バッティングのポイント⑤
力がない初心者の子どものバッティングについて、構えから始まり、腰を使ったスイングのコツについてお話ししてきた。それでもまだ何か足りない。それは、鋭く回転できていない、つまりスイングが遅いことだ。今回は、スイングを鋭くするのと、力が入った状態でバットをボールにあてることについてお話ししていきたい。前回の記事はこちら↓
5.右ひじをへそに持ってくる
息子はバットを力任せに腕だけで振ってしまう。そのため、バットが身体から離れて大回りする。これだと、力強いスイングができない。腰を使って身体の回転を速めるには、スイングを小さくすることがコツである。
もしかしたら、文章の間違いだと思われた方もいらっしゃるかもしれない。間違いではない。スイングは大きくではなく、小さくするとよい。これは私ではなく、ミスタータイガースの掛布さんが教えていることだ。
たとえていうならば、フィギュアスケートをイメージすると分かりやすいかもしれない。私も競技自体は詳しくは分からないが、3回転なり4回転するときに、手は胸の前に置き、ジャンプをして、着地するときにはじめて、手を広げる。つまり、ジャンプしてスピンをする時には回転数が大きければ大きいほど、高いジャンプが必要なのと同時に踏み出しと小さい回転が必要なのだろう。逆に、手を広げたまま3回転や4回転はおそらくできないのではないだろうか。
これを野球に置き換えると、息子の場合、手を広げたままスイングしているのだ。それも目一杯広げている。これでは、腰で打つ感覚を覚えたとしても、鋭いスイングができない。身体から離れれば離れるほど力が逃げていく、ということを伝え、右ひじをおへそに持ってきて、腕を身体につけた状態でボールにあてるようにしよう、と指導した。
腕(ひじ)が身体についた状態というのは、ボールを引きつけないとその状態を作れないので、ボールを長く見ることができるというメリットもある。ボールを引きつけるために、前回ご紹介した、ボールを手打ちするやり方なども取り入れた。
手打ちだと、バットがないので、本当にボールを自分のところまで引きつけないと打てない。さらに、力強い打球を打つには、身体の中心であるおへその前で打つ必要がある。手を広げてしまうと、身体から腕が離れてしまうので、肩から肘までを身体の脇につけたまま、ボールを身体の近くまで引きつけ、腰の回転で打つ。
この練習を繰り返すことで、少しずつ腰で打つ感覚と力強い打球が飛ぶインパクトのポイントをつかんで欲しいと思う。