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みんな大好きウィリアム・モリスと着物の意外な関係

検索「ウィリアムモリス 着物」

「ウィルアムモリス 着物」と検索すると、ウィリアム・モリス柄の着物や帯がたくさんヒットします。
可愛いですよね。いちごを咥えた鳥とか、蔦とか花とか。
着物だけでなく、壁紙、バッグやノート、なんでもありの、みんな大好きモリス柄。街を歩いていると1日1回は目にするのでは?(言い過ぎか?)というくらいよく目にする。

そんなモリスさんですが、実は日本の柄に影響を受けていたのをご存知ですか?「おー!日本かっこいい!」といってデザインの参考にして、それを今 日本人が「モリス柄かわいい!」といって愛用している。面白いですよね!
今回は、そんなお話をしていこうと思います。
ご興味ある方、どうぞお付き合いください。
※着物好きが高じて興味を持った本を読む中で得た内容を、生徒さんたちにも楽しんでもらえたらと思いまとめています。お詳しい方いらっしゃいましたら色々とコメント頂けると嬉しいです。


ジャポン、カッコイイネェ


江戸時代、日本は鎖国をしていましたが、一部貿易が許されていた国から日本のものが海外に流出し、その異国情緒あふれる独特な様式に、西洋の人々はとても衝撃を受け日本ブームがおこりました。また、1867年に開催されたパリ万博に日本が公式初出展したことで更に日本が大ブームとなり、のちのちジャポニスムといわれるものになっていきます。初の公式日本パビリオンでは日本庭園のようなものを作り、着物を着てお茶を点てて来場者さんに振る舞ったそうです。(と、どこかの書籍で読みましたが、なんの本だったか思い出すことができず、、、。「流出した日本美術の至宝」中野 明著 だったかな?記憶違いではないと思いますが、間違っていたらごめんなさい)

情報を簡単に得られるようになった今日でも、着物を着てお茶を点てて差し上げたら、海外の方はとっても喜んでくださるし、「素敵!素敵!」と感動してくれるんだもの、あの時代に初めて「ジャポン」というものを目にしたらそれはそれは衝撃的だったはず。
特に、遠近法や陰影を無視し、大胆な構図をとる浮世絵がヨーロッパ美術界に大きな影響を与えたのは有名です。

原田マハさんの有名な著書「たゆたえども沈まず」も、その頃のフランスが舞台となっているお話しです。読んだことある方も多いのでは?


ボストン美術館 「ラ・ジャポネーズ」モネ


ゴッホが浮世絵なら モリスは型紙


ゴッホやモネが浮世絵から影響を受けたのは有名ですが、モリスは日本の型紙から影響を受けました。ジャポニスムの流れは絵画界隈だけでなく、装飾芸術や産業芸術に「新しいデザイン」という風を吹き込みました。
日本の型紙はいろいろな媒体への汎用性が高く、家具装飾やテキスタイル、壁紙など、室内装飾に欠かせないエッセンスになっていったようです。
この頃のイギリスにも日本の型紙と同じ技法としてステンシルがありましたが、「ステンシル=労働力節約のための道具」でしかなく、日本の型紙のように「美しさ」や「芸術性」を追求していくものではなかったそうです。

産業革命による大量生産の反動として、丁寧な手仕事の価値や美しさを重んじる風潮へと流れていく様子は、大量生産・大量消費の時代からエシカルなどの"新たな付加価値"のある消費行動へと促している今の時代ともなんだか重なりますね。


当教室のトイレ(笑)も「ストロベリー・シーフ(いちご泥棒)」ウィリアム・モリス

日本大流行のヨーロッパでは、日本から届いたたくさんの美術品がコレクターの手に渡りました。”美術品”と書きましたが、"美術品"の中の1つである"浮世絵"は、その当時の日本人から見たら実は"ゴミ"くらいにしか思われていなかったそうです。「読んだら終わり、見たら終わり、最後は"鼻紙"にして捨てる。」そんな扱い(今の新聞のような感覚だったのかもしれませんね)の浮世絵が高値で売れるんだから、そりゃあドンドン流出しますよね。そんな感じで多くの型紙も浮世絵同様ヨーロッパに渡っていったようです。


ところで、型紙って知ってます?

着物好きさんならご存知だとは思いますが、ご存知ない方のために簡単に説明しようと思います。

着物の柄の付け方として、大きく分けて2つの方法があります。反物(着物の生地)を織る時に糸の色を変えて織ることで柄を出す方法と、ひとまず白い糸(染めていない糸)で反物を織って後から色をつける方法。
後方の中の一つに型紙を使った技法(型染め)があります。

渋柿などを塗って加工した紙に紋様(柄となる模様)を彫り抜いたものを型紙といいます。イメージとしては折り紙で切り絵を作った感じのもの。(想像できてますか?)
その型紙を着物や浴衣になる布の上に置いて、刷毛で染料を塗ったり、逆に色が付かないように型紙の上から糊を塗って(防染)からボチャーンっと染料の中に付け込んで柄を出していきます。つまり、着物や浴衣を染める時に使っていたもの。

※もっと詳しく知りたい方は、ぜひ検索してみてください。


KATAGAMI Style

今回、型紙とウィリアム・モリスについて投稿しようと思ったきっかけの本があります。その名も「KATAGAMI Style」。私はいったいこれをどこで購入したのか全く覚えていないのだが、なぜか家にある。きっと覚えていないということはネット購入でしょう。あ、面白そう!ポチッ。としたのでしょう。

最後のページを見ると、どうやら展覧会の図録らしい。
調べてみると、三菱一号館美術館が2012年に「KATAGAMI Style-世界が恋した日本のデザイン」という企画展を開催した時の図録のようです。
行ってみたかったなあ。
すごく面白い図録なので、ぜひみなさんもポチッと購入していただきたい。


ウィリアム・モリスの壁紙「格子垣」と型紙「桜に格子」 KATAGAMI Styleより



ということで、ウィリアム・モリスと型紙のお話でした。


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