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職場でいつもミスをやらかす人

マイナンバーカードの不祥事がニュースになっています。
誤って別人にポイントを付与する事案が90自治体で計113件あったというもの。ログアウトせず端末を操作したのが原因のようです。
 
自治体や企業の存在を揺るがせかねない、情報取り扱いのミス。
巷では、それを防ぐために、個人情報事故防止のセミナーが盛んに開催されています。

縁あって、先日私もあるセミナーに参加しました。
なかなか手厳しい内容で終わった時はへとへとになりましたが印象深かったテーマが「ミスを犯すのはどういう人か」という設問です。

答えとしては「思い込みにとらわれる人」「集中力がもたない人」
「メモの習慣がない人」「マルチタスクが苦手な人」と、このあたりがスラスラ出てくるものと思います。

ただ、私はキャリアコンサルタントですので、その視点からこの問題を考えてみようと思いました。

数あるキャリア理論の中で私が最も尊重しているのが、
ホランドの六角形モデルです。


ホランドの六角形モデル
社会は6パターンの人々から成るとした

6パターンの違った特性を持つ人々が集まってこの社会はできている。
その特性はすべて社会に不可欠ものであり、それぞれが大切な役割を担うことで我々の社会は安定する。

個人と社会の関係をシンプルかつ鮮やかに描き出したこの理論は
お見事としか言いようがなく、いつもポケットに忍ばせています。

さて、ホランドが提唱する6つの特性(REASEC)の中で、「ミスを犯さない」のはどのタイプでしょうか。答えは明らか。「慣習的タイプ」です。

ノーミスであることに喜びを感じる。完璧な書類を作り上げることがすべてに優先する。
この感覚は、慣習的タイプ以外の人には理解不能でしょう。

森友学園問題が起きた時、近畿財務局の担当職員は、決済文書の改ざんを命じられました。おそらくこの職員には書類は完璧でければならない、という絶対的な価値観があったはずです。

その重要性は、命にも勝る程のものでした。
自分の仕事に「間違い」を強要された職員は結局自ら命を絶ってしまったのです。

慣習的タイプの人とって、ミスは許されないもの、憎むべきもの。
研修を受けるまでもなく自ら進んで全力を振り絞り、ミスの撲滅にとりかかるでしょう。

それでは逆に、「ミスを犯す」のは誰なのでしょうか?

答えは、6角形の反対側にいる人たち。
すなわち「芸術的タイプ」の人が危ない、というわけです。

このグループはノーミスであることに喜びを覚えません。
むしろミスが起きたところに新しい発見があると考える程です。

それはクリエイティブの宿命とも言え、ある意味で仕方がないことです。
しかし、「芸術タイプ」も、役所の職員にはミスのない仕事を求めますし、「慣習的タイプ」も、規則にとらわれない、潤いや味のある音楽やデザインに癒されるわけです。

誰もがみんな必要な人なのです。

それでは、個人情報の事故を防ぐためにどうしたらいいのでしょうか。

「芸術タイプ」の人たちは、研修を何度受けても根本的には治らないかもしれません。
一律に同じ研修をするのもいいのですが、それ以上に「特性」がこの問題には大きく関わっているものと考えます。

だからこそ、「慣習的タイプ」がリーダーシップを発揮して苦手な人たちをフォローしていくことが大切だと思います。
この時、重要なのは自分が「芸術タイプ」に属していることをカミングアウトすることではないでしょうか。

ちなみに私がそうです。


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