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理知を継ぐ者(20) 正論とルールと人②

 こんばんは、カズノです。

【山本の実際】

 山本は議論の順序を間違えていないか? というのが前回の結論ですが、確かに当時の報道によれば、「SPA!誌の謝罪は表面的なもの」だとすると発言を山本はしています。だからきっちり面と向かって反省を促す必要を感じた、という風にも受け取れます。

 ⇒山本の発言①

 けれど、こういう発言も山本はしています。

 ⇒山本の発言②

 この記事の、
「このまま私が喧嘩腰で行って相手に謝らせるのでは根本的な前進にならないので、まず相手がなんでこういう記事を書こうと思ったのか知る努力をしてから臨もうと考えました。」
「…偉い人が並んで頭を下げている謝罪会見の映像がニュース番組で流れてなんとなく終わった感じになる、というふうにはしたくなかった。一方的に謝って幕引きではなく、お互いの意見に耳を傾けて理解を深めたかった…」
 あたりがポイントです。

 要するにこれって「相手がどういうつもりかも知らないうちに(知る努力を自分がしないうちに)、自分は相手に謝罪を求めていた。お互いのことをよく知らないうちに記事を撤回しろと言っていた」ということです。よね。
「だから相手の意見にも耳を傾ける必要を感じた」のだと。

 だとしたら、この場合山本はまず、「どういう経緯から『ヤレる女子大学生RANKING』という記事が出たのか、その公開を求めます」という署名を行うべきだったのではないか、という話です。
「SPA!誌の『ヤレる女子大学生RANKING』に私(たち)は抗議します」でもいいですよね。「そちらがどう考えているかは知りませんが、私(たち)は個人的にこの記事に反対です」でも。それなら「あとから事情を聞きに行く」「お互いの理解を深める」も分かります。

【議論のルールと人間の実際】

 署名記事の山本の主張や、その考え方をおれは正しいと思います。いえ、SPA!誌の記事が山本のいう差別表現にあたるかどうか、おれは分かりませんが(というより、この連載でモチーフにしている抗議活動の主張に、おれからシロクロをつけるつもりはありませんが)、少なくとも、

・女性を軽視または蔑視してはいけない

 という考え方は正しいと思います。同記事にその軽視や蔑視を見た人もいるかも知れません。
 だとしても、正しい考え方をしているかどうかと、議論の順序=ルールを守るかどうかは別です。ある人物の主張がどれだけ正しくとも、だからってルールを無視していいことにはなりません。
 抗議とは議論の一形態です。議論の必要を知っている人間が、議論のルールを守らないのはおかしいのではないでしょうか。

 でもだから、です。

 事件が起こった時点での、当事者やその周辺の興奮/混乱とはこういうものだということです。
 だから私たちは「あとになって振り返る」をしたほうがいいという連載をしています。

 先の引用から分かるように、山本は冷静になれば、「まだ私は相手のことを理解していなかった」と自覚できるような人です。まだ自分は「相手を知る努力をしていない」。
 そう自省する性質を持ちながらも、↑先の引用、山本発言②のほう、
「(SPA!誌を見たのは)…発売されて数日経った2019年の1月に、Facebookで友人がシェアしているのを見たのが最初…」で、「…署名ページは記事を目にしたその日のうちに立ち上げました。」だったのだと。

 初見でいきなりムッときて、もう抗議署名の記事を書いていた。それはそれで、どうも山本の性質のようです。
 だったらまあ、「謝罪しろ! 撤回しろ!」が先に立ってても仕方ないよねえ、というのがおれの感想です。まあこれは人情だよなと。
 この山本はトライセラ和田によく似ています。



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