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音しかない空間で我々は何を【見る】のか?-XRとAIが社会実装期に入るときだからこそ尾原超おすすめ展示-347号-

(2024年12月17日 解説動画を記事化しました)

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▼ evalaさんの展示会を体験して

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こんにちは。いま尾原は、新宿初台近くにいまして、今日はevalaさんがやってる展示会を体験してきたんですけども、これはマジでおすすめで、是非みんなに来てほしいんですね。

一言で言うと、「音しかないのに何かが見える」、もっと言うと、見える以上の存在感が立ち上がってくる究極のXR体験であり、AI時代だからこそ、僕たちは「自分たちが体験するとは何か」っていうことを感じられる体験ということなんですね。

この展示会は、初台にあるインターコミュニケーションセンターっていう所でやっていて、常にコミュニケーションというものは、何かと何かの間のインタラクションなわけですよね。それを研究しているNTTがサポートしているラボで。ここは昔から本当に実験的なものの展示が多い中で、evalaの作品を一気に体験できるんで、2025年3月初旬までやっているので、東京にいらっしゃる方は是非ですし、他の方も、東京に寄る時はぜひぜひ体験していただければということで。

evala 現われる場 消滅する像
https://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2024/evala-emerging-site-disappearing-sight/

これ、今からネタばらしをしちゃうので、「いや、そういう理屈は体験する前に聞きたくない。。」っていう方はちょっとここで止めて、ぜひ体験した後に聞いていただきたいんですけれども。

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▼音から過去の記憶を思い出す?

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evalaさんがすごいのは、自然音だったりとか、ちょっとしたノイズだったりとかを、時には本当に真っ暗闇の中で聞かせていただいたりとか、時には少し光と組み合わせながら体験したりっていうことをやられる方なんですけれども、僕たちって普段は、視覚刺激に7割以上を占められてると言われていて、視覚ってものすごく情報量が多いから、他の想像力を動かす余地をなくしちゃうんですよね。

だけど、音って、例えば電車がガタンゴトンって走ったときに、そのガタンゴトンっていう音を、僕の拙い「ガタンゴトン」っていう言葉だけですけど、多分、皆さんは、電車が通ってるんだっていうことを思うし。その電車が通ってると思うことは、思うだけじゃなくても、人によっては、その電車が通っていくイメージも想起するわけですよね。

なので、evalaさんの体験をしていると、本当に、特に共感覚って呼ばれるような複数の感覚をまたいで感じれる方なんかは、evalaさんの音だけの体験の中で、真っ暗闇なのに虹を見たとか、雷を見たとか、馬車が走ってるのを見たとか、そういう経験がされていくし、その経験を通していくと、自分の中に立ち上がる思いに身を寄せることができたりするんですね。

つまり何かっていうと、自然にある音というのは自分の経験に紐づいているので、その音を聞くだけで、経験というものが視覚的にも、場合によっては電車だったら揺れる感覚だったりとか、他の感覚も含めて立ち上がってくるものなんですよね。

じゃあ、電車の音だけではなくて、そこに「ポーッ」ていう音を重ねていくと、蒸気機関車、いわゆるSLを想起しやすくなって。多くの人は、もはやSLは自分で乗ったことがなくても、映画だったり、機関車トーマスだったりとか、他の人の記憶を僕たちは学ぶ中で、その音を聞くだけで、例えばSLっていうと、イギリスのやや湿地帯のところを走っていくみたいなことが思われるわけです。

つまり、自然音は、その人の経験だけではなくて、僕たちが集合的に折りたたんでいた過去の歴史の記憶、そういったものまでも、視覚だけではなく、複数の感覚で思い出すということが起こりうるわけなんですよね。

そこにもう1つ面白いのが、evalaさんがすごいのは、そこに「チリチリチリ」とか「シューッ」とか、色んなノイズトーンが混ざっていくんですよ。そうするとノイズって本来的に言えば情報がないじゃないですか。なんだけど、人間ってのは経験の記憶が立ち上がってる時にそのノイズを聞くと、その中に何か物語だとか、情報っていうものを見出してしまう生き物なんですよね。

人間がノイズの中にストーリーを作り出すっていう能力って、別に聴覚に限らず、僕たちが木のウロだったり、天井のシミだったりの中に人間の顔を見出してしまったり、ないしは人によっては幽霊を見ちゃったりするわけで。つまり、人っていうのは常に何かを解釈するときにストーリーや象徴を使うので、ノイズっていうものが実は豊かな僕たちの想像を喚起するためのきっかけであるわけなんですよね。

そういった自然音の中から立ち上がる自分、及び歴史にたたみ込まれた視覚的、触覚的感覚を思い起こしながら、そこにノイズが入ってくると、ノイズ自体が物語性を帯びて、自分の中にありありとした新しい現実感が立ち上がってくるんですね。そういうことをやってると、僕たちってある意味、もうどんな映画も、どんな絵画も、YouTubeのスクリーンの向こう側に情報として摂取をできるようになってしまったが故に、逆に言えばものを他人事として情報摂取することにはすごく長けているわけなんですよ。

でも、恐ろしいことに、音だけで立ち上がってくる自分の中の感覚は、自分の中に立ち上がってくるから、他人事として引き剥がせないんですよね。しかも、音は、自分の中の色んな過去の風景、思い出、イベント、そのイベントの時の自分の気持ち、人に対する愛情、悔しさ、いろんな感情が練り込まれていて、自分の中に臨場感を持って立ち上がってくる風景や記憶と、その時に感じた自分の感情というものをもう一度体験し直すことができるわけです。



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