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理知を継ぐ者(3) 分からないもの③

 こんばんは、カズノpub. です。

【言いたいことが分からない】

 酔っぱらってさんざんなステージを繰り広げた奥田民生に対し、和田唱はTwitterで批判しました。
 ただそれは、奥田個人を問題視するものではなく、奥田のような在り方を許しているお客やスタッフの大人を問題視したもので、つまりは「ロック界のピラミッド社会の問題」だとしたものでした。そうして、そういう社会をみんなで壊していこうと、若手ミュージシャンに呼びかけました。
 けれど、奥田に謝罪された和田はそれら批判をすべて削除しました。おれはこれを「和田が何をしたいのか分からない」と言っています。奥田ひとりに謝罪されて「ロック界のピラミッド社会の問題」が解決するとは思えないからです。
 それがこれまでですね。

 *

 さてそのように、和田が何をしたいのか(何をしたかったのか)は分かりません。でも和田の、そんな言動や行動はなんとなく分かります。主にロック系のミュージシャンは、自分の言動にも行動にも、あまり責任を持たないものだからです。

「おれたちのシーンの構造が問題なんだよ!」と訴えかけても、いきなり矛盾したことをしたりする、そういうのがロックの人です。
「みんなで壊していこうぜ!」と持ちかけても、実際には何もしないとか、すぐに忘れてしまうとか、そういうのもよくあります。調子にのってデカいことばかり言いたがるとか、これももありがちです。
 だから和田も、そういういい加減なロックミュージシャンなのかも知れません。
 そう思えば、和田の意味不明もよく分かります。

 が、

 そうなると、和田に批判された奥田こそ、まさにその手のロックミュージシャンなのだと思い出します。
 テキトー、いいかげん、ほら吹き、無責任。
「思ったままに生きている」といえば恰好もつきますが、ロックの人とは要はそういう、しょうもない人たちです。奥田民生がまさにそうであるように、「飲んでも演奏はちゃんと」しようとしなくても普通だし、「リハーサルで決めた段取りはちゃんと守」るをしなくても普通です。

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 そういうロック的なしょうもなさを、でも批判したのが和田です。そういうロック的な無責任を「みんなで壊していこう」と訴えた。
 でもその和田が、ロック的ないい加減をしています。
 例えば和田の訴えを聞いた若手ミュージシャンが、「まったく和田さんの言う通りだ、ロック界の悪しき慣習を自分たち下の世代が変えていこう!」と拳を振り上げたとしても、「民生さんから謝罪してもらったから、あの訴えはなしね」とされてしまったら、振り上げた拳はどこにどうおろせばいいのでしょう。
 といったことですね。

 ロック的ないい加減を批判しながらロック的ないい加減をしている、和田は何が言いたいのでしょう?
 分かりません。



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