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理知を継ぐ者(10) 続・足りなさについて②
こんばんは、カズノです。
【補足】
前回は「単語の意味を決めるのは文脈だ」という話でした。ただもちろん、単語やセンテンス(慣用句など)じたいが差別的、ハラスメント的な意味を最初から持っている場合もあります。例えば「バカ」がそうです。
「バカ」とは面倒な言い方をすれば「社会生活不適応者」という意味です。なので誰かに向かって「バカ!」と言うことは、「おまえはこの社会で生きていけないような、どうしょもない人間だ!」と言うのと同じです。「アホ」もそうですね。両者は罵倒語とか侮蔑語という分類に入るはずです。
だから「バカ」「アホ」じたいを問題視することは出来ますが、でもこれだって、文脈によって意味が変わるのは同じです。
男、デートに遅れてくる。
女「もう、何してたの!」
男「ごめんごめん、君にあげようと思って花を買っていて」
女「んもう、バカ…」
この場合の「バカ」は、「んもう、なんて社会的な人間関係に適応しすぎてるのよん!」ですよね。
こういう例も置いておきますね。
女、デートに遅れてくる。
男「どへー、何してたん?」
女「だはは、ごめん! 男くんにあげよう思ってガリガリ君買ってた!」
男「そうくるかい! きみアホやろ!」
もうひとつ例を置きましょうか。
男、デートに遅れてくる。
女「もう、何してたの!」
男「ごめんごめん、君にあげようと思って花を買っていて」
女「はあ? そんな言い訳が通ると思ってる?」
この場合、きっと視聴者は「え、この男女ってどういう関係? たぶん恋人同士なんだろうけど、こじれてる? どうなってんのこのふたり?」と思うはずです。つまり、この会話の前後関係、前後の人間関係はどういう文脈になってるの? と。
「前後関係が分からないと、言葉の意味は決まらない」とはそういうことです。