柔軟性が将来の「資産」となる
前回は、野球のセンスのない息子に対して、私が最初にしたアプローチが「柔軟体操」だという話をした。理由は、私が動作で見本を示しても、息子が私の動きを再現できないからだ。つまり、モノマネが上手くなるために柔軟性を高めたいと考えたわけだが、今回はなぜ、モノマネに柔軟性が関係してくるのかについてと、柔軟性を高めるメリットについて話していきたい。
前回の記事
もしかしたら、あなた、もしくはあなたのお子さんが、監督やコーチに「こうやってやってみろ!」なんて見本を示されるケースがあるかもしれない。あるいは、「○○選手のような上手い人のマネをするといいよ」なんて言われるケースもあるかもしれない。
その時に、柔軟性がないと、本当はここまで伸ばして欲しいところが、関節可動域が狭いため、途中までしか伸ばせないことになる。これは、本人はマネしているつもりでも、他の人から見たら、同じ動きとならない。再現できていないので、上手くならず感覚的なズレが生じてきてしまう。
そこで、「努力が足りない」などと言われれば、間違ったままたくさん練習をすることになるので、練習をきちんとする真面目な子ほど不幸になる。そうすると、最悪バーンアウト(燃え尽き症候群)したり、野球自体嫌いになりかねない。
そうじゃなく、根本を解決しなくてはいけない。それが柔軟性を高めることである。そもそも、柔軟性は身体づくりの土台となる。柔軟性が高まると、運動できない子は運動ができるようになり、運動ができる子はさらにできるようになる。(これについては次回詳しくお話しする)
さらに、柔軟性が増せば姿勢がよくなる。姿勢がよくなれば、集中力もアップするので、学業にもいい影響をもたらす。このように、柔軟性を高めることは野球以外の日常生活においてもメリットばかりだ。
日々のストレッチで身体の柔軟性を高め、そのうえで運動していく。その繰り返しが、不調の改善や運動能力のアップ、さらにアスリートとしての可能性まで高めると思い、息子にはストレッチの習慣を身に付けて欲しかった。
身体が硬いのは遺伝ではない。むしろ、生活習慣や環境の影響の方が大きい。スマホやゲーム、もしくは勉強などで、背中が丸まった状態が長く続いたり、身体を動かすことが少なく、関節の可動域をあまり使わない生活になっていたりするなど、身体にとってマイナスなことが積み重なった結果、筋肉が硬くなってしまうのだ。
余談だが、柔軟性は何も子どもだけに必要なものではない。今日本で深刻な問題となっている、寝たきりや介護の問題も、元をただせば、「柔軟性の欠如」であると私は思っている。ありていに言えば、人である以上、「柔軟性」は必要なのだ。どうせ必要ならば、野球を知らなくてもお子さんにできるサポートの1つとして、是非あなたもお子さんと一緒に生活の中に取り入れてみたらいかがだろうか。(特にペアストレッチをおススメする)1か月ほどで、あなたの柔軟性にも変化が生まれてくるはずだ。
また別の観点からいうと、息子は野球が下手なのに、足が速いというのも気になった。たとえば、小学生くらいの子どもだと、身体自体は硬いけどスポーツが得意な人がよくいる。それは、身体が硬い=筋肉の収縮が強い、とも言え、瞬発力や大きな力を出すのが得意だからだ。
ただし、それで結果が出るのは、身体が強く、馬力があることがアドバンテージとなる子ども時代に限られる。柔軟性の欠如が、将来的に身体を痛めたり、技術面が身に付かなかったりする可能性は否めない。
つまり、現在パフォーマンスが高い子どもにこそ柔軟性が必要なのだ。息子は、パフォーマンスが現時点で高いとは言えないが、足が速いというのは、足の筋力が原因ではないのは明らかであって、身体が硬いに他ならないと考えたからこそ、なおさら柔軟体操にこだわった。
<今日のまとめ>
柔軟体操の目的:関節可動域を広げる
⇒関節を滑らかにし、モノマネしやすくなる。
⇒ケガの防止
:血流を促し、疲労回復の促進
:リラックス効果
:神経の伝達を促進する
:関節を安定させる
今回は、柔軟性とモノマネの関係、柔軟性を高めるメリットについてお話しした。次回は、なぜ柔軟性が必要なのか、「身体づくりのピラミッド」と絡めてお伝えしていく。次回もお楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?