理知を継ぐ者(30) 周囲という当事者①
こんばんは、カズノです。
【前置き】
さて、『ひとみん』のような女子大学生は現実にいるようです。それがSPA!誌を通して報道された現実です。
ただまあ正直ぶっちゃけこの『ひとみん』て、「ある固有の個性を持った女子大学生個人というより、『女子大生』という言葉が背負っている一般イメージをそのまま体現しているような人物」ではないでしょうか。
べつにSPA!誌はそういう情報操作を行っているのでは? とは言いませんが、にしても「判で押したような『女子大生』イメージをコピペされた人物」としか思えないですよね、このコ。
「80年代からこちらの」という条件を付けてもいいですが、80年代つまり『オールナイトフジ』以来の「女子大生(女子大学生)=遊んでる」という、そういう一般イメージをまんま生きているのが『ひとみん』だというのが、まずはリアルな感想ではないかと思います。
こんなステロタイプな「女子大生らしい女子大生」なんて現実にいるの? さすがにいないだろう? と逆疑惑を生むほど平板で凡庸ですよね。ひとみん。
でもそう報道されてしまったのですから、まあ実際にいるんでしょう。
案外山本もそういった一般イメージ──「女子大生=遊んでる」を壊したいと思っていたのかも知れませんが(それは分かりませんが)、ですのでしばらく、その当事者について考えてみたいと思います。『ひとみん』のことじゃありません。「RANKING」にランクされた大学の反応を見てみるということです。
この人たちはこの人たちで「当事者」ですよね。たぶん。
【各大学の反応】
という見出しにしましたが、すいません、RANKINGの5校中3校のHPからはもう抗議文がなくなっていました。
SPA!誌の「ヤレる女子大学生RANKING」に入った5校は、この号の発刊に抗議を行いました。正確には「山本が問題視し、抗議運動/署名活動が盛り上がり、メディアが取り上げ、世間でも話題になりだした頃」にSPA!誌への抗議文を学校HPに載せました。
早いのか遅いのかよく分かりませんし、抗議文を出すきっかけが何だったのかも分かりません。SPA!誌じたいが問題だったのかも知れないし、山本の告発がきっかけだったのかも知れないし、世間が騒ぎだしてやっと問題を自覚した(なんかしとかないとやばいなと思った)、なのかも知れません。
ともあれ、当時おれはそれら抗議文を読んで「なんだこりゃ?」と思いました。この5校の抗議文がほとんど同じ文章だったからです。言ってることが同じだということではありません。言ってることどころか、使ってる言葉もほぼ一緒、まるでテンプレートでもあるような文だったことに「なんだこりゃ?」だったんですね。
まだ抗議文が残っている2校を引用してみましょう。
○A校
2018年12月25日号掲載記事の女性蔑視に基づく内容について深い憂慮を表明します。
本学は、個人の尊厳を尊重する教育環境を提供するため、人権講演会、ハラスメント防止啓発活動、ダイバーシティ推進など、さまざまな形で学内外の皆さまとともにより良い社会の実現に向けた取り組みを教育機関として推進しております。
このたびの前時代的な考え方に基づく記事が、本学の女子学生のみならず広く若者の尊厳を損ない安全を脅かすものであることを、出版社が重く受け止めるよう要望します。
○B校
2018年12月25日発行の週刊誌に、本学女子学生を含む女性の名誉と尊厳を貶める記事が掲載されました。その内容は、該当する大学学生の安全を著しく脅かすものでもあります。本学では、この記事について深く憂慮し、週刊誌編集部に、再発防止を求める厳重な申し入れをおこないました。
「ダイバーシティ宣言」を発し、「人びとの権利を重んじ、多様性を認め合う『自由な校風』」(B大学憲章)を掲げる大学として、本学では今後も、学生の安全を守り、女性を含めたあらゆる人の権利と尊厳が重んじられる社会の構築に貢献してまいります。
これ同じですよね?
一方が一方をコピペしてるだけ、といっても通じます。他の3校もだいたいこんな感じだったんですが、要するにこの応答とは「形式」でしょう。