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理知を継ぐ者(23) 署名とオンライン署名②
こんばんは、カズノです。
【スルーされない】
オンライン署名の5万筆とは民意の1%くらいと考えられる。だとしても1%とは、100人に声をかけて1人にしか賛同してもらえない──99人に断られれる/無視される数だと話しました。
ロック歌手・斉藤和義に『ベリー ベリー ストロング ~ アイネクライネ ~』という歌があります。(作詞の原案になったのは、作家・伊坂幸太郎の『アイネクライネ』という短編小説です)。
この歌は、「駅前でアンケート調査をしてるけど、誰も立ち止まってくれなくて心が折れてる」といった始まり方をします。
この光景は、オンラインじゃない署名と近いものじゃないか、とおれは思います。つまり「対面で署名をお願いしている、駅前の署名運動」はだいたいこれに似ているのじゃないかと。
いえ、斉藤のアンケートの人物は、そもそも「シゴトだからやってるだけ」だし「なんでおれがやんなきゃなんない?」とぶつくさ愚痴をいっています。だったら署名活動の場合、心の折れ具合はもっとひどいはずです。「おシゴトのアンケートの回答」をもらえないだけで心が折れるなら、「自分の意見への賛意」をもらえない心はたぶんズタボロです。
つまりオンライン署名を求める人は、この現実を体験できないということですね。だからその現実感も知らない。
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本人にすれば、自分の主張は「社会的に正しい」はずなのに、でも99人からは拒否される。たぶん大半は「目もくれず」でしょうし、立ち止まってくれたとしても「迷惑そうな顔をされただけ」でしょう。
もちろん本人にとって最悪なのは、「話を聞いてもらえるとこまでは行ったけど、『それはちょっと』で立ち去られる」でしょうけどね。もはや「なんで?」以外の言葉が思い浮かばないような。
こういう対面での交渉がないオンライン署名には、「当たり前にスルーされる辛さ、自分の意見を分かってもらえない厳しさ、そもそも聞こうともしないのが現実だと知らされる失望」が無いということですね。