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『「介護時間」の光景』(114)「親子」。6.25.

   いつも読んでいただいている方は、ありがとうございます。
 そのおかげで、こうして書き続けることができています。

 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

「介護時間」の光景

 この『「介護時間」の光景』シリーズは、介護をしていた時間に、どんなことを考えたのか?どんなものを見ていたのか?どんな気持ちでいたのか?を、お伝えしていこうと思っています。

 それは、とても個人的なことで、断片的なことに過ぎませんが、それでも家族介護者の気持ちの理解の一助になるのではないか、とも思っています。

 今回も、昔の話で申し訳ないのですが、前半は「2005年6月25日」のことです。終盤に、今日、「2022年6月25日」のことを書いています。


(※ この『「介護時間」の光景』シリーズでは、特に前半部分の過去の文章は、その時のメモと、その時の気持ちが書かれています。希望も出口も見えない状況で書いているので、実際に介護をされている方が読まれた場合には、気持ちが滅入ってしまう可能性もありますので、ご注意くだされば幸いです)

2005年の頃

 私は、元々、家族介護者でした。

 1999年から介護が始まり、2000年に、母は入院したのですが、私は病院に毎日のように通い、家に帰ってきてからは、妻と一緒に義母の介護を続けていました。

 様々な葛藤がありながらも病院に通い続けて、何年かたった頃、母の症状は安定し、病院への信頼が高まってしばらく経った、2004年の頃、母はガンになってしまいました。

 手術もしてもらい、一時期は症状も落ち着いていたのですが、2005年の春には、再発がわかり、もう積極的な治療もできなくなりました。

 出来るだけ外出を増やそう、と思っていた頃でした。

2005年6月25日

「病院に着いた。 
 母親の誕生日が最近あって、プレゼントした帽子のことを覚えてくれていた。

 今日も、帽子がうれしくて、と言ってくれた。ありがたい。

 水族館にかぶるのもったいない、などと言っていた。今度、外出に水族館に行く話をしていたから、それも覚えていてくれていた。

 夕食は45分かかる。少し残した。

 昔の子供の頃の話もしてくれた。今、それを聞くと、ちょっと不吉な気持ちにもなってしまうのは、ここ数年のことがあるせいだと思う。

 美空ひばりが歌っている映像がテレビで流れていて、それを一緒に見る。

 午後7時に病院を出る」。

親子

 こういう言い方は失礼かもしれないけれど、受け口が特徴的な、たぶん70歳くらいの女性を駅で時々、見かける。駅のホームで同じ電車を待っていて、電車が来たから、私も乗った。

 その女性に、30歳半ばくらいのスーツを着た男性が近寄ってきた。

 受け口が、その女性とそっくりだった。おそらく100パーセントに近い確率で親子だと思うほど似ていた。

 それから何日かたって、その親子らしき2人を電車の中で見た。
 この前と同じように座席に隣り合って座っていて、今日は2人でオロナミンCを飲んで、なにかスナック菓子を食べながら、しゃべっていた。

                    (2005年6月25日)


 気持ちが落ち着かないまま、その生活は続いたが、母は2007年に病院で亡くなった。

 それからも、義母の在宅介護は続けながら、心理学の勉強を始め、大学院に入学し修了し臨床心理士になった。介護者への個別で心理的な支援である「介護者相談」も仕事として始めることができたが、2018年の年末に義母が103歳で亡くなり、突然介護が終わった。昼夜逆転の生活リズムを修正するのに、思ったよりも時間がかかり、そのうちにコロナ禍になっていた。


2022年6月25日

    天気がいい。
 朝から日差しが強い。
 空を見上げると、まぶしい。

    暑い。

土曜日

 毎週、土曜日の朝に外出して、用事を済ませるようにしている。

 コロナ禍が始まって、まだ続いているのだけど、自分もそうだし、妻も持病を持っているから、ずっと感染しないように気をつけている。

 だから、通勤ラッシュは、なるべく避けるようにして、平日は外出を控えるようにしている。それは、経済的には厳しいけれど、3年目を迎えても、その生活を怖くて変えられないままだった。

対策緩和

 テレビのバラエティを見ていたら、出演者が、コロナが落ち着いてきたので旅行にも行けると思う、という話をしてて、それを聞いて、その人のように40代前半くらいだったら、ワクチン接種もある程度進んだ現在であれば、すでにコロナは収束に向かっていると思っても、自然だと思った。

 自分も、同じような年代で、健康だったら、同じような感覚になっていたはずだ。

 だけど、実際には、今も、毎日のように感染者は出ている。

 昨日も、2181人が新規感染者となってしまい、2人死亡している。最近は、それほど報道されなくなったけれど、この新規感染者数は、二度目の緊急事態宣言が出された頃と変わらない。だから、感染が落ち着いてきた、というよりも、日常的になって関心が薄くなってきただけだと思う。

 それでも持病を持っていれば、感染や重症化へのリスクはあって、やっぱり、まだコロナ禍は怖い。

マスク

 朝に出かけて、午後4時には用事も終わり、駅まで歩くときに空を見たら、まだ太陽が強い。

 東京都内でも、猛暑日になったようだ。

 駅までも道でも、電車の中でも、これだけの気温でも、マスクをしている人がほとんどだった。

 コロナ感染への関心は薄れているようだけど、マスクを外せる日は、本当に来るのだろうか、という気持ちにもなった。

 だけど、そんなことを思っている自分は、感染するのも、感染拡大に対しても、おそらく人よりも恐れているから、今年の夏は暑くても、やはりマスクをつけ続けるのだと思う。




(他にも、いろいろな介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。




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越智誠  臨床心理士/公認心理師  『家族介護者支援note』
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