見出し画像

ムバッペの決断、もう交わることのない二つの道。

2022年5月22日マドリディスタにとって目を疑いたくなるニュースが飛び込んできた。

『キリアン・ムバッペ、PSGと3年の契約延長で合意。』

スペインMARCA紙が彼とレアル・マドリードが口頭合意と報じられてから1週間も経たないうちの出来事だった。

本題に入る前にこれまでの経緯を少しおさらいしよう。
フランスの神童は17歳でデビューして以来、その傑出した能力で一気にスターダムへ駆け上がった。
ASモナコでは絶対王者PSGを下し、17シーズンぶりのリーグ優勝。フランス代表では1998年以来20年ぶりのW杯制覇を10代で経験した。
そんな歴史的偉業を成し遂げた新時代の怪物にも夢のクラブがあった。
”エル・ブランコ”我らがレアル・マドリードだ。
彼のアイドルはマドリーのレジェンド、クリスティアーノ・ロナウド。(以下CR7)
ヤングムバッペが目を輝かして、寝室にびっちりと貼り付けられたCR7のポスターを見つめる写真を見たことがある人は多いはず。
実際に14歳のヤングムバッペはママムバッペ、パパムバッペとともにベルナベウに招待され、CR7と写真を撮ったことはあまりにも有名だ。
そういった経緯もあり、フランスの若き10番を獲得しようとマドリー側も策を尽くしてきた。ASモナコで大ブレイクを果たした際には熱心に獲得のオファーを出していたし、PSGに移籍してからもその姿勢は変わらなかった。

運命の歯車が回り出したのは昨年夏。
ムバッペが契約延長オファーを拒否したことから始まった。
白い巨人が新時代のクラックを迎え入れる準備は整っていただけにこの騒動は世間を賑わせた。
「とうとうムバッペがレアルに!」
しかしこの夏に夢は現実になることはなかった。
なぜならPSGとムバッペの契約は残り1年残っており、マドリーがいくら資金を積んでもカタールのトップは首を縦に振ることはなかった。
このときすでにPSGにとってムバッペはクラブ以上の存在になりつつあったのかもしれない。

ついに契約満了となる今年の夏。
今年最大のビックオペレーションへ向けて着実に話は進んでいたと思っていた矢先に急転直下。
世界中のマドリディスタが傷ついた瞬間だった。

話を本題に戻そう。
今回の件は何が問題だったのか、いちマドリディスタの感想を書き殴っていこうと思う。
世界中のメディア、ネット上では賛否両論が広がっておりムバッペやPSG、マドリディスタに対して誹謗中傷が日々繰り広げられる。
これらは決して許されるものではなく、この記事もそういったリスペクトに欠けた行為を助長するためのものではないということを理解してほしい。

あまりにも利己的で一貫性のない行動と言動

PSGを去る場合には円満な去り方を希望したムバッペはリーグ・アン終了まで自身の決断を先延ばしにした。
そうすればどっちに転んでもホームゲームでブーイングされるような最悪な結末を逃れることができる。
また判断を先延ばしにすることは最大限自信の希望に沿う形のオファーも引き出すことができる。
考え方としては非常に合理的だが、同時に自己中心的ではないかと感じた。

キャリアの決定権は選手自身にあるのは当たり前だが、同時にファンやサポーターのおかげでフットボールという文化が成り立っているというのも紛れもない事実だ。どちらかのサポーターに歓迎されるということはどちらかのサポーターには別れを告げることになる。
どちらにもいい顔をするというのは無理な話だ。

しかしムバッペは契約延長発表後、間も無くしてカメラの前に現れこう答えた。

インタビュアー「レアル・マドリーの夢は終わったか?」
ムバッペ「決して終わっていない。決して終わっていない。」
「今、僕はさらに3年間の契約にサインした。将来に起こることは誰にもわからない。将来を考えることをやめるようなもので、PSGと3年契約を結んだ今のことだけを考えている。」

goal.com

まるで、まだレアル・マドリード行きを諦めていないような発言を連発したのだ。
これらの発言はPSGのサポーター、マドリーのサポーター双方を傷つけるような発言である。ファン・サポーターの気持ちを一切考えず、このような一貫性のない主張を続ける彼を目の当たりにして期待していたファンの一人として心底失望した。
世界的クラックとなった23歳の若者が背負った決断の重さは計り知れない。
交渉内容について憶測でしか語ることのできない我々がとやかくいうのもナンセンスだとも思う。しかしもう少し応援してくれるファンやサポーターの気持ちを考えてほしいと思った。


確かに彼の言う通りフットボールの世界は何が起こるかわからない。
フィーゴがバルサからマドリーに来るし、レオ・メッシがバルサを退団するような世界だ。
しかし仮にムバッペがマドリーに来たとしても愛される選手ではなくなったことは確かだ。
世界一プライドの高いマドリディスタに赤っ恥をかかせたこの一連の騒動は彼が考えている以上に我々に深い悲しみを与えてしまったのだから。

今1番の心配事は今シーズン最も重要な試合が目前に迫ったタイミングでこのような出来事が起きて、選手たちに悪影響がでないかということだけだ。
最高の舞台で最高のマドリディスモを持った選手たちがビッグイヤーを掲げて私たちのこの憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれることを信じている。

もう交わることのない二つの道、夢は夢のままで。
PSGでの成功を祈っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?