乱パートもモノによってはバッサリいけるし、ファブル佐藤の描くイラストのパートだってあんなに時間割かなくてもいい。でも、あえてそこに時間割いてしっかり描くことで「ザ・ファブル」の世界観というか漫画らしさを残してるのが素晴らしい。

そして更にすごいのが、アクションシーンが漫画を凌駕している点。
ここでちゃんと実写映画である強みを遺憾なく発揮してるのよ。
漫画では表現しきれないリアル感やスピード感、そして漫画以上の仕掛けやアイデアがふんだんに練り込まれてる。
この、実写映画だからこそ説得力のある”肉付け”こそが、この作品最高の武器なんだと思うのです。

漫画そのままでもなく、かと言って漫画の世界観はしっかり踏襲しつつ、漫画とは違ったファブル像を作り出してる、そんな映画だから大きな不平不満がないのかな、と。

…そりゃね、キャスティングが云々とかって嗜好の問題は出てくるだろうけどさ、この点も俺は結構上手いと思った。岡田准一ファブル、いいじゃない。

ま、どうしても人気ある原作の実写映画化ってのは作り手も力が入るモンだけど、その力の入れ方が間違ってなければ、こういう作品が出来るのね、という良作でございました。

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