#092_川久保玲という女性
川久保玲といえば、日本を代表するファッションブランドであるCOMME des GARCONS(コムデギャルソン)のデザイナー兼社長として有名だ。
めったにメディアにでない彼女の言葉を最近聴くことのできる機会があり、ひとりのクリエイターとしてとても背筋が伸びる気持ちになったのでここに記しておこうと思う。
「言いたいことは全部、洋服の中にあるのです。」
そう言って、めったにインタビューを受けない彼女がなぜインタビューを受けたのか。
ものづくりのパワーを知ってほしかった。こういう状況だからこそ、「少しお休みしよう」ではなくて、
こういうときだからこそ、なにか新しいものに向かって進まなければいけないんじゃないか
このコロナ禍で、自粛ムード漂うどこか制限が生まれた世の中で、
停滞している人々へメッセージを伝えたかった、と私は解釈した。
年齢を引き合いに出すのも時代錯誤かもしれない。
しかし、78歳の女性がかくも美しく、強くクリエイションする姿に、私は強く胸を打たれた。
インタビューを観てもらえればわかるが、彼女のクリエイションの原動力は「反骨精神」だ。
かっこよすぎだろう。
未だ衰えない彼女の反骨精神に、私は畏敬の念を感じざるを得ない。
少しだけ彼女について掘り下げてみる。
デザイナー兼社長として、ブランドを成功させ継続させることができている人間がこの世界にどれだけいるだろうか。
イブ・サンローランしかり、シャネルしかり、その時の歴史やデザイナーによって大きく変わるので一概には言えないが、ほとんどいないと言ってよいのではないだろうか。
そう、彼女はビジネスマンなのだ。
ファッションはアートではなく商業活動。だから売れなければならない。そこはバランスです。そこは、精いっぱいビジネスをしています。
私のやってきたことは決して芸術家としての活動ではありません。『創造を通じたビジネス』を展開することのみを継続してきました。これはあらゆる重要性の中で第一で、唯一で、最も重要な私の方針です。その方針(決心)とは、今までに存在していなかったものを創造することを第一に考え、ビジネス面も成立させる方法でそれを創造し、表現することです。
彼女の金言を挙げ始めると枚挙に暇がないが、COMME des GARCONSが多くのラインをつくりビジネスを展開する理由がよく分かる。
私自身、彼女についてはまだ知り得ないことが多く、もっとたくさんのことを知りたいと思ったので、またいつか記事を書きたいと思う。
「誰にでもわかって、よく売れそうで、という服を作っていたらコムデギャルソンの存在はありません。」
私は彼女が放ったこの言葉が好きだ。