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理知を継ぐ者(12) 全体を知ること①

 こんばんは、カズノです。

【概要】

 あるセンテンスの意味とは、その前後関係/全体/状況を知らないと分からないと話してきました。その「全体」あるいは「部分と全体」に関することで、示唆的なエピソードがあるので、今日から何回かそのエピソードを紹介します。

 もう4年前のことですが、週刊誌『SPA!』へのある抗議行動が話題になりました。山本和奈という人物が、同誌の「ヤレる女子大学生RANKING」なる記事を問題視し、撤回と謝罪をするよう申し入れたあれです。
 これも今や「あー、あったあった」系だと思いますが、ちなみに、受講生Dによる抗議署名への、賛同者として紹介されている「山本和奈」氏とは彼女のことです。署名用記事の下のほうにある「賛同者とお寄せいただいたメッセージ」欄ですね。

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 さて、SPA!誌の「ヤレる女子大学生RANKING」は、山本(を代表とする何人かの人間かも知れませんが、以下の署名用記事の名義がYamamoto Kazunaになっているので山本とします)から抗議を受けました。
 どうもその「ヤレる女子大学生」あたりの言葉が、彼女にすると女性への差別発言だったようです。そういった内容をRANKINGするのも、思想的に問題だったのでしょう。そうして山本はネット上で署名を集めます。

 ⇒山本の署名用記事

 この署名運動でSPA!誌から謝罪を勝ち取ったあたりまでは周知と思いますが、ところで、この「ヤレる女子大学生RANKING」という記事が、同誌では実際4分の1ページにも満たない小記事だったことを、みなさんは知ってるでしょうか。

 実際の誌面を見たとき、おれは正直くらっと来ました。「えっ、こんだけの記事を問題にしてたの?」とびっくりしたんですが、もちろん「量の問題ではない」という言い方は出来ます。だとしても、当該ページの内容と構成が以下のようなら、これはどうでしょうか?

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 SPA! 誌で同記事が掲載されたのは、「ヤレる[ギャラ飲み]」という記事ページの中でです。「ヤレる[ギャラ飲み]」記事は全部で4ページあります。その最後の隅にもうけてあるコラムの、さらに一部が実際の「ヤレる女子大学生RANKING」です。


ちと分かりづらいですかね。要するに2枚目のここです。


 つまり問題視された「ヤレる女子大学生RANKING」とは、「雑誌記事」と呼ぶより「ある雑誌記事に付録された、ちょっとしたコラムの、さらに一部分」と呼ぶようなものです。
 そもそも独立した記事/囲み記事ですらなく、問題視された「ヤレる女子大学生RANKING」との文言は、図表の題字なだけです。内容もコラムの一部を簡略に図式化しただけです。

 この構成・内容を自分の目で見て、おれが思ったのは、「なんで山本はこの小さなコラムのさらに一部分にだけ、目を止めたのだろう?」ということです。
「ヤレる[ギャラ飲み]」ページの中では、取り立てて中心になる内容でも規模でもないし、つまり編集サイドの主たる主張なのか姿勢なのか女性観なのか、まあそういうものが率直に掲載/反映されているわけではありません。

※謝罪要求を受け入れたSPA!誌にすると、この記事は撤回もしているのでしょう(回収までしたかは分かりません。した気もするので探してみましたが、そういうニュース記事が見つかりませんでした)。すでに撤回した記事を再掲するのも気が引けますが、それでも掲示する理由はあとで話します。大ざっぱにいえば、この記事は「無かったことにする」べきではない、といった理由です。



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