日本人気質


日本人気質、と言えば、何が思い浮かぶでしょうか。

勤勉。真面目。我慢強い。謙虚。遠慮深い。控え目。礼儀正しい。シャイ。引っ込み思案。手先が器用。集団行動。規律立っている。すぐに群れる。組織的。均一的。右へ倣え。協調性。没個性。すぐに謝る。いつも謝っている。謎の微笑。繰り返されるお辞儀。本音と建て前。空気に敏感。仲間外れを怖がる。清潔。風呂好き。使い捨て好き。ルールを守る。

ネット検索してみて拾い上げてみました。随分とたくさんあるようですが、すべてに言えるのが他人との関係から生まれたということでしょう。


軋轢を生まず、スムーズな人間関係を維持する。集団の中に生きる術が日本人気質を作り上げて来たと言えそうです。

以前「草食系」という言葉が流行りました。がつがつせず、淡泊に物事を判断したり、人とのつきあいをするタイプをこう呼びました。それはまた日本人のことも言い表している気もします。

日本人が組織的であるのに比べ、欧米人の自己感は独立的です。個人は社会、家族、仲間、同僚、などから独立して尊重され、常に組織より優先されると考えます。

社会心理学的な表現に「牧畜民」と「農耕民」というものがあります。欧米人は基本的に牧畜民としてのルーツを持ちます。牧畜民の資産は家畜です。どこに住むかよりも家畜を守ることが生きる術でした。信じられるのは他人との関りではなく自分自身。そして、個人を主張することで資産を守ることができたのです。

一方、日本人は農耕民です。その資産は土地です。移動ができません。すべての人は場所に縛られます。他者から逃げることも追い出すこともできない環境で生き抜いてきたのです。そこでは他者との軋轢が無い関係づくりが生命線となります。同じ価値観を持ち同じ行動をすることが美徳とされ、反するものは危険人物として排除されました。

多様性社会が叫ばれています。個性を尊重し多様な価値観を認め合う時代に変わりつつあります。キャリアコンサルティングにおいても、会社の価値観に従うより主体的なキャリア形成を目指しています。

しかし、日本人特有の、没個性や謙虚といった気質は簡単に変えられないものです。数千年に渡り作り上げられ民族の心に深く沁み込んでいるものだからです。

そこには牧畜民にはない美徳も確かに存在します。人を優しく思いやる心。目には見えない心のひだとひだとの会話。

グローバル化が進む現代。自己主張力を高めるのは大切です。けれど、古代より温め、育んできた、内面の美しさというものはどんなに時代が変わろうと保ち続けたいものです。それが日本人の気質というものではないでしょうか。


いいなと思ったら応援しよう!