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AIの父?ノーベル賞からの拡大解釈の連鎖に想うこと-316号-

(2024年10月9日の10分解説動画を記事化しました)

「人は大きな物語に誤解を作りがち」という話が気になったので、マニアックな解説をさせてください。

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ノーベル賞にみる英雄視の危険性

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ノーベル物理学賞が発表されて、ホップフィールド(Hopfield)氏とヒントン(Hinton)氏が、「物理学を活用した人工ニューラルネットワークを訓練した(They trained artificial neural networks using physics)功績」で受賞されました。

僕は大学生の時に、ヒントン氏が再発見したニューラルネットワークにおけるバックプロパゲーションを活用していました。そのこともあり、これは非常にうれしい話です。ㅤ

一方で、いくつかの記事が「AIの父、ノーベル賞受賞」とか、「ノーベル賞受賞の影の主役はヒントンさんの弟子」とか、「NVIDIAがあるからだ」としています。また、かなり影響力のあるYouTuberの方が、「ヒントンさんがいたからNVIDIAが大きくなった」と言っていて、拡大解釈の連鎖が進んでいます。

受賞自体はすばらしいことです。しかし、わかりやすいストーリーに解釈し直す中で、英雄として奉りすぎると、「1人の方が歴史を動かしすぎた」という誤解を生みます。ㅤ

実はヒントン氏は、AIの進化に対して否定論者になられているのですね。ヒントン氏の研究室には、ChatGPTの共同創業者で、研究開発をリードしていたイリヤ(Ilya)氏がいました。サム・アルトマンが、CEOであるにもかかわらず、OpenAIを解任されてカムバックしてきた時に、解任決議における最後の投票権の、意思決定のトリガーを引いたのがイリヤさんでした。ですので、ヒントン氏自体、今はAIの過剰進化を危惧する立場をとっています。

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