危険なほめ方
前回は、息子を動かすためにどうしたらいいのか、ということについて3人の名言や著書からヒントを得ようと試行錯誤した。共通して、一つ言えることは、「ほめる」ということは有効だということが、過去の偉人からも自分自身の実体験からも分かった。今回は、ほめ方について深堀をしていきたいと思う。
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息子はほめられると、確かに喜ぶし、怒られているときよりは自信にもつながっている様子がこちらにも伝わる。そのうえで、「何か」が欠けているようにも思う。その「何か」とは、息子はほめられるとそれ自体に満足してしまうため、もっとがんばろう!という次のモチベーションにつながっていないことだ。
つまり、こちら側としてはモチベーションをあげて、さらにもっとがんばって欲しいと思っているところ、息子はモチベーション自体は上がるものの、そこでがんばりをやめてしまうという状況に陥っているのだ。この原因は、実は私のほめ方にあった。それに気付かされたのは、1冊の本からだった。
まずは、私がこの本に出合ったきっかけからお伝えする。私は以前、縁があり、20代からビジネスで成功していて、現在30代のある方と一緒に仕事をする機会があった。その方が今までたくさん本を読んできた中で、これは!という2冊の本を私に紹介してくれたのだ。そのうちの1冊がこの本だった。↓
マインドセット「やればできる!」の研究(キャロル・S・ドゥエック著)
その若い実業家曰く、「何かを成し遂げようとするとき、その8割、いや9割は”マインド”にかかっている。」と。そして、そのマインドはこの本から多く学んだと。なので、この本は何度も何度も読み返していると言っていた。人がうらやむ生活を手にし、数々の成功を成し遂げている彼は、年下でありながら優れたリーダーシップもあり、周りへの影響力も大きいので、私も勧められ、早速購入して読んでみた。
本の中では、マインドセットには、「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット」の2つがあって、マインドセットの在り方によって結果も大きく左右されると書かれている。
そして、個人的に希望が持てたことが、2つのマインドセットというのは、生まれつきではなく、訓練によって誰でも、硬直マインドセットからしなやかマインドセットにすることができるということだ。つまり、しなやかマインドセットを知り、そのマインドを身に付けることで、現在どのレベルの人でも、成功を自分自身で手繰り寄せることができるというのだ。
なるほど。成功の9割がこのマインドにかかっているならば、しなやかマインドセットを身に付けることは、これからの人生においても強力な武器として味方になってくれると確信した。このマインドについては、また別の機会でお話しするとして、話を戻すと、この本の中で「ほめ方」に触れている部分があった。
この本は、題名にもあるように、「研究」、つまり実験に基づいている。そこで、ほめ方についてある実験を行った。一方のグループ(A)では、「頭がいいね」というほめ方をする。つまり、その子の「有能さ」をほめる。そして、もう一方のグループ(B)には、「がんばったね」と、その子に優れた才能があると思わせないように、その子の「努力」をほめる。もちろんグループ分けした時点では、両方の成績は等しい。
面白いことに、ほめた直後から、グループ間で成績に開きが出てきた。Aグループは、硬直マインドセットになり、新しい問題にチャレンジしようとするのを避けるようになった。ミスをして、自分に「能力がない」と思われるのが嫌だからだ。
一方、Bグループは、新しい問題にチャレンジし、新しく学べるチャンスを逃さなかった。解けない問題があれば、もっとがんばろう!と思えるようになった。なぜなら、「努力」をほめられているからだ。
まとめると、この実験からわかったことは、「能力」をほめると知能が下がり、「努力」をほめると知能が上がったということだ。非常にショッキングなことだが、「(子どもに)頭がいい」と言ってしまうと、その子は自分を賢く見せようとして、チャレンジしなくなってしまうのだ。
改めて私の息子に対する指導を振り返ってみると、「あー!やってしまっていた!」と思う節が多々あり反省した。私は、もちろんだが、チャレンジしない子になって欲しくて息子をほめているわけではない。
これからは、「足が速いね」という、能力ではなく、「最後まで力抜かずに走り切ったね」と”やった努力”に対して、声掛けや励ましを行うように私も意識していこう。これからも、息子と一緒に成長できればと思う。
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